【旅する喫茶店】アイスクリームパーラー美園(北海道)
大正から昭和へ、時代の記憶が壁を埋める店内。107年分の歴史が積み重なっている
アイスクリームの味を守って百余年
小樽駅から港へ向かう坂を下るとすぐに見える、小樽都通り商店街のアーケードにある。階段を2階へ上がると、大正ロマンの雰囲気が漂うレトロな空間が広がっていた。
美園の創業は1919年。創業者の漆谷(うるしや)勝太郎さんが、外国航路の船員からアイスクリームの作り方を伝授され、店で出したところ評判になった。当時、アイスクリームを店で食べられたのは北海道ではココだけ。
現在の価値にすると1杯2000円という贅沢(ぜいたく)品だったが、映画を見終えた人々で連日賑(にぎ)わった。「映画館が並ぶ港町の中で、美園はハイカラの象徴だった」と、3代目店主の漆谷匡俊(ただとし)さんは話す。

半世紀にわたって店を守ってきた3代目店主の漆谷匡俊さん
添加物は一切使わない。「何も足さない、何も引かない」のが美園の流儀。赤井川村にある山中牧場の濃厚な牛乳、コクが深いヨード卵光と素材にも妥協しない。脂肪分が5%~6%と低く、果実も少し入ったさっぱりした風味には、店を守る匡俊さんのこだわりが感じられた。
100周年を記念して始めた「ハーフ& ハーフ」が一番人気。口コミとSNSで人気が広がり、今では看板商品として並ぶ。

ソフトタイプと硬めのクリームの両方を味わえるハーフ&ハーフは700円。コーヒー600 円との相性もぴったり
喫茶店でありながら冬場は鍋焼きうどんを出す懐の深さも地元客に愛される理由だ。最近は客の半分が外国人観光客。港町・小樽の人気店には、107年目の味を求めて今日も多くの客が訪れる。

店舗は2階にある。小樽運河などの観光スポットからも近い
文/橋長初代 写真/宮川 透
北海道小樽市稲穂2-12-15
TEL:0134-22-9043
営業:11時〜17時/火・水曜休(祝日などの場合は振替日あり)
交通:函館線小樽駅から徒歩5 分
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2026年7月号)
(Web掲載:2026年7月12日)


Tweet
Share