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【愛しの冬列車】WEST EXPRESS 銀河 紀南コース(2)

場所
> 京都市、新宮市
【愛しの冬列車】WEST EXPRESS 銀河 紀南コース(2)

紀勢線の古座-紀伊田原駅間は海の近くを走る

 

地元ならではのおもてなしの数々

【愛しの冬列車】WEST EXPRESS 銀河 紀南コース(1)から続く

出発から2時間27分後、和歌山駅に到着した。このツアーでは主要な駅で、料金に含まれるおもてなしが用意されている。最初は名物の和歌山ラーメンだ。徒歩3分の店でテイクアウトし、駅のベンチや車内で食べる。豚骨醤油(しょうゆ)のスープが絶妙で、深夜なのに完食。

翌朝6時前、暗い車窓に赤く染まり始めた空と、しらじらと光る海が見えた。小さな漁船や集落の明かりに旅情を掻(か)き立てられる。まるで映画のスクリーンを見るように、うっとりと堪能した。

 

深夜の和歌山駅で「麺屋ひしお」の和歌山ラーメンのおもてなし。銀河特製の海苔付き。車内のフリースペースで
和深(わぶか)―田並駅間を6時前に通過。空が白み始めてきた
串本駅から専用バスで5分の橋杭岩へ。朝日がキレイ
朝日の中でジオガイドの解説を聞きながら観賞する

地域住民との連携が生むおもてなしはさらに続く。早朝の串本駅で下車し、ジオガイドの解説を聞きながら橋杭岩(はしぐいいわ)を観賞。大小40余りの岩柱が、朝日を浴びてそそり立つ姿を目に焼き付ける。

串本を出発後、朝食の弁当「漁師の朝ごはん」が配られ、潮の香が漂うほどうま味のきいた鯛めしを車内で味わう。その後は熊野比丘尼(びくに)に扮(ふん)した語り部が現れて「熊野曼荼羅(まんだら)絵解き」を披露。ユーモアたっぷりの語り口に、乗客もみんな笑顔だ。

 

地元店「空海」から運ばれた「漁師の朝ごはん」。地ダコや貝も珍味
比丘尼姿の語り部による「熊野曼荼羅絵解き」で熊野信仰に触れる

新宮駅に着くと駅舎のあちこちに、熊野の神々の使いとされる八咫烏(やたがらす)が描かれていた。聖地の入り口にたどり着いたようで胸がときめく。構内では銀河の乗客に向けて自慢の産物が販売されており、中には銀河限定のオリジナル商品も。

銀河の乗客を対象にした無料のオプショナルツアーがあると聞き、参加した。ガイドの案内を受けながら、新宮駅から歩いて熊野速玉(はやたま)大社へ。樹齢1000年といわれる御神木・ナギの木の前で、熊野信仰にまつわる話を興味深く聞いてから参拝。

ツアー終了後は自由散策。ぶらぶら歩いて香梅堂の戸を開けた。評判のカステラ「鈴焼」を買い求め、駅近くにのれんを掲げる食事処・かつ田に入る。目当ては勝浦のマグロを使った「近海まぐろ丼」。鮮度抜群のマグロを、地元ならではの値段で味わえるのは感激だ。

お腹も心も満たされて、銀河の魅力について考えてみた。熊野灘の絶景はむろんだが、乗客や地元の人々から熱い鉄道愛を感じたことも印象的だった。観光列車で人と人をつないでゆく新たな旅のスタイルに、ローカル線の未来を見た思いだ。

文/北浦雅子 写真/宮川 透

 

熊野速玉大社

熊野本宮大社、熊野那智大社とともに熊野三山の一社として古くから崇敬される大社で、「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産として世界遺産に登録されている。熊野川の河口近くに鎮座し、熊野速玉大神、熊野夫須美大神を主祭神とする。

5時〜17時(授与所は8時〜)/無休/参拝自由/紀勢線新宮駅から徒歩17分
TEL:0735-22-2533

香梅堂

明治元年創業の老舗御煎餅処(おせんべいどころ)。熊野三山の神鈴をモチーフにした一口サイズのカステラ「鈴焼」が全国的に有名だ。最高級の和三盆が生む上品な甘さと、ふんわりした食感を求めて遠方から買いに来る人も多い。おみやげにも喜ばれる逸品。

8時〜21時(日曜は8時30分〜17時30分)/不定休/紀勢線新宮駅から徒歩13分
TEL:0735-22-3132

かつ田

新宮駅前でまぐろ丼が味わえる食事処で、お得なランチタイムが特に人気。しらす丼やうなぎ丼、にぎり寿司などのほか、郷土料理の「めはり寿司」も味わえる。親切な接客で旅行者もくつろげるので夜もおすすめ。

11時〜13時30分、17時〜20時30分/水曜・第4木曜休/紀勢線新宮駅から徒歩2分
TEL:0735-22-6388


WEST EXPRESS 銀河(紀南コース)

運行区間:京都-新宮
運行日:2023年3月まで月・水・金・日曜を中心に週に2往復程度(新宮行きは夜行、京都行きは昼行)
料 金:宿やほかの列車の乗車がセットになった旅行商品として販売。旅行商品によって料金が異なる
予約方法:公式ホームページで案内中の各旅行会社で受け付け

※掲載時のデータです。最新の情報はホームページなどをご確認ください。

 

(出典:「旅行読売」2023年1月号)

(Web掲載:2023年2月2日)

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Writer

北浦雅子 さん

和歌山の海辺生まれで、漁師の孫。海人族の血を引くためか旅好き。広告コピーやインタビューなど何でもやってきた野良ライターだが、「旅しか書かない」と開き直って旅行ライターを名乗る。紀伊半島の端っこ、業界の隅っこにひっそり生息しつつ、デザイナーと2人で出版レーベル「道音舎」を運営している。https://pub.michi-oto.com/

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