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【日本の涼景】新潟の〝ぬる湯三湯〞で心身爽快!(2)貝掛温泉

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 新潟県
> 魚沼市、湯沢町
【日本の涼景】新潟の〝ぬる湯三湯〞で心身爽快!(2)貝掛温泉

巨岩を配した貝掛温泉の露天風呂。カエデやトチノキなどの緑陰から吹く風も気持ちよい

 

標高700メートル、緑陰の大露天風呂 貝掛温泉

【日本の涼景】新潟の〝ぬる湯三湯〞で心身爽快!(1)栃尾又温泉、駒の湯温泉から続く

来た道を戻り、関越道湯沢ICで降りて越後湯沢の郊外へ車を走らせた。最後に向かった貝掛温泉は、旧三国(みくに)街道の近く、標高約700メートルの地にある一軒宿だ。〝上杉謙信の将兵の隠れ湯〟だったと伝わる古湯で、〝目の温泉〟としても知られる。

男女別の内湯に併設された岩組みの露天風呂は、野趣と開放感にあふれている。風呂を囲む緑樹を眺めながら広々とした湯船の泉温37度の湯につかっていると、暑さを忘れた。

昭和初期まで「貝掛の目薬」として販売されていた温泉は、宿の主人・長谷川智丈さんによれば、眼精疲労やドライアイなどに適応するという。泉質はナトリウム・カルシウム―塩化物泉。湯口から出る新鮮な温泉を手ですくい、目をつけて1、2分開閉を繰り返すのがよいとされる。そんな民間療法が行えるのも、ぬる湯だからこそだ。

貝掛温泉の内湯の天井は高く、立派な木材が梁(はり)として巡らされている
庄屋造りといわれる貝掛温泉の建物は明治初期築の本館と新館とが棟続きになっている
旬の山や川の幸が並ぶ、貝掛温泉の里山料理。ご飯は地元・南魚沼産のコシヒカリ
夏なお涼やかな貝掛温泉の客室にもクーラーはない

今年は県内の十日町市、津南町で「大地の芸術祭 越後妻有(つまり)アートトリエンナーレ2024」が開催される。「人間は自然に内包される」をテーマに、国内外のアーティストと地域住民とが協働で制作した作品が、里山に展示される。3年に1度行われる国際的なアートの祭典の開催地は、紹介した3軒の宿から車で1時間前後。新潟の豊かな自然の中、芸術祭とぬる湯を楽しむのが、この夏、おすすめのプランだ。

文/荒井浩幸 写真/阪口 克ほか

大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2024

マ・ヤンソン/MAD アーキテクツ「野辺の泡」
前山忠「視界」

約760平方キロという広大なエリアの屋内外に常設展示を含め、300点以上もの作品が展示される。伝統的な民家に噴き出す巨大な〝泡〞は、十日町市松代(まつだい)エリアの作品「野辺の泡」で、半透明のフィルムで覆われた泡の内部に入れる。同じエリアの「視界」は、視界を切り取る「フレーム」を設け、新たな視覚体験をもたらす作品。関連情報はこちら

■7月13日~11月10日の10時~17時(10・11月は~16時。作品によって公開日・公開時間が異なる場合あり)/火・水曜休/作品鑑賞パスポート4500円/(拠点施設の越後妻有里山現代美術館 MonETへは)飯山線、北越急行十日町駅から徒歩10分/関越道六日町ICから19キロ/TEL025-757-2637(実行委員会事務局)
公式サイトはこちら

 

清津峡トンネル

マ・ヤンソン/MADアーキテクツ「Tunnel of Light」(写真/Nakamura Osamu)
清津峡柱状節理

十日町市の南、文字通り清津川の清らかな流れと火成岩の柱状節理が織り成す渓谷美を見せる清津峡。清津峡には、過去の大地の芸術祭の作品「清津峡渓谷トンネル」(通年公開)があり、ひんやりとしたトンネルのなかを750メートル歩くと、「パノラマステーション」に着く。水盤鏡に自分の姿が映り込む光景が「SNS映え」すると人気のスポットだ。

■8時30分~16時30分(12月~2月は9時~15時30分)/無休(降雪時に臨時休あり)/1000円/上越新幹線越後湯沢駅からバス30分、清津峡入口下車徒歩30分/関越道塩沢石打ICから13キロ/TEL025-763-4800


貝掛温泉

料金:1泊2食1万8850円~(日による)/日帰り入浴1200円(11時~14時)
交通:上越新幹線越後湯沢駅からバス25分、貝掛温泉下車徒歩10分または送迎3分(要予約)/関越道湯沢ICから12キロ
住所:湯沢町三俣686
問い合わせ:TEL025-788-9911

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年8月号)
(Web掲載:2024年9月28日)


Writer

荒井浩幸 さん

1970年、埼玉県生まれ。旅に関することならジャンルを問わず、オールマイティにこなす、旅行ライター。食欲旺盛で、その「実力?」は特に味の店の連続取材の時にいかんなく発揮される! そして、昼はコーヒーを味わい、夜はお酒をたしなむ。旅とともに国内の民俗に関心をもち、研究もしている。

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