高尾山で朝焼けの富士山を望む(1)
早朝の静けさと新鮮な空気を味わい、標高599㍍の高尾山山頂から紅富士を望む
「高尾599ミュージアム」で高尾山について学ぶ
都心から電車で約1時間と近く、家族連れでも登れる山として人気の高尾山。2021年7月には最寄りの京王高尾線高尾山口駅から徒歩すぐのところに活動型ホテル「タカオネ」がオープンした。宿泊すれば始発電車も走っていない夜明け前から登山を始め、山頂から朝の絶景を望める。さっそく挑戦しに来た次第である。
まずは情報収集に「高尾599ミュージアム」へ。登山マップを無料配布するほか、高尾山の歴史や生息する動物、植物、昆虫について学べる。高尾山の森林は冷温帯と暖温帯の境界にあるため植物の種類が多く、山岳信仰の霊山とあって殺生(せっしょう)が禁じられたこともあり、豊かな自然が守られてきた。
「高尾山はスミレの山とも呼ばれ、4月上旬から5月上旬にはタカオスミレ、エイザンスミレなど、さまざまなスミレが見られますよ」とはミュージアムの学芸員の山中菜美さん。可憐(かれん)な季節の花を愛でながらの登山もよさそうだ。
タカオネに前泊して焚火や地ビールを楽しむ
日が暮れる前に「タカオネ」にチェックイン。5タイプの客室はいずれもフローリングで、壁に下げられたテーブルやイスを自由に配置して、自分好みの空間にできる。部屋ごとに薪(まき)一束が提供されるのも特徴で、焚火(たきび)台を備えた中庭や一部客室のテラスで焚火が楽しめる。焚火のコツは点火前に燃えやすい細い薪をたくさん用意すること。当然、大きな薪を細くする薪割り作業が必要になるが、その作業は自分で行う。
「薪割り機を使えば、薪を刃に当てて上からハンマーで叩(たた)くだけですから、子どもでも簡単に割れますよ」とお手本を見せてくれたのは、スタッフの田中俊輔さん。ポンと叩くとスパッと薪が割れ、なかなか面白い。着火剤に火をつけ、細い薪を載せる。パチパチと音を立てて炎が上がったら、大きな薪をくべていく。次第に大きくなる焚火を眺めながら、館内のレストランで購入したタカオネオリジナルビールをグビリ。ホテル泊でキャンプ気分が味わえるとは、何とも斬新だった。
文・写真/内田 晃
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住所:東京都八王子市高尾町2264
交通:京王高尾線高尾山口駅から徒歩すぐ
料金:1泊朝食8000円~(※掲載時の料金。最新の情報はホームページなどをご確認ください)
TEL:042-662-3955
(出典:「旅行読売」2022年5月号)
(WEB掲載:2022年5月28日)