【旅して開運】富士山を望む絶景テラスと家康が愛した久能山を巡る 日本平<静岡>(2)
国宝に指定された総漆塗りの久能山東照宮御社殿
意匠や彫刻に見る家康の思い
【旅して開運】富士山を望む絶景テラスと家康が愛した久能山を巡る 日本平<静岡>(1)から続く
久能山東照宮は〝この地に墓を作って埋葬し、一周忌を過ぎたら日光に勧請(かんじょう<魂をわける>)せよ〟という家康の遺言を受け、2代将軍秀忠(ひでただ)が1617年に創建した最初の東照宮。二条城、名古屋城などを手がけた名工・中井正清(まさきよ)を棟梁(とうりょう)として、わずか1年7か月で完成したという。
境内はロープウェイ久能山駅のすぐ横。楼門(ろうもん)、唐門(からもん)、御社殿へ続く急な石段を上っていく。御社殿は家康を祀(まつ)る本殿と参拝する拝殿を石の間でつないだ〝権現造(ごんげんづくり)〟で、全国に創建された東照宮の基礎となった。2010年に国宝に指定された。
極彩色の建物は、美しいだけではない。拝殿の破風(はふ)には、子どもが水甕(みずがめ)に落ちた友人を救うために高価な甕を割ったという中国の故事の彫刻が施され、命の大切さを表すなど、意匠や彫刻にも、平和な国づくりを願う家康の思いが垣間見える。

俗世界と神域の境界となる楼門。国の重要文化財に指定

本殿の破風に飾られた、中国の故事、甕割りの彫刻
一番高い場所にあるのが御神廟(ごしんびょう)だ。家康が埋葬された場所に、3代将軍家光が建てた石塔が残る。
「家康公のご遺言により、西向きに建てられています。生まれた地の岡崎を向いているとか、西国の大名に睨(にら)みをきかせているとか、いろいろな説があります」と権禰宜(ごんねんぎ)の中西正以(まさもち)さんは言う。
境内には家康や徳川家ゆかりの品を展示する久能山東照宮博物館もある。徳川歴代将軍の甲冑(かっちゅう)が並ぶさまは圧巻。ぜひ、立ち寄りたい。

家康の墓、御神廟

歴代将軍の甲冑が並ぶ、久能山東照宮博物館の館内。9時~16時45分/400円(社殿共通800円)/TEL:054-237-2437
ロープウェイができる前は、久能山下の表参道から続く1159段の石段を上るのが唯一の参拝道だった。山上の出入り口にあたるのが一の門。帰りはこの石段を下ろうと、開け放たれた門の先を見て、思わず息をのんだ。一枚の絵のように、駿河湾の絶景が広がっていたのだ。

久能山下の表参道から久能山東照宮に続く石段

久能山東照宮一の門から望む駿河湾
ふもとには、石垣の間に苗を植える伝統的な栽培法の、石垣いちごの農園が軒を連ねる。石の放射熱を利用するので、甘く味が濃いと評判で、いちご狩り(1月~5月、要予約)やいちごスイーツも楽しめる。
家康もきっと、のどかで温暖なこの地を愛したのだろう。静岡駅から徒歩15分の所には駿府城公園や23年オープンの静岡市歴史博物館もある。足を延ばして歴史を辿たどりたい。
文/高崎真規子 写真/三川ゆき江ほか
モデルコース
静岡駅
↓(バス40分、徒歩5分)
日本平夢テラス
↓(徒歩5分)
日本平ロープウェイ日本平駅
↓(ロープウェイ5分)
日本平ロープウェイ久能山駅
↓(徒歩すぐ)
久能山東照宮
↓(徒歩20分)
久能山下バス停
↓(バス45分<東大谷で乗り換え>)
静岡駅
🍓楽しみたいスイーツ
いちご狩りパーク&いちごカフェ久能屋


いちご農家が営むカフェに土産店も併設。いちごパフェ(800円、写真)、いちご生ジュースなど、自社農園のいちごを使った豊富なメニューがそろう(オフシーズンは冷凍いちごを使用)。12月中旬~5月末は、いちご狩り(要予約)も楽しめる。
■10時~16時(営業時間は季節により異なる。要問い合わせ)/12月中旬~5月末は無休/東海道新幹線静岡駅からバス45分、久能山下下車すぐ/東名高速清水ICから13キロ/TEL:054-237-0610
久能山東照宮
■9時~16時50分/無休/500円/日本平ロープウェイ久能山駅すぐ/静岡市駿河区根古屋390/TEL:054-237-2438
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年1月号)
(Web掲載:2025年11月6日)


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