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【低山と温泉へ】双耳峰から関東平野を一望 巨岩・奇岩巡りも迫力満点 筑波山<標高877m・歩行距離4.8キロ・歩行時間2時間40分>(2)

場所
> つくば市
【低山と温泉へ】双耳峰から関東平野を一望 巨岩・奇岩巡りも迫力満点 筑波山<標高877m・歩行距離4.8キロ・歩行時間2時間40分>(2)

広大な水田や霞ヶ浦、筑波研究学園都市などが眺望できる男体山山頂の展望台(写真/つくば市)

絶景と巨岩の〝芸術作品〟を観賞

【低山と温泉へ】双耳峰から関東平野を一望 巨岩・奇岩巡りも迫力満点 筑波山<標高877m・歩行距離4.8キロ・歩行時間2時間40分>(1)から続く

山頂付近にはブナの木が多い。ガマガエルが口を開けたように見える「ガマ石」の前を通り、女体山山頂へ。山頂には伊弉冊尊(いざなみのみこと)を祀る女体山御本殿が鎮座する。伊弉諾尊と伊弉冊尊は古代神話に登場する夫婦神(めおとがみ)で、筑波山神社の御祭神である。女体山山頂からの展望がまた素晴らしい。ほぼ360度見渡せ、まさに絶景だ。東に大洗、西に秩父連山、北に日光連山と関東一円が見晴らせる。

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女体山山頂、気持ちいい!

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ガマの油のガマ口上を発案した永井兵助はガマ石の前で口上の文句を考えついたと伝わる

筑波山は火山ではないのに、山頂から中腹部にかけてマグマが冷えて固まった斑(はん)れい岩が多く見られる。これは太古からの大地の活動により今の筑波山が形づくられたからだという。女体山から先の白雲(しらくも)橋コースを進むと「屏風(びょうぶ)岩」、岩屋のなかに石祠(せきし)を安置した「母の胎内(たいない)くぐり」、巨大な二つの岩の上に奇妙な格好で一枚岩がのる「弁慶七戻り」などの神秘的な巨岩・奇岩が連続する。

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弁慶七戻り。頭上の岩が落ちてきそうと恐れた弁慶が7度、後戻りしたという伝説が残る

パワースポットとしても評判の巨岩・奇岩を見ながらの山歩きは楽しいが、岩の多い急な斜面が続くので滑らないよう十分に注意しながら下山したい。途中、木造りの休憩所でひと息入れた。

再び歩を進め、白い蛇が棲(す)んでいるといわれる白蛇(はくじゃ)弁天をお参りし、筑波山神社へと戻ってきた。

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小さな社が二つ並ぶ白蛇弁天。白い蛇を見かけると金運に恵まれるという

神社の門前で江戸時代から続くという老舗の食事処と旅館でランチと温泉を楽しむ。「おみやげ・お食事処 神田家」では名物の「つくばうどん」を味わった。土産品として、幕末に活動した水戸藩士の天狗(てんぐ)党にちなんだ自家製の「天狗まんじゅう」や、肌荒れなどによいという「ガマの油」なども販売している。

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神田家では眺望のよい客席で食事ができる。9時~17時/ 無休/TEL:029-866-0044

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手間暇かけて育てたつくば茜鶏のつくねなどが入り、麺に霞ヶ浦産のれんこん粉を練り込んでいるのが特徴の「つくばうどん」(1200円)

食後は、筑波山江戸屋の温泉で山歩きの疲れを癒やした。門前でランチと温泉を満喫するなら、午前9時台のケーブルカーに乗ろう。「山容も美しく気に入っています」と神田家の神田光里(ひかり)さんが話すように、凛(りん)とそびえる雄姿が、古代から多くの人々の心をひきつけてきたのだろう。

文/荒井浩幸 写真/青谷 慶

♨立ち寄り温泉

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江戸屋露天風呂

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(左)江戸屋大浴場(右)江戸屋外観

筑波山江戸屋 ◉筑波山温泉

江戸前期の1628年創業。男女別の大浴場にはそれぞれ内湯と野趣あふれる岩組みの露天風呂を備える。沢のせせらぎが耳に心地よく、周囲の緑も美しい。pH10.23のアルカリ性単純温泉は肌に優しく〝美人の湯〟と称される。また、ラウンジの屋外デッキにある足湯も手軽に疲れを癒やせると人気。
■日帰り入浴11時30分~14時(足湯は10時~)/不定休/1540円(ハンドタオル付き)、足湯440円/つくば市筑波728/筑波山神社入口バス停から徒歩8分/TEL:029-866-0321


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【登山データ】

■交通 [鉄道]秋葉原駅からつくばエクスプレス快速で45分のつくば駅下車、駅前のつくばセンターで関東鉄道「筑波山シャトルバス」に乗り換え36分、筑波山神社入口下車、徒歩8分[ 車]常磐道土浦北ICから国道125号、県道14・42号経由18キロ(P有料あり、市営筑波山麓神郡駐車場へは土浦北ICから15キロ、P 無料)
■問い合わせ/TEL:029-883-1111(つくば市観光推進課)

アドバイス

舗道はなく、石や土、木の根などの自然道で急傾斜になっている所もあるので、登山靴かトレッキングシューズ、ストックを用意し、歩きやすい服装で。天候や疲労度によっては無理せず、女体山山頂から200メートルの女体山駅でロープウェイに乗り下山しよう。

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年6月号)
(Web掲載:2025年6月12日)


Writer

荒井浩幸 さん

1970年、埼玉県生まれ。旅に関することならジャンルを問わず、オールマイティにこなす、旅行ライター。食欲旺盛で、その「実力?」は特に味の店の連続取材の時にいかんなく発揮される! そして、昼はコーヒーを味わい、夜はお酒をたしなむ。旅とともに国内の民俗に関心をもち、研究もしている。

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