【夜行列車の旅】\初めての/サンライズQ&A

「シングル」2階個室
きっぷの確保が難しい「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」。初めて乗車する人に向け、乗車歴20回を数える漫画家&文筆家のやすこーんさんに、予約の取り方や車内での楽しみ方、注意点などを聞いた。
Q:きっぷはどこで買えばいい?
全国のJR「みどりの窓口」やインターネットで買える。きっぷは乗車券に加え、特急券と寝台券も必要。ノビノビ座席は、乗車券、特急券に指定席券が必要となる。寝台券と特急券は1枚のきっぷとして発行されるので、まずはそれを先に取ること。乗車券はあとから買ってもよい。
きっぷは「みどりの窓口」、インターネットともに、乗車日1か月前の10時から全国一斉に発売される。早い者勝ちなので、いかに素早く取れるかが重要。各旅行会社でパック旅行を販売しているところもある。
サンライズ出雲のきっぷ。特急券と寝台券が1枚、乗車券が1枚で2枚1組
Q:予約を取るコツは?
予約を取りやすい個室は部屋数が最も多い「シングル」。ただし2階(階上)、禁煙などと細かく指定していると、時間がかかって取れないことがある。金・土曜の出発は競争率が高く、かなりのプラチナチケットとなっている。
「みどりの窓口」できっぷが発売される10時と同時に購入手続きをしてもらうことを「10時打ち」と呼ぶが、きっぷを取る予定の「みどりの窓口」で、「10時打ち」をやってもらえるかどうか事前に確認しておいたほうがよい。窓口が一つしかない所は難しいが、いくつもある大きな所は、専用の窓口を作ってくれることもある。その場合、10時直前ではなく、早めに並びに行くことをおすすめする。「10時打ち」をしてもらえたからと言って、確実に取れるという保証はない。
インターネットの場合は、JR西日本の「e5489(いいごよやく)」がおすすめ。パソコンでもスマホでも操作が可能で、「e5489」「サンライズ」で検索すれば、サンライズ予約専用のページが出てくる。そこで乗車日を入力し、列車名「サンライズ出雲」か「サンライズ瀬戸」、発着駅、個室の種類を選ぶ。JR東日本の「えきねっと」でも予約できるが、取れるのは「ノビノビ座席」のみとなる。
そこで取れなかったとしても、キャンセルが出ることがある。どのタイミングで出るか分からないので、マメにチェックしよう。払い戻しは乗車前日から手数料が高くなるので、その直前にキャンセルが出ることも。諦めないことが大切だ。
Q:酔ったりしない?熟睡できる?
よく聞かれることだが、その人による。乗り物に酔いやすい人は、酔い止め薬を飲んでおいたほうが安心だ。窓は開かないので、外の風に当たることはできない。私が初めて寝台列車に乗った時は、酔いはしなかったが興奮して一睡もできなかった。次に乗った時は、寝ようとしても振動や音が気になって寝られず。そういう方は耳栓が必携だ。枕の位置が進行方向側か、その反対側なのかでも寝心地が変わってくる。それも人によって違うので、実際に試してみてほしい。
Q:おすすめの個室は?
初めて乗るなら予約が取れる可能性が高い「シングル」を選ぶとよい。さらに言えば「シングル」2階がおすすめ。窓が天井まで湾曲しているので景色が広く見えるし、目線が高いから遠くまで見渡せる。
部屋の位置によって微妙に揺れ方や音の大きさも変わってくる。2階の方が揺れ幅は大きくなるが、1階(階下)は線路に近いので、音や振動がじかに伝わってくる。車両の端やエンジンの上に位置する部屋も音や振動が大きくなる。
Q:必ず用意したほうが良い物は?
洗面台やシャワーはあるが、「シングルデラックス」以外はアメニティーがない。タオルや歯ブラシなどは持参すること。車内販売もないので、飲食物は駅などで買って持ち込もう。3・10号車のシャワールームの前にソフトドリンクの自販機はあるが、売られているのは水、緑茶、コーヒー、コーラなど。しかも朝方には売り切れている場合があるので、飲み物も用意しておいたほうがよい。洗面台の水は飲料用ではないので注意したい。
飲料の車内自販機。ソフトドリンクだけでアルコールは販売していない
Q:持っていくと便利な物は?
全個室に備えられている物は、プラカップ、ゴミ袋、浴衣、ハンガー、使い捨てではないスリッパなど。鏡は部屋のドア付近にある。アメニティーが備えられている「シングルデラックス」も、メイク落としなどはないので持参すること。洗面台に泡ソープはあるので、手を洗うのは問題ない。歯磨き用のコップは、部屋のプラカップを使えばよい。浴衣は身長159センチの私で膝丈くらいなので、いつも下に履くレギンスなどを持っていくようにしている。
Q:東京駅で駅弁を買うにはどこがよい?おすすめの駅弁は?
東京駅には「駅弁屋 祭(まつり)グランスタ東京店」という、全国の駅弁が集まる日本最大の駅弁販売店がある。営業時間は朝5時30分~22時だが、21時を過ぎるとほぼ売り切れてしまうことがあるので、確実に購入したい場合は、早めに行って手に入れておいたほうがよい。
私がおすすめしたい駅弁は「ひとくちだらけ」(つがる惣菜、1500円)、「海苔(のり)のりべん」(福豆屋、1300円)など。サンライズではお酒を飲みながら駅弁を食べたいので、いつもおつまみになるお弁当を選んでいる。
ちなみに「駅弁屋 祭」では予約や取り置きはできないが、一部の駅弁を「JRE MALL(モール)オーダー」というサイトで受取日の3日前の21時までなら予約することができる。受け取る場所は、東京駅の改札内にある「駅弁屋 踊(おどり)」など。「駅弁屋 祭 セレクト」では、在庫があれば、当日でもネットオーダーが可能。こちらはサイトから予約して、新幹線南乗換口前にある「駅弁屋 祭 セレクト」で受け取る。いずれも受け取りは19時まで。
「ひとくちだらけ」(つがる惣菜)
「海苔のりべん」(福豆屋)
「ミックスサンド」(JR東日本クロスステーション)600円
「トマト香るピラフの洋食弁当」(崎陽軒)900円
Q:個室に入ったらすぐ寝てもよい?
出発前、または出発後に車掌がきっぷを確認するために回って来る。個室に入る前に廊下などで車掌に出会った場合は、その場できっぷを確認してもらえばよい。出発後は、部屋にいればドアをノックしてくれるから、開けてきっぷを見せよう。車掌が来る前に部屋を離れる場合は、きっぷを携帯しておいたほうが、車掌に会った時に確認がスムーズだ。23時頃にその日最後の車内放送があるので、それ以降はなるべく部屋で静かに過ごそう。
Q:個室での過ごし方や注意点は?
1階は窓がホームと同じ高さにあるので、駅を通過する際は丸見えになる。終電までは部屋の中を見られたくなければ、ブラインドを閉めておこう。駅の通過の際だけでなく、夜、部屋の明かりをつけたまま着替えなどしないよう気をつけたい。2階も暗い中で明かりをつけていると、遠くからでも部屋の中がよく見えてしまうので注意しよう。
「シングル」1階個室。窓の高さがホームと同じで丸見えになるので注意したい(写真/齋藤雄輝)
Q:禁煙部屋、喫煙部屋はある?
サンライズには喫煙可能な個室がある。6・13号車が喫煙車両で、その「シングル」「シングルツイン」が喫煙可能。4・11号車の「シングルデラックス」「サンライズツイン」も半数が喫煙可能だ。禁煙希望なのに喫煙の部屋が取れてしまった場合でも、個室内のリネンは取り換えられているので、さほど匂いは気にならないはず。気になる方は消臭剤を持参するとよい。
Q:シャワーの使い方は?
シャワーは、シャワーカードを買わないと使用できない。シャワーカードはシャワーのある3・10号車に販売機が設置されているが、4・11号車の入り口からのほうが近いので、その乗車位置に並ぶとよい。東京駅の場合、サンライズが入線する21時25分前からカードを買う人が列をなしている。私は遅くとも出発の30分前、週末であれば、さらにもっと早くから並ぶ。
シャワーカードは20枚限定なので、並んだ時点で列が20人以上であれば、諦めたほうがよいかもしれない。ちなみにA寝台には専用のシャワーカードが付いていて、シャワールームも別にある。
シャワーカード
シャワーカード販売機
Q:トイレはどこにあるの?
トイレは各車両にあり、基本的に男女兼用。車いす対応のトイレ・洗面所が備わった車両もある。その場合、トイレは自動ドアになっており、おむつ交換台も設置されている。
トイレに温水洗浄便座は装備されていないが、トイレットペーパーにしみこませて使うタイプの除菌スプレーは備わっている。
Q:女性が注意したほうがよいことは?
女性に限らず、共用の洗面台を占拠しないよう気をつけたい。特に朝は、岡山駅や終点に到着する前には非常に混み合う。歯磨き、洗顔を済ませたら、メイクなどは部屋で行うこと。ドライヤーはA寝台のほか、洗面台横のコンセントでしか使えないが、これもあまり長く占領しないようにしよう。
部屋の鍵は扉に付いており、外から閉める時は4ケタの数字と♯を入力する。同じ数字を押せば開けられる。出かける時や寝る時などはしっかり鍵をかけて安全面に注意したい。
鍵は扉に付いている
Q:見ておいたほうがよいものは?
サンライズは6時27分に岡山駅に到着後、「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」に切り離されるので、それを見るために早起きする人が多い。その時刻近くになると、「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」の車内の行き来ができなくなる。「サンライズ瀬戸」は切り離しが終わったらすぐに出発するので、乗り遅れないように注意。岡山駅を「サンライズ瀬戸」は6時31分発、「サンライズ出雲」は6時34分発となる。
Q:やすこーん流の楽しみ方は?
駅弁とお酒を買ってから乗車するのはもちろんのこと、部屋の電気を消して真っ暗にし、流れていく外の景色を見ながらお酒を飲むのが私の最高の愉(たの)しみ。東京駅発の「サンライズ出雲」に乗車する際は、進行方向右側(山側)の個室で富士山のシルエットを味わい、到着前には水面がキラキラと輝く宍道湖(しんじこ)の景色を楽しむ。
「サンライズ瀬戸」に乗車する時は、進行方向左側(海側)の個室で瀬戸大橋を渡る際、瀬戸内海の朝日を眺める。一番気に入っている個室は「サンライズツイン」。1人使用で下段をリビングに、上段をベッドにして秘密基地風に過ごすのが好き。
文・イラスト/やすこーん
個室でひとり杯を傾けるのも、寝台列車の楽しみの一つ(写真/齋藤雄輝)
やすこーん
駅弁、駅そば、お酒、温泉を楽しむ鉄道ひとり旅が好き。食べた駅弁の数は2500個以上。著書は『おんな鉄道ひとり旅』全2巻(小学館)、『メシ鉄!!!』全3巻(集英社)、最新刊は『ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇』(玄光社)など。「サンライズ」について詳しく書かれた最新刊を含めた2冊(下)もぜひ参考にどうぞ!
イラストで読む!鉄道知識と旅の基本鉄道イロハ(イカロス出版)
食べて飲んでひとりで楽しむ鉄道旅(玄光社)
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年8月号)
(Web掲載:2025年8月29日)