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旅よみ 俳壇 旅行読売2026年11月号

場所
旅よみ 俳壇 旅行読売2026年11月号

法螺貝は修験道の修行や儀式で使われる(写真/ピクスタ)

【特選】

先達の法螺(ほら)貝響く秋の暮
 ◉四日市市 堀田久美子
<評>先達はかなりの経験者でもあり信仰の深い人。もちろん法螺の音もありがたい。人物像もだが、この句に音を持ってきたところが作者の手柄。また秋の暮がその頃合いを上手(うま)く伝えてくれていた作品。

【入賞】

車窓より紺碧(こんぺき)迫る夏の海
 ◉さいたま市 竹内白熊
<評>動きのある作品であり、こちらもその場がよく見えてきた。それは夏の海だからこそであって、季題が動かない。

夢の跡青葉の城や天の川
 ◉大田区 豊島 仁
<評>ここに政宗が来るところは意外性もあり、見どころが多い句となっている。中七の気持ちも良く反映されていた。

鍵盤に指を走らす帰省の子
 ◉江戸川区 岩井千恵子
<評>いかにも帰省の子らしい。しかし大人に成長している部分も伝わってきており、甘くない作品となっている。

すれ違う線香の香や秋澄めり
 ◉神奈川県中井町 竹 和世
<評>秋の彼岸であろうか、しみじみとした一句。季題も効いているし、人の動きも良く描かれていて臨場感があった。

【入選】

梅雨空を眺めて歩く明治村
 ◉川崎市 柳内恵子
夕立の金色堂の雫(しずく)かな
 ◉練馬区 曽根新五郎
終電後守宮(やもり)張付く無人駅
 ◉伊予市 福井恒博
子規庵の根岸の里の糸瓜(へちま)かな
 ◉つくば市 有阪貴男
仰向けで充分高原のプール
 ◉杉並区 森 秀子
毘沙門(びしゃもん)の朱(あか)に溶けこむオニヤンマ
 ◉豊島区 田多井敏子
灯台に夏がはじける野島崎
 ◉市川市 井田千明
夕なぎや釣宿に灯(ひ)のともりたる
 ◉茨城県利根町 中澤則明
秋澄んで壁のギターに風の音
 ◉神奈川県中井町 笹尾雅美
比叡より京尽くし見る夏霞
 ◉奈良県広陵町 中西トミ子

【佳作】

白南風(しろはえ)に切符売場の列絶えず
 ◉横浜市 茅房克一
八朔や切符一枚胸に入れ
 ◉八王子市 沼田健一郎
小笠原見へ海亀にすぐ会へし
 ◉千葉県酒々井町 梅澤波葉
夏の日を黄金に溶かし日本海
 ◉埼玉県吉見町    青木雄二
梅雨空や湯釜蒸れをる白根山
 ◉上田市 中野康子
御朱印を乞ふ當麻寺や夏の蝶
 ◉日高市 渡辺義子
リンゴ園老夫ひとりの袋掛け
 ◉行田市 根岸保
ヤドカリをよける私の足の跡
 ◉さいたま市 小林茜音
仰反(のけぞ)れば都府楼跡の鰯雲
 ◉足立区 山崎勝久
中学生ボランティアする花火かな
 ◉松山市 友澤恭子


俳壇選者_星野先生300X300.jpg

<選者>「玉藻」主宰 星野 高士(ほしの たかし)
神奈川県出身。鎌倉虚子立子記念館館長。句集に『残響』『無尽蔵』『破魔矢』『渾沌』など。テレビ、ラジオでも活躍。

星野高士先生の総評

今回の投句でも、ちゃんと物を見ている俳句が多かったですね。ところで、松山市で先月行われた俳句甲子園全国大会の審査に行ってきました。全国の予選を勝ち抜いた高校生の俳句はかなり進化しています。そんな中でもちゃんと物を見ている俳句は飽きません。高浜虚子が唱えた「客観写生」は永遠なのです。

星野高士先生のワンポイント俳句講座

「人と人を繋(つな)ぐ俳句」

7月に千葉県勝浦市の長秀寺で、欧州連合(EU)初代大統領のヘルマン・ファンロンパイさんの句碑が除幕されました。ファンロンパイさんの句の邦訳は<寛容の繋ぐ浜辺や平和の海>。ファンロンパイさんは本当に俳句を愛されている方で、その句は人と人を繋いでいます。そして世界平和を切に願っています。

句碑が建てられたあたりからは勝浦市に隣接する御宿町の海岸が見渡せます。その近くでは、約400年前に、フィリピンからメキシコへ向かう途中のスペイン船が難破。乗組員300人以上が地元民によって救助され、手厚く保護されました。この逸話は慈愛と寛容の象徴として今日に語り伝えられています。地元の岡西宣江さんをはじめとする俳句愛好団体の若菜会や、様々な関係者の努力でこのすばらしい句碑ができました。

句碑には作者の魂があるといっても過言ではないでしょう。そこに行けばファンロンパイさんの魂にふれることができます。ぜひ皆さんもこの場所を訪れて、人と人を繋ぐ俳句というものを感じとってください。

旅よみ俳壇2026年11月号星野先生カット写真IMG_0075.jpg
左から岡西宣江さん、ファンロンパイさん、筆者


【応募方法】
旅で詠んだ俳句、風景や名所を詠んだ俳句をお送りください。特選句には選者の直筆色紙と図書カード、入賞句には図書カードを進呈します。応募には「月刊旅行読売」に添付の「投句券」が必要です。「月刊旅行読売」は全国の書店またはこちらの当社直販サイトで送料無料でお求めいただけます。

(出典:旅行読売2026年11月号)
(Web掲載:2026年9月28日)

※連載「旅よみ俳壇」トップページはこちら


Writer

たびよみ編集部 さん

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