川ガニをはじめ、川魚の塩焼き、コイの甘露煮など山里ならではの料理が並ぶ

築100年以上の庄屋屋敷で味わう川の幸

秋田県中部、蛇行する雄物（おもの）川に抱かれるようにして立つ樅峰苑（しょうほうえん）は、築100年以上の庄屋屋敷を温泉宿に転用。小山田家12代当主が3年をかけて完成させた建物は、社寺建築を思わせる豪壮な造りで、国の登録有形文化財。周辺で温泉が湧出したことを期に宿を始めたのは1966年。以来、古き良き時代の木造建築の趣にふれたいという旅行客に注目されてきた。

建物は2階建て。内部は1914年の強首地震の教訓から学んだ耐震技術が施されている

そんな旅人をもてなす名物料理は、雄物川でとれる川ガニ（モクズガニ）を使った「川ガニ料理」。秋に旬を迎える川ガニはぎっしりと身が詰まっている。カニみそ甲羅焼き、つみれ汁、唐揚げ、茶わん蒸しなど昔ながらの素朴な調理法で余すところなく味わえる。中でもカニみそは、7、8匹分の川ガニのみそを使うという貴重な一品だ。地酒にも、仙北（せんぼく）地域の契約農家から仕入れるあきたこまちのご飯にもよく合う。

温泉はよう素を含んだ珍しい泉質で黄緑色。約50度の源泉をかけ流し、ヒノキの大浴場、露天風呂、宿名の由来にもなった樹齢380年以上の樅（もみ）の木を眺める貸切風呂などで楽しめる。

宿泊者専用の貸切露天風呂

文／渡辺貴由

樅峰苑
TEL：0187-77-2116
住所：大仙市強首字強首268

ひとり泊データ
条件：通年可
客室：トイレなし6畳和室など（全7室）
食事：夕・朝食＝食事処
料金：素泊まり・1泊朝食なし、1泊2食2万500円～
泉質：含よう素－ナトリウム－塩化物強塩泉
日帰り入浴：11時～17時／無休／650円　交通：奥羽線峰吉川駅から送迎10分（要予約）／秋田道西仙北スマートICから6キロ

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※記載内容はすべて掲載時のデータです。

（出典：旅行読売2025年11月号）
（Web掲載：2025年12月11日）