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【ひとり、秘湯へ】ぬる湯と山の緑に浸り 疲れた目を静める休日 貝掛温泉(2)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 新潟県
> 湯沢町
【ひとり、秘湯へ】ぬる湯と山の緑に浸り 疲れた目を静める休日 貝掛温泉(2)

男女別の内風呂と露天風呂はサイズが異なり19時に交替。「天上が高く広い浴室で、ゆっくり温泉に入れました」と「たびよみリポーター」の田畑英河さん(撮影のため許可を得てタオルを巻いて入浴)

湧き出る温泉をじっくり体感

【ひとり、秘湯へ】ぬる湯と山の緑に浸り 疲れた目を静める休日 貝掛温泉(1)から続く

新潟県湯沢町の一軒宿、貝掛温泉を訪れた「たびよみリポーター」の田畑英河さん。伝統の「目の温泉」は、何度も入りたくなるような、肌触りの優しい良い湯だった。

源泉をそのまま注ぐ内湯のぬる湯が、想像以上にすばらしい。無色透明の湯は柔らかく、体温に近い温度の「不感温浴」で体への負担が少なく、長湯に向いている。しばらくつかると、体の表面にびっしりと気泡が付き、まるで炭酸泉のよう。鮮度の良い証しだ。湯船の縁に置かれた木製の枕に頭を載せると、湯が流れる音だけが聞こえてきて、「不感温浴」特有の浮遊感に包まれ、ずっとつかっていたくなる。温泉の質が高く、温浴効果による体調改善もありそうだ。

「お湯が柔らかく優しい感じがして、肌がきれいになった気がします。湯上がりは温かく、ずっとぽかぽかしていて、湯冷めしませんでした」と田畑さんは浴感を語る。

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内風呂は源泉浴槽(写真奥)と加温浴槽が並び、交互浴を推奨している

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湯治宿時代から薬師如来信仰があり、湯口に像が置かれていた

宿のスタッフに勧められたのを思い出し、湯口で目を洗った。その日は目が敏感になったようだが、翌日はすっきりして、ドライアイ気味の疲れが取れたような気がした。

湯上がり後の夕食は、名物の薬膳玄米粥がゆのほか、イワナの塩焼き、もち豚の出汁(だし)しゃぶ、塩沢産コシヒカリのご飯、コシヒカリアイスなど、地元産の食材を使った料理が並んだ。「地元産の食材を使った料理がたくさん出て、おなかがいっぱいになりました。米どころのご飯もおいしくいただきました」と田畑さん。

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目に良いというクコの実入りの薬膳玄米粥が出る夕食。季節により食材と料理が変更。ロビーなどにメグスリノキの茶も用意されている

FTN_3504.jpg「薬膳玄米粥は素材の味がしっかりして、体に良さそう」と田畑さん

長谷川さんにおすすめの過ごし方を聞くと、「到着後すぐに入浴し、浴衣を着て宿周辺の自然豊かな上信越高原国立公園を散歩したら、再びゆっくり入浴し、湯上がりは地元産コシヒカリの食事と新潟の地酒を楽しんでください。晴れたら、夜は露天風呂から星空が眺められます」

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宿の横に錦鯉が泳ぐ池があり、エサやりもできる(100円)

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宿の横を流れる勝沢川の奥にある「快眼の滝」。ここまで散歩する人もいる

FTN_2751.jpg川沿いのベンチで清流と水車を眺める。「都会にはない静かな環境に癒やされます」と田畑さん

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湯殿のそばのライブラリーで休憩。文学全集を収めた書棚と、『雪国』の一節「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」を書いた額がある

「自然の絶景が好きなので、滝や清津峡が近く、自然が身近に感じられる環境は、日常をリセットできます。女性のひとり旅にもおすすめです」と田畑さんは話す。

貝掛温泉は川や池、湯の水景に囲まれ、それが山の緑を際立たせている。そんな環境で、新鮮な温泉と地元新潟の食に、ひとり静かに向き合える〝行きやすい秘湯〟だと感じた。

文/福﨑圭介 写真/齋藤雄輝  ヘアメイク/依田陽子

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グループ向けの大きな部屋もある。全室トイレあり

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「手ぬぐいとバスタオルが手提げに用意されているのがうれしいですね」(田畑さん)

周辺のおすすめ観光

清津峡渓谷トンネル

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マ・ヤンソン / MADアーキテクツ「Tunnel ofLight」(大地の芸術祭作品)

清津川を挟むV字形の峡谷と柱状節理の岩肌が美しい清津峡は、国の名勝・天然記念物。峡谷沿いの清津峡渓谷トンネルは、2018年に「大地の芸術祭」の作品としてリニューアルされ、全長750メートルのトンネル内に3か所の見晴所がある。終点は峡谷美が水鏡に映る撮影スポット。貝掛温泉から駐車場まで車で27キロ。
■8時30分~16時30分(冬季は9時~15時30分)/冬季は臨時休あり/1200円(冬季は1000円)/上越新幹線越後湯沢駅からバス25分、清津峡入口下車徒歩30分/TEL:025-763-4800

ぽんしゅ館 越後湯沢驛店

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駅構内にある新潟の専門食品店。県内の地酒やワインのほか、洋菓子や米菓を販売。南魚沼産コシヒカリや、しょうゆ、みそなどの調味料もある。県内全酒蔵の酒を試飲できる「唎酒(ききざけ)番所」、握りたておにぎりの「爆弾おにぎり家」、糀(こうじ)を使ったドリンクのカフェ「糀らって」、温泉に日本酒を入れた日帰り入浴施設「酒風呂」を併設している。「たびよみリポーター」の田畑さんは「駅内でお土産を買ったり、カフェや食事処で休憩できるので便利です。新幹線の待ち時間に寄ってみては?」
■9時30分~ 19時(施設や季節により異なる)/無休/酒風呂は950円/上越新幹線越後湯沢駅 CoCoLo湯沢/TEL:025-784-3778

射的 山崎屋

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温泉街にある昔懐かしい射的場。以前は数多くあったが、現在は2軒が残っている。店員にコツを教わって景品を狙おう。1皿(10発)500円。すぐそばに足湯があり、あわせて寄りたい。上越新幹線越後湯沢駅から徒歩10分。


貝掛温泉
TEL:025-788-9911
住所:湯沢町三俣686

ひとり泊データ
条件:繁忙期を除く
客室:トイレあり10~12畳和室(全21室)
食事:夕・朝食=食事処

料金(税込)
素泊まり:平日-/休前日-
1泊朝食:平日-/休前日-
1泊2食:平日2万5300円~/休前日2万7500円~
※2人1室利用の場合は1泊2食1万9800円~

泉質:ナトリウム・カルシウムー塩化物泉
日帰り入浴:11時~14時/無休/1200円
交通:上越新幹線越後湯沢駅からバス22分、貝掛温泉下車徒歩15分(送迎は要予約)/関越道湯沢ICから12キロ

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年11月号)
(Web掲載:2025年10月10日)


Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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