【ひとり、秘湯へ】温泉も水炊きも黄金色 つかって、食べて、温まる 湯元小林~ 片の瀬温泉~
黄金色に輝くモール泉。自家源泉のかけ流しで、保湿や美肌効果があるとされる
黄金色のスープの水炊きと黄金色の源泉を満喫
今年の夏は猛暑で汁物を食べるどころか、湯を沸かすのも億劫(おっくう)だった。それが、9月に入ってから日暮れ時に秋の気配を感じるようになり、鍋物が恋しくなるとは移り気の早さに我ながら驚く。
久留米市に水炊きがおいしい温泉宿があるという。九州道久留米ICから車で20分の湯元小林だ。宿の前を九州一の大河である筑後川がゆったりと流れ、予想外に静かな景色が広がる。全室リバービューで、茜(あかね)色に染まる夕空を眺めながらのんびりするのもいい。

眼下を筑後川が流れ、開放感のある景色が広がる

かつては結婚式場として使われていた建物。客室は3、4階にあり、景色もよい
水炊きと言えば、水と昆布で作る透明のスープが一般的だが、福岡では骨付きの鶏肉を長時間煮込み、スープは白やオレンジ系の色になる。

鶏のうま味たっぷりの水炊きのスープは、黄色に近い色が特徴。通販もあり
「血合いなどを手作業で丁寧に取り外した鶏ガラを耳納連山(みのうれんざん)の地下水だけで5時間、その後、香味野菜を加えて2時間煮込みます。最初25リットルあったスープが煮詰めて7リットルにまで減ってしまうんですよ。濃厚でうま味たっぷりの黄金色のスープをぜひ味わっていただきたいです」と代表の小林純一さん。
使用する鶏肉は、福岡県のブランド地鶏である「はかた地どり」。ジューシーで、加熱しても硬くなりにくいという評判の鶏だ。ひとり旅でも、調理スタッフが付き、食べ頃を見計らって取り分け、締めの雑炊まで作ってくれる。季節が寒くなるにつれて、肉の脂乗りがよくなり、鶏のうま味がいっそう楽しめるそうだ。
ほかにも、近くの生産農家から仕入れる新鮮な馬刺しや滑らかな口どけの茶碗蒸しなどが並ぶ。

ひとり旅の夕食は水炊きのコースが基本。豚しゃぶをプラスした竹コース

朝食はシンプルながら見た目の美しい和定食

レストラン。夕・朝食ともここでいただく
20年前に掘り当てたという自家源泉も魅力の一つ。植物由来のモール泉で、泉質はpH7.8の弱アルカリ性のナトリウム―炭酸水素塩・塩化物温泉。源泉温度が約34度と低いため、熱交換器で加温だけ行い、加水や循環はせずにかけ流す。水炊きと同様、色は黄金色で、湯触りはさらさらと滑らか。全10室の宿のため、貸し切り状態になる時間帯も多く、1泊で4、5回入る人もいるとか。身体が温まると評判だ。

明るい雰囲気の女性大浴場。秋冬は湯の温度を42度前後に調整している
翌日は久留米市内をドライブ。柿の産地として知られる当地で柿狩りをするのもよし、市内に点在する日帰り温泉の湯巡りも楽しい。土産には、伝統工芸品である久留米絣かすりがおすすめだ。
周辺のおすすめ観光👀
儀右ヱ門 久留米本店

西鉄久留米駅前のBJ GARDEN(ガーデン)6階にある久留米絣の専門店。220年近い歴史を持つ久留米絣の伝統を生かしながら、現代的なデザインを取り入れた商品が並ぶ。ハンカチ、コースター、小物入れといった雑貨(550円~)からブラウス、ワンピースなどの衣類まで幅広く扱っている。
■10時~19時/不定休/西鉄天神大牟田線西鉄久留米駅からすぐ/九州道久留米ICから5キロ/TEL:0942-35-2394
文/安部晃司
湯元小林
TEL:0943-73-7820
住所:久留米市田主丸町菅原2251-2
ひとり泊データ
条件:繁忙期を除く
客室:トイレあり8畳広縁付き和室など(全10室)
食事:夕・朝食=レストラン
料金(税込み)
素泊まり なし
1泊朝食 平日1万3550円~/休前日1万4650円~
1泊2食 平日2万3450円~/休前日2万4550円~
※2人1室で利用した場合は1泊2食1万4250円~
泉質:ナトリウム―炭酸水素塩・塩化物温泉
日帰り入浴:16時~20時/不定休(要電話確認)/800円
交通:西鉄甘木線金島駅からタクシー5分または徒歩30分/九州道久留米ICから11キロ
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※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年11月号)
(Web掲載:2025年12月28日)



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