【鉄道ひとり(一人)旅】線路も道路も走れるDMV 次世代車両を体験<牟岐線-阿佐海岸鉄道>
「海岸鉄道」の名にふさわしく、所々で紺碧(こんぺき)の海が見えて開放的な気分に浸れる
日本で初めて本格的な営業運転を始めた次世代の乗り物
線路も道路も両方走れる乗り物があれば便利だなあ、と思い描くのは容易でも、そう簡単にはいかない。だが実際に四国でそれが走っている。徳島県東南部の海岸線沿いの阿佐(あさ)海岸鉄道阿佐東線(とうせん<通称・あさて>)だ。車両の名称はDMV(デュアル・モード・ビークル)。2021年12月に日本で初めて本格的な営業運転を始めた次世代の乗り物だ。一度は乗ってみたい、見てみたいと思う人も多いだろうが、ちょっと遠い。しかしそれがいい。希少価値が高まる。気ままなひとり旅の行き先にもうってつけだ。
あさてつの起点となる阿波海南駅までは、徳島駅から牟岐(むぎ)線で向かう。牟岐線は阿波室戸シーサイドラインの愛称を持つが、海が見える区間は少ない。それでも春の柔らかな日差しが注ぐ車窓はのどかだ。沿線には日和佐(ひわさ)駅から徒歩15分に日和佐うみがめ博物館カレッタ、終着の阿波海南駅から徒歩15分に「阿波海南文化村」など、この地域の自然や歴史を紹介する施設がある。

日和佐うみがめ博物館カレッタのアカウミガメ。成体は全長1メートルになる(写真/日和佐うみがめ博物館)

阿波海南文化村の関船(せきぶね)展示館。地元の浅川天神社に伝わる船型だんじりがある
阿波海南駅で乗り継ぐDMVは、マイクロバスを改造した車両で定員22人。一般的な鉄道車両と比べるとかなり小さく、線路上ではスピード感が伝わってくる。阿波海南駅を出発したDMVは甲浦(かんのうら)駅までは線路上を走り、ここで鉄車輪を車体の下に収納し、ゴムタイヤで走るバスとして一般道へ降りる。乗客は乗車したまま。その後、一般車両に交じって終点の道の駅宍喰(ししくい)温泉まで走る。阿波海南駅からの乗車時間は30分。初めての体験に、時間が過ぎるのも早く感じられる。
来たルートを引き返す頃には日も暮れ、タイミングが合えば朧(おぼろ)月を眺めながらの帰路となる。

阿波海南文化村に停車中のDMV。阿波海南文化村―阿波海南駅間も一般道を走る

徳島の青い海や空と競うように、色鮮やかな車両がそろっている

里山風景の中を走るDMV。日本ではここでしか見られない光景だ
ホテルリビエラししくい <宍喰温泉>
道の駅宍喰温泉に隣接。大浴場には太平洋の深層1000メートルから湧く天然温泉が注がれ、トロリとした肌触り。サウナ、ジャグジーも備える。ひとり泊は1泊2食1万7750円~。客室は和室と洋室があり全室オーシャンビュー。
■日帰り入浴は6時30分~8時、12時~20時/無休/800円/ DMV道の駅宍喰温泉下車すぐ、または阿佐海岸鉄道阿佐東線宍喰駅から徒歩10分/TEL:0884-76-3300


コースアドバイス
◉ 阿佐海岸鉄道のDMVは定員制。空席があれば乗車できるが、希望の便に確実に乗車するには専用サイトで事前予約を。
◉ 鉄印は宍喰駅1階の改札窓口で販売している。
◉ DMVは土・日曜、祝日のみ室戸岬方面まで1日1往復運行。
文/渡辺貴由
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2026年3月号)
(Web掲載:2026年3月22日)


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