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【私の初めてのひとり旅】市川紗椰さん 東欧(2)

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【私の初めてのひとり旅】市川紗椰さん 東欧(2)

いちかわ さや(モデル)

1987年、愛知県生まれ。父親はアメリカ人、母親は日本人で、幼少期から14歳までアメリカ・デトロイトで育つ。帰国後に早稲田大学卒業。「ViVi」「sweet」「MORE」など各雑誌でモデルとして活躍。2016年~17年はフジテレビの報道・情報番組「ユアタイム」で司会を務めた。鉄道ファンとしても知られる。著作に『鉄道について話した。』(集英社)など

 

「その何もしなくてもいい感じが好きなんです」

【私の初めてのひとり旅】市川紗椰さん 東欧(1)より続く

国内のひとり旅は、都内の高校に通う10代の頃は、西武鉄道のレッドアローなど近場の電車に日帰りで乗るくらいでした。大学に入って泊まりで出かけるようになり、鉄道に加えて当時はまっていたハンバーグが旅のテーマになりました。鉄道で地方に行き、地元のハンバーグの店に入る旅が多かったです。

夜行列車が好きで、特に北斗星(2015年廃止)などで向かった北海道は印象に残っています。上野から札幌まで行き、その日のうちに戻ってきたこともありますし、苫小牧(とまこまい)で日高線(2021年、一部廃止)に乗り換えたこともあります。

日高線は、下り線で右側の窓を開けると頬に波しぶきが当たるほど海が近い場所があり、左の車窓にはサラブレッドが闊歩(かっぽ)する牧場が広がり、北海道にしかない壮大な風景が魅力でした。列車の走行音がどことなく馬の足音のように聞こえました。行き止まりの盲腸線ならではの〝世界の果て感″がありました。どこかの駅で降りて焼きハンバーグカレーを食べた記憶があります。夜行列車も日高線も大半が廃止になってしまい、残念です。

鉄道旅の車内では特に何もしません。写真もほとんど撮らず、ぼうっと外を眺めているか、車内に貼ってある地元の広告を見ているか、走行音が聞いているか。スマホでローカルラジオを聞いていることもあります。その「何もしなくてもいい」感じが好きなんです。なぜなら、その間、移動しているから。自由を感じます。鉄道旅は「なにかしてなきゃ」という日常から開放される特別な時間です。

聞き手/福﨑圭介

海沿いを走る日高線。2021年4月、鵡川ー様似駅間が廃止(写真/ピクスタ)
日高線の車窓に映る線路と海

(出典:「旅行読売」2022年11月号)

(Web掲載:2022年12月21日)

~読売旅行のひとり旅~はこちら


Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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