【私の初めてのひとり旅】安藤美姫さん アメリカ(2)
あんどう みき(フィギュアスケーター)
1987年、名古屋市生まれ。小学6年生から国際大会に出場。世界選手権で2度、優勝を果たした。五輪は2006年トリノ大会、10年バンクーバー大会に出場。13年に現役引退後はプロに転向し、アイスショーなどに出演している。振付師、指導者としても活動する。テレビ、雑誌などでも活躍し、ボランティア活動にも積極的に取り組んでいる。上の写真は2度目の五輪出場となったバンクーバー大会での演技(写真/読売新聞社)
「海外で暮らしたことで、本当の自分になれたような気がしま」
【私の初めてのひとり旅】安藤美姫さん アメリカ(1)より続く
結局、バンクーバー五輪の後までアメリカで生活しました。ハッケンサックでは、練習場の近くに自分でアパートを借りて住んでいました。普段はリンクとアパートの往復でしたが、ニューヨークまで車で20分ほどなので、週末はほかの選手と出かけました。映画を観たり美術館に行ったりして、ミュージカルもよく観ました。シカゴ、ライオンキング、レント……。演技やストーリーからインスピレションを得ることもありましたが、スケートの勉強というよりもリラックスするためでしたね。劇場や観客の雰囲気を味わうのが好きでした。その後、モスクワを練習拠点にしたこともあります。海外で暮らしたことで、本当の自分になれたような気がします。
競技から引退した後はいろんな国でアイスショーに出るようになりましたが、ほとんどひとりで行っています。ドイツ、イタリア、イス、スペイン、カナダ、アメリカ、韓国。プロはお客様に見ていただくものをみんなで作るので、競技とは違った責任感があります。最近はコーチの仕事も多くなりました。指導者になるのが夢だったので、前へ進み始めた感じがしています。
「どこかの島にでもひとりで行ってみたいですね」
テレビの旅番組に出演することもあります。最近よかったのは香川です。うどんがおいしかった。京都や東北なども好きです。国内は初めての土地が多いので、どこへ行っても新鮮です。
いま小学生の娘が成人したら、どこかの島にでもひとりで行ってみたいですね。地元の人たちと話をしたり、郷土料理を食べたりしてのんびりしてみたい。どちらかと言うと旅行は大勢で行きたい方なのですが、ひとりの時間も欲しいと思っています。今は仕事が楽しくて時間がありませんが、娘が修学旅行に行ったりして時間ができたら、何の前触れもなく旅へ出るかもしれませんね。
聞き手/山脇幸二