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【いま、会える昭和】手塚治虫に赤塚不二夫、漫画の巨匠たちの青春が息づくトキワ荘マンガステーションへ

場所
> 豊島区
【いま、会える昭和】手塚治虫に赤塚不二夫、漫画の巨匠たちの青春が息づくトキワ荘マンガステーションへ

漫画家のよこたとくおの部屋を再現した20号室。古いテレビやヤカンを載せた火鉢が目を引く(※時期により入れ替え)

“漫画の聖地”として知られる旧椎名町(現南長崎)

東京豊島区の旧椎名町(現南長崎)は〝漫画の聖地〟として知られる。かつてこの地にあった「トキワ荘」は手塚治虫、石ノ森章太郎、藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄らが暮らした伝説のアパートだ。1982(昭和57)年に老朽化で解体されたが、豊島区が地域活性化を目的に「トキワ荘マンガミュージアム」として新たに建築し、ファンが集う。近くのトキワ荘通りには「昭和レトロ館」や「トキワ荘マンガステーション」などの関連施設も誕生し、にぎわいを見せている。

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実際のトキワ荘と住人だった挿絵画家むかいさすけさん ©MUKAI SASUKE

ミュージアムの玄関で靴を脱ぎ、木造の急階段を上ると、キイキイと音が鳴った。「この床鳴りも、当時の資料をもとに再現したんです」とスタッフの高橋真由さんが誇らしげに語る。

こだわりが詰まった建物の2階には昭和の世界が広がる。漫画家が暮らした四畳半の部屋や共同炊事場がリアルに再現されている。「以前、流しで赤塚不二夫先生の水浴びを再現展示したときは、大盛り上がりでした」(高橋さん)

1階にはラウンジや企画展示室があり、漫画やアニメに関する展覧会をきっかけにトキワ荘世代の作品に触れる若い人も増えているそうだ。

漫画の歴史を体感したら、近くにある関連施設のマンガステーションへ。トキワ荘ゆかりの漫画家の作品がずらりと並び、圧巻の品ぞろえだ。読書の後は漫画家たちが通った地元の中華料理「松葉」でラーメンを注文した。鶏ガラベースのしょうゆスープのラーメンは、どこか懐かしい味わいだった。

トキワ荘の再現や記念碑の設置には、地元の人々の熱い想いがあったという。漫画文化を支えたこの街には、今も昭和の面影と、漫画への情熱が息づいていた。

文・写真/阪口 克

トキワ荘マンガミュージアム

解体されたトキワ荘の建物を再現したミュージアム。写真や聞き取り調査をもとに、昭和30年代前半の外観や間取り、部屋の細部まで再現。さらに漫画文化に関する多彩な企画展も開催。2020年のオープン以来、多くのファンが訪れている。
■10時~17時30分/月曜(祝日の場合は翌平日)休、年末年始休、展示替え期間休/入場料は展示により異なる/西武池袋線東長崎駅から徒歩10分、または地下鉄大江戸線落合南長崎駅から徒歩5分/豊島区南長崎3-9-22/TEL:03-6912-7706

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南長崎花咲公園に面して立つ2階建てのミュージアム

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漫画家の山内ジョージの部屋を再現した18号室

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ゆかりの漫画家の作品がディスプレーされている1階「マンガラウンジ」

トキワ荘マンガステーション

トキワ荘ゆかりの作品を含む約6000冊の漫画や書籍を自由に楽しめる。「漫画少年」(復刻版)や「火の鳥」など、貴重な作品も。「じっくり読みふける若い人も多いですよ」とスタッフの髙倉繕臣(よしおみ)さん。
■10時~17時30分(50分ごとの入れ替え制)/月曜(祝日の場合は翌平日)休、年末年始休/地下鉄大江戸線落合南長崎駅から徒歩10分/豊島区南長崎2-3-3

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マンガミュージアムの高橋さんとマンガステーションの髙倉さん

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当時の貴重な漫画も手に取って見られる

中華料理 松葉

昭和20年代から続く町中華。トキワ荘の住人御用達で藤子Ⓐの代表作『まんが道』にも「出前の少女」と共に度々登場。「出前の少女だったおばの記憶を頼りに、当時の具材を復元」した松葉ラーメン(缶バッジ付き)700円、ラーメン600円。
■11時~14時30分、17時~19時30分/月曜(祝日の場合は火曜)休/地下鉄大江戸線落合南長崎駅から徒歩8分/豊島区南長崎3-4-11/TEL:03-3951-8394

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「おまけの缶バッジが喜ばれています」と話す店主の山本麗華さんと娘の桃子さん。店内には漫画家たちのサインも

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地元に根付いた町中華のたたずまい

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松葉ラーメン

トキワ荘通り昭和レトロ館

昭和の歴史と文化を継承するため、現存する味楽百貨店に整備された文化施設。昭和の暮らしを再現した部屋や、懐かしい街並みのジオラマを展示。
■10時~17時30分/月曜(祝日の場合は翌平日)休、年末年始休、展示替え期間休/地下鉄大江戸線落合南長崎駅から徒歩8分/豊島区南長崎3-4-10/TEL:03-3565-6991

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「神田川周辺ジオラマ」制作:山本高樹

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昭和20年代築の戦後マーケットを整備した文化施設


※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年5月号)
(Web掲載:2025年9月28日)


Writer

阪口 克 さん

奈良県出身。航空会社機内誌や、多くのアウトドア雑誌で取材と撮影を担当する。オーストラリア大陸1万2000キロを自転車で一周し、帰国後フリーランスに。自宅は家族・友人とDIYで建築。旅と自然の中の暮らしをテーマに活動。著書に「家をセルフでビルドしたい」(草思社文庫)「冒険食堂」(ヤマケイ新書)「焚き火のすべて」(草思社)など。

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