【旅する喫茶店】珈琲舎のだ 大名本店(福岡)

サイフォンを眺めるのが楽しいカウンター。店内には焙煎(ばいせん)機もある
博多の老舗でサイフォン式コーヒーを
オシャレをして訪ねたくなる。気取った雰囲気ではないが、大人の感性をくすぐる素敵な喫茶店なのだ。
1966年創業の「珈琲舎のだ」は福岡市内で5店舗を展開。大名本店は天神をぶらついて一息つくには絶好のロケーションだ。
絵画がかけられた壁を背に、馬蹄(ばてい)形のカウンターに座ると厨房(ちゅうぼう)のすべてが見られる。白衣のスタッフがてきぱきと仕事をしていて、心地よい。注文が入るとフラスコに水を注ぎ、火にかける。やがて湯がポコポコと沸騰し、ロートへ上昇して粉を浸す。すかさず木のヘラでかき混ぜる。
このサイフォン式、誕生したのは19世紀ヨーロッパで、日本に入ってきたのは大正時代だそう。珈琲舎のだ取締役・赤星さち子さんに教わったサイフォンの歴史にはロマンがあり、優雅な気持ちにさせてくれる。
オフィスや住居の入ったビルの1階
サイフォン1台を使い、カップ1杯のコーヒーを作る
数量限定のプリンセットを頼んだ。プリンはクリームチーズを使用し、濃厚な味わい。系列にケーキ店があるとあって、スイーツは「のだ」の得意分野。サンドイッチなどの軽食も充実している。コーヒーは「博多の華・ストロングブレンド」を選択。しっかりとした苦みとコクがある。「市内ではここのコーヒーが一番おいしい」というのは福岡在住のソムリエの評だが、同感だ。
コーヒーを主役に、まるで観劇しているかのような"珈琲エンターテインメント"を楽しんだ。
文/太田正行
のだプリンセット1600 円~。コーヒーに添えられたホイップクリームをプリンに付けて食べると、より滑らかな食感に
福岡県福岡市中央区大名2-10-1 シャンボール大名1階
TEL:092-741-5357
営業:10時~ L.O.18時30分/水曜休
交通:地下鉄空港線赤坂駅から徒歩3 分
※記載内容は掲載時のデータです。営業時間、料金は変更になる場合があります。
(出典:「旅行読売」2025年5月号)
(Web掲載:2025年7月24日