【旅の朝ごはん】高原の野菜で目覚める(1)
朝食コース3500円(※掲載時の料金)。この日のメインディッシュはエッグベネディクトとグリーンミートの和風カレーから選択
軽井沢ホテルロンギングハウスで野菜の甘さに感動
赤、オレンジ、黄、緑、紫色と彩り豊かな野菜が並ぶ朝食は、目覚めたばかりの体に活力をくれる。それが「旅の朝ごはん」なら、土そのものに育まれた野菜の味から旅先の風土を知ることもできそうだ。おいしい野菜料理で人気を集めるホテルがあると聞き、軽井沢を訪ねた。
旧軽銀座入り口から南西方向に延びる離山(はなれやま)通りは、別荘地に囲まれた閑静なエリア。この通り沿いに、標高1256㍍の離山を背にして立つのが軽井沢ホテル ロンギングハウスである。1981年開業のホテルのメインダイニングは、その名も「野菜がおいしいレストラン LONGINGHOUSE」。ベジカレーが好評のランチはもちろん、コース料理が楽しめるディナーやハーフビュッフェスタイルの朝食もビジター利用を受け入れている。
冬の朝日が差し込む店内に入ると、ビュッフェコーナーの野菜がみずみずしく輝いていた。白菜、黄カブ、紫大根、ミニトマトにパプリカ。イラスト入りのパネルによれば、野菜は近隣の御代田(みよた)町や小諸(こもろ)市、東御(とうみ)市をはじめ、全国の契約農家から届いている。
皿にたっぷりと盛り付けたサラダに、ごま、キヌア、くるみ、フライドオニオンを好みで載せ、自家製ドレッシングをかけていただくと……甘い! 冬の野菜は概して甘いが、味の濃さが違う。続いて「濃厚かぼちゃスープ」と「野菜ごろっとミネストローネ」を飲めば、野菜のうま味が体に染み渡るようだ。
一番おいしい状態の野菜が味わえるレストラン
「軽井沢周辺の土は、浅間山の火山灰を含んで水はけがいい。味の濃い野菜が育ちます」と教えてくれたのは統括料理長の宮澤将太さん。旬の野菜はそのまま食べればいいというわけでもなく、「例えばカブも色々で、生で食べた方がいい品種、火を入れた方がいい品種もある」とのこと。このレストランに来れば、一番おいしい状態の野菜が味わえる。
朝食はサラダやスープなどのビュッフェメニューのほか、メインディッシュと焼きたてパンをスタッフが席まで運んでくれる。自家製ミルクパンのおいしさにも驚いた。店内のパン工房は昨年12月に新設したばかりだそうで、「今後は、色々な野菜を練り込んだパンを作ってみたいですね」と宮澤さんは意気込む。
同店のリピーターは、お気に入りの野菜に出合って毎年旬の時期に宿泊する人もいれば、季節ごとの野菜を楽しみに訪れる人もいるという。2・3月は大根やビーツ、カブなどの根菜が味わい深く、菜の花や春キャベツが登場する春も待ち遠しいところだ。
2000年以降にリニューアルを重ねてきたホテルでは、好みの過ごし方ができるのも魅力。客室は本館や新館、コテージに分かれ、洋室、和洋室、メゾネット、書斎付きや岩盤浴付きなど多彩にそろう。無料の貸切露天風呂が10か所あるほか、エステ・スパ棟もある。宿泊プランも豊富で、夕食は「野菜がおいしいレストラン」で蓼科(たてしな)牛がメインのコース料理を味わってもいいし、「ワイン酒場。」で気軽に飲むのもいい。
文/内山沙希子 写真/三川ゆき江
名脇役はコレ!
自家製ドレッシングは、新鮮野菜のサラダをさらにおいしくする2種を用意。「すりおろし野菜ドレッシング」はすりおろしたタマネギやニンジンを使い、野菜の甘みを引き立てる。「信州みそドレッシング」はコクがあり、サラダの食べ応えが増す。ショップで販売しているので、土産にするといい。
TEL:0267-42-7355
客室:全67室
食事:朝食・夕食=レストラン
交通: 北陸新幹線軽井沢駅からバス6分、泉の里下車徒歩3分/上信越道碓氷軽井沢ICから13㌔
住所:長野県軽井沢町軽井沢泉の里
料金(税込み):
1人1室利用 1泊朝食1万2800円~、1泊2食1万8800円~(平日)
1泊朝食1万9800円~、1泊2食2万3800円~(休前日)
2人1室利用 1泊朝食1万800円~、1泊2食1万6800円~(平日)
1泊朝食1万7800円~、1泊2食2万1800円~(休前日)
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年3月号)
(Web掲載:2023年4月30日)