【愛しの冬列車】満腹旅!またまたやりました! 駅そば はしご旅(2)
戸倉駅にある信州そば かかしの自家製もつそば700円(※掲載時の料金)
しなの鉄道で長野駅へ向かう
【愛しの冬列車】満腹旅!またまたやりました! 駅そば はしご旅(1)から続く
翌日は朝から駅そば! 戸倉駅の信州そば かかしで自家製もつそばを食べる。かけそばに味噌(みそ)味のもつ煮を載せたものだが、もつ煮が絶品。まったく臭みがなく、いろいろな部位の食感も楽しめた。
「もつ煮は新鮮な豚の内臓を一頭丸ごと仕入れ、丁寧に下処理してから天然素材のだし汁で煮込みます」と店主の丸山美智子さんは胸を張る。4種の削り節(花カツオ、宗田カツオ、本カツオ、サバ)と煮干し、利尻昆布を使っただしをはじめ、かえし、天ぷらもすべて手作り。
カウンターに並ぶ総菜もすべて手作りで、焼きたてのレバー串焼きをもらうとうまいのなんの。品書きに生ビールを見つけた時はクラクラしてきた。ここで1日が終わりそう。断腸の思いで長野駅へ向かった。
欲張って姨捨の絶景や上諏訪の温泉も堪能
長野駅から松本駅への途中、日本三大車窓に数えられる姨捨(おばすて)駅付近の絶景や北アルプスが大きな窓から望めた。松本駅の駅そば榑木川(くれきがわ)松本駅店では、なんと!本格的な八割そばが味わえた。
「駅そばの使命である速さと安全面から冷凍麺を使っています。八割そばは冷凍すると切れやすくなるので開発に苦労しました」と社長の吉澤文武さんは教えてくれた。
この店は2021年4月に出店。八割そばの味を引き出すスープには、カツオ節(本節、宗田節)、ウルメイワシ、サバ節、利尻昆布などで取っただしが使われている。
食後、篠ノ井線と中央線で小淵沢駅を目指す。途中、下諏訪駅から日帰り温泉・旦過(たんが)の湯に寄り道した。内湯は泉温44度前後の「やや熱め」と47度前後の「熱め」の二つがあり、このうち〝熱めの湯〟は相変わらず熱く、腰までつかるのが精一杯だった。地元の方いわく「熱めはゆっくり体を沈めるのがコツ」とか。まずは泉温の低い露天風呂で体を慣らしたい。
駅そば旅の最後は小淵沢駅の名店でしめる
最後は小淵沢駅の丸政(まるまさ)そば 小淵沢店。「厚切り甲州かつサンド」や「そば屋の天むす」といった駅弁で有名な1918年創業の丸政が営む。駅そばは1956年から。
一番人気は山賊(さんぞく)そばで、巨大な鶏もも肉の唐揚げがドンと載る。ニンニク醤油(しょうゆ)の下味がきいていて、そのまま食べてもうまいが、伝統の甘辛い汁につけるとまたうまくなる。スッとかみ切れる豚バラ軟骨、甘辛く煮た馬肉、紅生姜(しょうが)天など個性派の具材もぜひ味わいたい。
「12月1日から〝海賊そば〟を始めます。食材はまだ内緒ですが、衣の中身はほっこりと軟らかくおいしいですよ」と社長の名取政義さん。くぅ〜。食べたいぞ。駅そばはしご旅の第2弾、早くも決定である。
文・写真/内田 晃
信州そば かかし
7時30分〜13時40分/無休/しなの鉄道戸倉駅改札内と改札外(待合室)
TEL:なし
7時20分〜19時10分/無休/篠ノ井線松本駅改札内(1番線ホーム)
TEL:0263-31-5321(榑木野)
5時30分〜21時30分/無休/240円/中央線下諏訪駅から徒歩13分
TEL:0266-26-7520
7時〜19時50分/無休/中央線・小海線小淵沢駅改札外(2階)
TEL:0551-36-2521(丸政)
※掲載時のデータです。最新のデータは各店にお問い合わせください。
(出典:「旅行読売」2023年1月号)
(Web掲載:2023年2月6日)