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【低山と温泉へ】展望台から東京湾、三浦半島を見渡す 鋸山(2)<標高329m・歩行距離5.85キロ・歩行時間2時間50分>

場所
> 富津市
 【低山と温泉へ】展望台から東京湾、三浦半島を見渡す 鋸山(2)<標高329m・歩行距離5.85キロ・歩行時間2時間50分>

「東京湾を望む展望台」にて。左下に見えるのは保田の港と街並み。鋸山は海に近いことが実感できる

三浦半島まで見渡す眺望に大満足

【低山と温泉へ】展望台から東京湾、三浦半島を見渡す 鋸山(1)<標高329m・歩行距離5.85キロ・歩行時間2時間50分>から続く

登山のご褒美の一つは、やはり絶景だ。「東京湾を望む展望台」からは金谷や保田(ほた)の港を見下ろし、三浦半島も見える。天気が良ければ富士山もご褒美をくれる。ほぼ海抜0メートルから標高差約300メートルを登ったと思うと、標高だけが目的ではない低山ハイクの魅力が実感できた。ここまででも十分に満足できるが、せっかくなら頂上を極めたい。展望台からアップダウンを繰り返して山頂までは往復40分。尾根道を行く登山道が続いている。

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鋸山山頂からは、千葉県特有の低くなだらかな山が折り重なる様子を一望

帰路は切通し跡まで戻り、分岐を観音洞窟方面へ向かう。観音洞窟は石切り場跡の一つで、良質の石材を求め、地層に沿って奥へ横へと掘り進んでできた洞窟。さらに進むともっと広大な石切り場跡・岩舞台がある。ここは最後の石切り場として1985年まで採掘が行われていた場所。正岡子規は「春風や鋸山を砕く音」と詠んだが、放置された機械類だけが往時を伝えていた。歩いて登ってこそ見られた光景に、鋸山の新たな一面、むしろ真実ともいえる側面を知ることができた。

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崩落に注意して慎重に掘り進められた観音洞窟

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岩舞台。よく見ると下部はツルハシで、上部は機械で掘り出したため痕跡の縞模様が異なる

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岩舞台には「安全㐧一」の文字が

岩舞台の先の分岐を右に行けば、関東ふれあいの道を下って浜金谷駅に至る。ただしゴツゴツした岩肌や長い階段を下るので、体力に自信がなければ分岐を左へ。日本寺の境内に入り、岩壁に突き出た地獄のぞきなどを経てロープウェイで下山するのも一案だ。

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝

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岩舞台付近から見上げた地獄のぞき

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分岐には詳しい案内板があるので安心

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急坂が続く関東ふれあいの道。急がずに慎重に下ろう

♨立ち寄り温泉

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かぢや旅館 ◉房州大福温泉

登山道入り口に向かう途中にある温泉旅館で、創業約170年。大浴場は窓が大きくて爽快。ナトリウムを含んだ湯は疲労回復が期待できる。地魚料理が自慢で、予約をすれば食事もできる。磯料理定食1430円~(写真は1870円)。宿泊して内房観光を楽しんでもいい。1泊2食1万4000円~。
■日帰り入浴12時~19時(混雑時は時間短縮あり)/不定休/800円/富津市金谷3887/内房線浜金谷駅から徒歩5分/TEL:0439-69-2411


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【登山データ】

■交通 [鉄道]内房線浜金谷駅からすぐ[車]富津館山道路富津金谷ICから国道127号経由2キロ(P有料あり)
■問い合わせ/TEL:0439-80-1291(富津市商工観光課)

アドバイス

弁当を持参して展望台で食べるのもおすすめ。浜金谷駅近くにコンビニがある。急坂や足場の悪い所もあるので、ストックなどを持参した方が無難。上り下りのいずれかでロープウェイを使うことも考えたい。トイレは関東ふれあいの道に1か所あるのみ。

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年6月号)
(Web掲載:2025年7月8日)


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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