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喫茶写真家・川口葉子さんが選ぶ 昭和の喫茶店6選【いま、会える昭和】

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 富山県

> 水戸市、鎌倉市、富山市、神戸市、広島市、高知市
喫茶写真家・川口葉子さんが選ぶ 昭和の喫茶店6選【いま、会える昭和】

若者世代のレトロブームの火付け役ともいえる喫茶店。昔懐かしいメロンソーダやパフェなどのメニューが新鮮に映り、支持されています。昭和の雰囲気が味わえる喫茶店の魅力を、喫茶写真家の川口葉子さんに教えてもらいました。

純喫茶めぐりをする10代、20代の人々にとって、古い喫茶店は五感で楽しめる昭和ミュージアムなのだろう。色鮮やかなクリームソーダは飲む昭和、固めの素朴なプリンは食べる昭和である。彼らはその体験を写真や動画におさめ、SNS上にコレクションして楽しむ。

高度経済成長期に生まれ育った私にとって、同じ年代の頃、喫茶店は街なかの居場所だった。大学入学を機に東京でひとり暮らしを始めたものの、大都市の空気に気後れして孤独を感じていた。そんなときに路地裏の静かな喫茶店の扉を開けたら、木の椅子とコーヒーの香りが「どうぞごゆっくり」と囁(ささや)きかけてくれたような気がしたのだ。街のあちこちにそんな居場所をみつけては、その片隅で読書し、友人と有益無益な話を重ね、レポートを書いた。そしていつの間にか東京に慣れていた。

ここでご紹介した6軒は、ノスタルジックな昭和の情緒を満喫できるお店、優雅で品格の漂う空間、あるいは唯一無二の個性的な空間に心惹(ひ)かれるお店、味とおもてなしに丹精込めた仕事ぶりを見せてくれるお店と、それぞれ異なる魅力をもっている。共通点は、いずれも街なかの良き居場所であることだ。

文・写真/川口葉子(喫茶写真家)

喫茶富/Benz103 <茨城>

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昭和38 年開店。亡き創業者がメルセデスベンツをアイコンとして自らデザインした空間は、半円形のカウンターや照明が素晴らしくクール。何よりも魅力的なのは、70~80代の女性スタッフの温かな接客。
■9時~ L.O.18時/木曜休/水戸市泉町2-2-16/常磐線水戸駅からバス4分、泉町一丁目下車徒歩2分/TEL:029-224-2240

喫茶吉野 <神奈川>

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北鎌倉の名刹、東慶寺に隣接する喫茶吉野は昭和55年にオープン。窓辺の緑が映える端正な空間は、建築家の榛沢(はんざわ)敏郎が手がけた。サイフォンで濃いめに点たてるコーヒーは、フルーツケーキと相性抜群。
■10時~ L.O.16時/不定休/鎌倉市山ノ内1379/横須賀線北鎌倉駅から徒歩3分/TEL:0467-24-9245

珈琲駅ブルートレイン <富山>

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昭和55年創業、鉄道ファンの間でつとに有名なお店。昔の豪華列車を思わせるボックス席が並び、模型列車が走る。時刻表を模したメニューなど、マニアックな遊び心あふれる空間に一般人(?)も夢中。
■11時~ L.O.17時30分/火曜休/富山市鹿島町1-9-8/富山地方鉄道安野屋停留場から徒歩2分/TEL:076-423-3566

にしむら珈琲店 北野坂店 <兵庫>

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神戸を代表する老舗。北野坂に立つこの洋館は、昭和49年に日本初の会員制喫茶店としてスタートし、阪神・淡路大震災後に一般開放された贅沢(ぜいたく)で美しい空間。コーヒーとケーキを味わうだけで優雅な気分に。
■喫茶は10時~ L.O.22時/毎月最終月曜(祝日の場合は翌日)休/神戸市中央区山本通2-1-20/東海道線三ノ宮駅から徒歩10分/TEL:078-242-2467

てらにし珈琲店 <広島>

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⑨teranishi01.jpg昭和53年の創業以来、地元で愛され続ける名店。ネルでドリップする自家焙煎(ばいせん)コーヒーと、自家製パンにたっぷりサラダを添えたモーニングセットのクオリティー、接客サービスの細やかさに目を見張る。
■8時~18時30分/日曜、祝日休/広島市中区宝町6-15/広島電鉄比治山橋駅から徒歩8分/TEL:082-249-3850

メフィストフェレス <高知>

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昭和39年創業、ドイツの古都に残る宿屋のような外観。100席ある店内は、趣の異なるどのエリアを選んでも落ち着いて過ごせる。食事メニューも豊富。店名はゲーテの『ファウスト』に登場する悪魔の名前。
■9時~ L.O.20時30分(土・日曜、祝日は8時~)/無休/高知市帯屋町2-5-23/とさでん交通はりまや橋停留場から徒歩9分/TEL:088-823-7871


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かわぐち・ようこ
ライター、喫茶写真家。全国の喫茶店やカフェを取材し、雑誌やWeb等で執筆、記事監修をおこなう。主な著書に『新・東京の喫茶店』(実業之日本社)、『今日も、東京古民家カフェ日和』(世界文化社)、『鎌倉湘南カフェ散歩』(祥伝社)など。

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年5月号)
(Web掲載:2025年9月9日)


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