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旅よみ 俳壇 旅行読売2026年10月号

場所
旅よみ 俳壇 旅行読売2026年10月号

世界遺産・厳島神社を背に、野生のニホンジカ(写真/ピクスタ)

【特選】

宮島の鹿に聞こゆる神の声
 ◉川口市 清正風葉
<評>鹿の声といえば、その物悲しさを詠みたくなるのだが、一段階、飛び越えて、宮島にいる鹿ならば神の声を知っているのではないか、と思いを引き上げたところが秀逸である。宮島の澄み渡った空間までも連想させる。

【入賞】

鉄橋の徐行サービス紅葉晴
 ◉世田谷区 石川 昇
<評>こういう粋な計らいをしてくれる列車なら大歓迎。紅葉の時期に来た満足度は鉄橋のリズムよき音とともに百パーセントだろう。

薄雪草(うすゆきそう)卓に万平(まんぺい)ホテルかな
 ◉川崎市 柳内恵子
<評>万平ホテルといえば軽井沢。宣伝に加担するわけではないが、やはり、比較的高地で咲く白い薄雪草には万平ホテルがぴったり。

夏の雲アルペンルートひとっ飛び
 ◉南魚沼市 堀口順子
<評>立山黒部アルペンルート。トンネル電気バス、ケーブルカー、ロープウェイと乗り継いで行く人たちを、天上の雲は笑っているだろう。

石庭の青水無月(あおみなづき)の砂の渦
 ◉練馬区 曽根新五郎
<評>六月といわずに青水無月と表現した石庭の「砂の渦」。石の白さしか眼前にはないのに、なぜか青さがきらめく巧みさに惑わされる。

【入選】

洛中にじつと居座る熱帯夜
 ◉足立区 山崎勝久
新涼や下駄(げた)ばきで行く裏の墓
 ◉所沢市 木下富美子
足踏み千回また登りたし比叡山
 ◉姫路市 桜 ほほ子
鯊(はぜ)舟に父とわけあう握り飯
 ◉神奈川県中井町 笹尾雅美
薪能(たきぎのう)夜鷹(よたか)も見るか佐渡の島
 ◉鎌ヶ谷市 藤本嗣子
小野川や言の葉交はす螢ゐて
 ◉新宿区 居林まさを
太綱や滾(たぎ)る朝焼け夫婦(めおと)岩
 ◉大田区 豊島 仁
小名木川(おなぎがわ)目高追ひつつ歩を早め
 ◉茨城県利根町 中澤則明
新緑に太文字踊る朱印帳
 ◉埼玉県宮代町 三神岳酒
英彦山(ひこさん)の山伏の声霧晴らす
 ◉四日市市 堀田久美子

【佳作】

雷雨撃つ洞瘤(うろこぶ)深き屋久杉よ
 ◉横浜市    茅房克一
逝く夏や発車ベル待つ旅鞄
 ◉さいたま市 竹内白熊
転寝や沖の風来る夏座敷
 ◉埼玉県 青木雄二
素泊まりの夕餉や鯵を買ふ港
 ◉府中市 桜井光
ひまわりの咲く日をまちて日々過ごす
 ◉津市 山本みのり
ジャカランダ見上げる先に青き海
 ◉八王子市 沼田健一郎
石畳に蹄鉄の音ヴィエナ初夏
 ◉市川市 冨山透
マラソンやぺんぺん草の中を行く
 ◉さいたま市 小林茜音
車麩を求め初夏の近江町
 ◉高岡市 大川浩史
河川敷大凧揚る祭かな
 ◉行田市 根岸保


俳壇選者_津髙里永子300x300.jpg
<選者>「墨BOKU」代表 津髙里永子(つたか りえこ)
兵庫県出身。「小熊座」同人。よみうりカルチャー講師。句集に『地球の日』『寸法直し』、著書に『俳句の気持』など

津髙里永子先生の「総評」

昨今、投句数がかなり増えてきた。たいへん嬉しいことである。旅の俳句は、ややもすればポスターに添えられるキャッチフレーズみたいな句になりがち。よく投句してくださる常連さんたちの中には、そのあたりを充分に配慮しておられる方もおられ、ますます磨きがかかってきた。また、新しい人たちの句の新鮮さにも驚かされている。ただ、楽しい句や面白い句なのだが、季語の入っていないことがあり、やはり、始めのうちは「季語」と「定型」は守るべきではないか、という基準で句を選んでいるのであしからず。ほんとうは「あのー、そこのアナタ! 季語が入っていませんよーッ」と教えてあげたくなる。

津高里永子先生のワンポイント俳句講座

YouTubeで俳人の実像に触れる」

このワンポイントをご覧になられている方々は、パソコンやスマホの使い方に慣れていることを思う。それならば、YouTubeの機能を活かして、俳句の世界でも動画とか映像で、季語の世界に触れることができるし、俳人のナマの声や作句工房も聴けるインタビューに収録されていたりする。私が責任者として公開しているのは「現代俳句協会」の「つるかめインタビュー」という九十歳前後の現役俳人方の素顔がのぞけるもの。その他、検索してみると、もうこの世におられない著名な俳人の声やお顔の映像が残っていたりするのもある。お試しあれ。


【応募方法】
旅で詠んだ俳句、風景や名所を詠んだ俳句をお送りください。特選句には選者の直筆色紙と図書カード、入賞句には図書カードを進呈します。応募には「月刊旅行読売」に添付の「投句券」が必要です。「月刊旅行読売」は全国の書店またはこちらの当社直販サイトで送料無料でお求めいただけます。

(出典:旅行読売2026年10月号)
(Web掲載:2026年8月28日)

※連載「旅よみ俳壇」トップページはこちら

Writer

たびよみ編集部 さん

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