はじめてのバルト三国「ひみつのラトビア③」-首都リーガの楽しみ・伝統料理のワークショップ-
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「ピエ・ガルダ!」のマネジャー・リーヴァさん
2025年12月、ヨーロッパ北東部・バルト三国の中央に位置するラトビアを旅しました。東北6県とほぼ同じ大きさ、約6.5万平方キロの国土の約半分が森林で、ダウガワ川をはじめとする豊かな河川と、大小さまざまな湖が点在する自然あふれる国です。中世の歴史薫る街並みや、豊かな山海の幸を使ったガストロノミー、伝統の入浴法・ピルツ(サウナ)など、ラトビアにはまだまだ知られていない魅力がいっぱい。「知れば、きっと行きたくなる」そんなラトビアの〝ひみつ″をシリーズでお届けします。3回目はラトビアの伝統料理を知るワークショップのお話です。
出版社が手掛ける伝統料理のワークショップ
はじめてのバルト三国「ひみつのラトビア②」-首都リーガの楽しみ・市場のガストロツアーとおすすめレストラン-から続く
シリーズ第2回で紹介したアーゲンスカルンス市場から徒歩10分ほど。アール・ヌーヴォー調の建物に入ると、明るい雰囲気のキッチンスタジオが広がっていた。おしゃれな食器やカトラリーを使ったテーブルセッティング、かたわらには飲み物が並び、ラトビアの一般家庭におじゃましたようだ。ここはラトビア人によるラトビアの家庭料理を紹介する雑誌「ピエ・ガルダ!(at the tableの意)」を発行する出版社のスタジオ。この出版社が主催する、ラトビアの伝統料理をテーマにした「テイスト・ラトビア」というワークショップに参加した。

個人宅のようなおしゃれなスタジオ

個人宅のようなおしゃれなスタジオ
オープンキッチンの前に集まり、まずはラトビア料理の基本となる食材について教わる。講師は出版社のマネジャーで、ラトビア料理のレシピの執筆から撮影までをこなすリーヴァ・カルクレ・ウペニエツェさん。ディル(爽やかな味わいの香草)、ホースラディッシュ(西洋ワサビ)、ザワークラウト(キャベツを乳酸発酵させたもの)、サワークリーム(生クリームを乳酸発酵させたもの)、はちみつ、キャラウェイシード(セリ科の植物ヒメウイキョウの種。クミンに似た形で爽やかな香り)、マルメロ(カリンに似た果実)の七つで、それぞれ甘みや辛み、酸味、香り付けなどに使う。これらを肉や魚、豆やパン、チーズなどと組み合わせて、ラトビアらしい料理が生まれるのだという。ザワークラウトのような発酵食品が入っているのも面白い。日本の漬物のようなイメージだろうか。「ビタミンCが豊富で、胃腸にいいと古くから飲まれています」とすすめられたザワークラウトのジュースは、まろやかな酸味で意外と飲みやすい。「二日酔いの時に飲むこともあります」とリーヴァさん。

細かくした黒パンを乾煎りすると、スタジオに香ばしい香りが広がった

ワークショップ参加者がデザート作りにチャレンジ
続いてはデザートをみんなで作る。「ラトビアではデザートに古くなった黒パンを有効活用します。よく作るのは、黒パンを水、砂糖、ドライフルーツとともに煮込んだスープ仕立てのデザート。クリームをのせて食べます。今日は黒パンとクリームを重ねるレイヤーケーキ『ルップマイゼス カールトゥユムス』を作りましょう」と、リーヴァさんが細かく砕いた黒パンをフライパンで炒り始めた。香ばしい香りがスタジオに広がる。うつわに炒った黒パン、ベリーのジャム、ホイップクリームを交互にぬり重ねていき、冷蔵庫で冷やせば完成だ。
着席し、いよいよラトビアの伝統料理をいただく。前菜7品と、「スイバ」という植物を使ったスープが登場。どの料理もディルなどのハーブを多用し、魚や肉を燻製にすることで、より香り高く、味わい深い一品に仕上がっていた。素材そのもののおいしさを、より一層豊かにする調味料の使い方に感心しきりだった。

ピーラーギ(ベーコンパン)

黒パンのハーブバターのせ

サワーブレッドと燻製魚

西洋ワサビとヤツメウナギ

スモークポーク(上)&スモークチキンとキュウリの塩漬け

夏至祭チーズとリンデンの花のはちみつ

スイバのスープ。豚や野菜の滋味が溶け込んだやさしい味わい
続いてメインディッシュが5種。ディル入りのバターをたっぷりからめたジャガイモ、サワークリームやハーブを混ぜたカッテージチーズ、白身魚のマリネ、ザワークラウト、ズィルニ(灰色エンドウ豆)の塩ゆでとベーコン炒めなどが並ぶ。中でも、ズィルニの素朴なおいしさに目を見張った。ホクホクした食感の豆に、ベーコンの脂身と玉ねぎを炒めたものをかけて食べるのだが、スプーンが止まらない。味付けは塩・こしょうのみというシンプルさにも驚く。ベーコンの塩味と玉ねぎの甘み、豆のうま味が見事に調和した奥深い味わいだった。

ディル入りバターをからめたジャガイモ、カッテージチーズ、季節の魚

やさしい味わいのザワークラウト

シンプルなのに奥深い味わいのズィルニとベーコン
ワークショップの最後は、みんなで作った黒パンのレイヤーケーキを味わう。炒った黒パンは香ばしくて、ザクザクした食感も後引くおいしさ。酸味のある黒パンは、甘さ控えめのホイップクリーム、ベリーのジャムとぴったり合う。ラトビア料理は、ハーブや発酵食品、燻製といった調理法をうまく組み合わせ、素材の味を最大限引き出しているところが魅力だ。それは、「食べ物を無駄にしない」という思いがベースとなり、ラトビア人たちの間で磨かれ、受け継がれてきた文化なのだと思った。
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みんなで作った黒パンのレイヤーケーキ
テイスト・ラトビアは団体旅行向け。16人から受け付け、ひとり65ユーロ。ホームページは👉こちら
<旅のインフォメーション>
交通/成田からLOTポーランド航空で約14時間40分のポーランド・ワルシャワショパン空港で乗り換え、約1時間25分でリーガ。
時差/日本より7時間遅れ
ビザ/観光目的の場合、90日以内の滞在であればビザは不要。ただし、ラトビア出国時にパスポートの残存有効期限が3か月以上必要
通貨/ユーロ(€) 1ユーロ=184円(2026年5月20日現在)
気候/リーガの年間平均気温は夏季約23度(7月)、冬季約0度(1月)
保険/滞在期間中の治療費用を補償する海外旅行保険加入が義務付けられている。
東京(成田・羽田)からリーガまでの航空券&ホテルはこちらからご予約いただけます。
はじめてのバルト三国「ひみつのラトビア④」に続く(近日公開予定)
文・写真/中 文子
協力/ラトビア政府観光局👉公式サイトはこちら
LOTポーランド航空👉公式サイトはこちら
(Web掲載:2026年5月20日)


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