【私の初めてのひとり旅(一人旅)】畑中葉子さん 沖縄(1)
はたなか・ようこ[歌手・俳優]
1959年東京都八丈島生まれ。78年、恩師・平尾昌晃氏とのデュエット曲「カナダからの手紙」でデビューし、同年のNHK紅白歌合戦に出場。俳優としても映画などで活躍した。91年から子育てのため休業したが、2010年に完全復帰。22年10月に37年ぶりの新曲として「夜雲影(やうんえい)」を、23年にはデビュー45周年記念として「八丈島からの手紙」を配信リリース。
沖縄の隠れ家ホテルに癒やしの旅へ、夜はテラスで月を眺め続けた
私、ひとりが好きなんです。旅行も誰かと一緒だと気を使っちゃう。あそこへ行きたい、これが食べたいって言われると、それでいいよっていうタイプ。疲れて帰りたくても言い出せない。だったらひとりのほうがいいかなって。
芸能界に入ってから、海外へ行くときは、仕事の後にちょっと観光という感じで、旅行だけだと時間を持て余しちゃいます。それくらいがちょうどいい。だから、本当の意味でひとり旅をするようになったのは割と最近です。
2022年に作った楽曲の配信リリースがボツになり、次に作った「夜雲影」は発表まで時間がなく無理したせいで心身ともに疲れちゃった。その時の癒やしの旅が8月に2泊3日でひとりで行った沖縄でした。
八丈島生まれなので、暖かい島が好きなんです。沖縄は仕事で何度か訪れましたが、親交のある漫画家のいしかわじゅんさんが「リヤドランプ」というホテルに泊まった様子をSNSに投稿したのを見て、行ってみようと。那覇空港からタクシーで40分ぐらいですが、運転手さんも知らなかった。本当に隠れ家のようなところなんです。
「リヤド」というのはモロッコの伝統的な邸宅を改装したホテルのことで、建物の中央にパティオ(吹き抜けの中庭)があるのが特徴です。本島南東の南城市にある5部屋しかない小さな宿。モロッコから資材を取り寄せて建てたらしく、イスラム建築の装飾やモザイクタイル、噴水などが施されていて、異国情緒たっぷりなんです。高台にあって、周りはバナナやサトウキビ畑ばかりの静かな環境が私にぴったりでした。
泊まったのは最上階の一番大きな部屋で、中央には広めのバスタブがあるんです。部屋の中でも自然の音しか聞こえないんですよね。そういうところで本を読んだり、テラスで静かに海を眺めて座っていたり、夜はずっと月を眺めていました。それだけで、癒やされるんです。

リヤドランプのインフィニティプール越しに海を望む
オーナーに教えてもらった久高島(くだかじま)は、ホテルから歩いて5分足らずの知念岬近くの海岸から見えます。島全体が聖地で「神の島」として守られているそうです。近くの港から船で渡れるようですが、私は浜から眺めるだけでした。
ホテルの食事は海や畑でとれた食材を使い、モロッコの伝統的な煮込み料理のタジン鍋やデザートなど、すべてオーナー夫人の手作り。食器のセンスも良く、写真映えします。ナスと牛肉のボロネーゼは今まで食べた中で一番おいしかったです。

リヤドランプのテラスで朝食を
オーナー夫妻の宿泊客との距離感も最適で、このホテルがすっかり気に入って、昨年1月にも再訪させていただきました。行き詰まったら違う場所に身を置く。そういう意味でも旅は大事だなと思いました。
話/畑中葉子 聞き手/田辺英彦
【私の初めてのひとり旅(一人旅)】畑中葉子さん 沖縄(2)へ続く(8/27公開)
(出典:「旅行読売」2026年9月号)
(Web掲載:2026年8月26日)


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