特別なお守りを求めて
熊野大社の「たまゆら守」
熊野大社(山形)
日本三熊野の一つに数えられ、“東北の伊勢”とも称される。境内に30柱の神様が祀られ、本殿に祀られているのが、あらゆる命を生み出し育む「むすひ」の神様だ。本殿の裏側には3羽のウサギの隠し彫りがあり、これを見つけると恋や願い事がかなうという言い伝えがある。
毎月、満月の夜に月の光とウサギに導かれて縁が結ばれるようにという願いを込めた「縁結び祈願祭 月結び」が行われている。この祈祷を受けた人へ撤下品として、お守り「たまゆら守」が限定で授与される。月ごとに、異なる色の「たまゆら守」が用意されている。
出羽三山神社(山形)
出羽三山とは羽黒山、月山、湯殿山の総称。明治時代までは神仏習合の修験道の山で、明治以降に神社となりそれぞれに神様が祀られている。
羽黒山、月山に続き、奥の院と称される湯殿山が開かれて出羽三山がそろったのが丑年。丑年の今年は開山成就の年とされ、参拝すると12年分のご利益があるといわれている。これを記念し12月31日までの丑の日限定で、御縁年特別御守として「丑の日守」の頒布が行われている。このほか、羽黒山の杉の木を使って丑の判子を押した「丑歳御縁年守」などの頒布も行っている。
鷲子山上神社(栃木)
境内が栃木と茨城の2県にまたがる珍しい神社で、県境が大鳥居と本殿の中央を通る。祭神は、天日鷲命という鳥の神様。フクロウが神様の使いとされ、幸福を呼ぶ神鳥として崇められている。
境内に多くのフクロウ像があり、特に日本最大級という高さ7㍍の大フクロウ像は迫力がある。お守りもフクロウにちなんだものが多く、特別御守「金の福ふくろう 福守」は1・15・29日と祝日のみに授与される。「不苦労」の語呂から、運気アップ、金運などの信仰が厚い。御朱印や御朱印帳、絵馬などにもフクロウが描かれ、人気を集めている。
久伊豆神社(埼玉)
1500年近く前の欽明天皇の頃、出雲族の土師氏が東国へ移住する際に出雲族の神・大已貴命を当地に祀ったのが始まりという。「くいず」と読める名から「クイズ神社」として人気で、テレビのクイズ番組で予選会場になったこともある。
昭和初期に皇室より奉納されたクジャクの子孫が今も神社のシンボルとして大切に飼育され、毎月9日を「孔雀の日」としている。この日は特別に祈願し護符と一緒にクジャクの羽が入った「白救邪苦 御守」を頒布。クジャクに「救邪苦」の漢字をあてたもので、邪なものや苦しみから救ってくれるといわれる。
蛇窪神社(東京)
干ばつで飢饉の危機が迫った際に、古池のほとりにある龍神社に雨乞い祈願をしたところ大雨が降ったことに感謝し、神社を勧請したのが始まりと伝わる。この地に白蛇が住んでいたとされ、境内に白蛇の像を配した白蛇辨財天社もある。
夢巳札は、天然記念物の「岩国のシロヘビ」(山口県)の脱皮と蛇窪大明神の守護札を納め、神社の祠で祈願したお守り。正月と12日に1度の巳の日限定で頒布している。白蛇辯財天社の改修、また2023年に鎮座700年を迎えることを記念し、絵巻風に由緒を描いた見開きの記念御朱印も2022年12月30日まで頒布中。
阿佐ヶ谷神明宮(東京)
東征の帰途に現在の阿佐ヶ谷に立ち寄って休息した日本武尊を慕い、社を設けたのが始まりとされる。境内には深い森が広がり、骨董市や植木市、伝統芸能の奉納なども行われている。
2015年から頒布している「神むすび」は、珍しいレースブレスレット型のお守り。一体一体の最終奉製作業は巫女による手作業だ。手首に巻いたり、バッグに付けて持ち歩く。通年で20種以上あり、中でも神むすび「金鳥居」は神社の重要な祭典がある日にのみ頒布。祭典の日は毎年変わり、今年8月以降は9月10日~12日、10月18日、11月23日が頒布日だ。
(出典「旅行読売」2021年9月号)
(ウェブ掲載2021年8月26日)