【旅と駅弁・駅麺】瀬戸内の“復活駅弁”を訪ねる 山陽線&予讃線の旅(2)
松山に古くから伝わる郷土料理「醤油めし」を駅弁として販売
海を見ながら食べる駅弁「醤油めし」の味
【旅と駅弁・駅麺】瀬戸内の“復活駅弁”を訪ねる 山陽線&予讃線の旅(1)から続く
2日目は広島駅で名物「赤辛うどん」を食べてから、広島電鉄で広島港へ向かう。広島電鉄の広島駅は、25年8月に新線「駅前大橋ルート」が開通し、路面電車が駅ビルの2階に乗り入れた。まるで車両が秘密基地を出入りするかのように見えてかっこいい。広島港からはフェリーで松山観光港へ渡った。

広島駅弁当が運営する「驛麺家」の赤辛うどん580円。唐辛子を練り込んだ赤い麺が特徴で、辛いがクセになる。だしには辛みそが使われている

新しくなった広島駅電停。乗車料金は一律240円。新ルートを祝うヘッドマークが掲出されていた
時間があれば、宮島に足をのばしてもいい。宮島へのフェリー乗り場最寄りの宮島口駅では必ず「あなごめしうえの」に立ち寄る。「あなごめし弁当」を買って宮島に渡り、大鳥居に一番近いベンチに座って食べるのがおすすめだ。

宮島口から宮島まで渡るフェリーは2航路あるが、JR西日本宮島フェリーは往路で大鳥居の側を通る

宮島から見る嚴島神社の大鳥居と、うえのの「あなごめし弁当」
あなごめし弁当(並)◉あなごめしうえの(宮島口)
蓋を開けると焼き穴子の香ばしい香りに食欲がそそられる。経木の入れ物がご飯の水分を吸っておいしい状態を保つ。2700円

松山駅で「醤油めし」を買い、予讃線に乗って下灘(しもなだ)駅で下車。ホームの目の前に海が開ける大変眺めのよい駅だ。その美しい景色を求め、連日、観光客で大変にぎわっている。

高架化され、2024年9月に開業した新しい松山駅。駅前はまだ再開発中

松山駅直結「だんだん通り」にある売店で駅弁「醤油めし」を買う

下灘駅ホームのベンチに座り、眼下に広がる海を眺めながら、松山駅で買った駅弁「醤油めし」を賞味

伊予灘を見ながら走る予讃線
この「醤油めし」も復活駅弁で、もとは愛媛県松前(まさき)町の鈴木弁当店が18年に松山駅から撤退するまで売っていたものだった。それを同年に復活させ、販売を始めたのが岡山にある三好野本店。経緯を三好野本店会長の若林昭吾さんに伺った。
「愛媛県庁の方から、80年間続いた味を引き継いでほしいと連絡があり、鈴木弁当店さんの祖父と私が親しかったことから、製造を始めました。駅弁を継承する上で、その駅弁の故郷である『松山の人の気持ちを裏切らない』ということを一番大切にしています。復活後、松山の商店街の皆さんが称賛の連絡をくれたり、一般のお客様からたくさんの手紙をいただきました。地元が迎えてくれた!とうれしくなりましたね」

「醤油めし」を手に復活の経緯を聞かせてくれる三好野本店会長の若林昭吾さん
醤油めし
松山で長年愛され続けた名物駅弁が復活
980円【松山駅、高松駅】予讃線 TEL:0120-35-3355(三好野本店)

インタビューした方々のお話を思い出しながら食べる駅弁は、また格別。「この駅弁をなくしてはいけない」と使命感に似た想いで、それぞれの味を引き継いだストーリーを知るとさらにその駅弁が好きになる。これらの駅弁が長く続くよう、食べて応援していこうと思う。
モデルコース
《1日目》
神戸 10:11発
↓ (山陽線快速)
姫路 10:49着
12:50発
↓ (山陽新幹線)
福山 13:27着
13:58発
↓ (山陽線)
尾道 14:17着
17:46発
↓ (山陽線)
糸崎 17:54着
17:55発
↓ (山陽線)
広島 19:12着 <泊>
《2日目》
広島 10:20発
↓ (広島電鉄)
広島港 10:52着
11:20発
↓ (瀬戸内海汽船クルーズフェリー)
松山観光港 14:00着
↓ (連絡バス)
高浜 14:43発
↓ (伊予鉄道)
大手町 15:01着
15:06発
↓ (伊予鉄道)
JR松山駅前 15:08着
↓ (徒歩)
松山 15:45発
↓ (予讃線)
下灘 16:34発
17:08発
↓ (予讃線)
松山 18:02着
文/やすこーん 写真/坪内政美 イラスト/吉井みい

やすこーん=文
漫画家&⽂筆家。駅弁・駅そば・お酒・温泉を巡る鉄道旅が好き。代表作は『おんな鉄道ひとり旅』(⼩学館)ほか。最新刊は『ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇』(⽞光社)、『イラストで読む!鉄道知識と旅の基本 鉄道イロハ 』(イカロス出版)。ホームページは👉こちら
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年12月号)
(Web掲載:2026年1月26日)


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