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【桜の咲く駅へ】桜前線 鉄道十景(2)

場所
【桜の咲く駅へ】桜前線 鉄道十景(2)

久大本線の豊後中川駅(大分)。雨煙る桜の駅に、傘の花が咲く。特別な観光地ではないが、桜のシーズンはにぎわう

 

雨、夕刻、明け方……いつ見ても美しい桜の景

【桜の咲く駅へ】桜前線 鉄道十景(1)から続く

桜の時期の撮影では、少しでも満開のピークを撮影するように心がけています。気温が低い日が続くと、7分咲きのような感じで迫力がありません。気温が一気に上がり、「3日で満開になりました!」のような時が最も美しく撮れると思っています。そこを狙うのですが、体は一つしかないので、「今年はこの桜!」と決めて、最も美しい時を撮るようにしています。

青空に映える桜はもちろん、雨に濡れてしっとりした桜も美しいものです。各地の天気予報を常々チェックして、夜のうちに数百キロ移動することもあります。

ここ数年の印象としては、寿命を迎えたのか、線路脇の桜が年々、花付きが悪くなったり枯れてしまったり、どんどん少なくなってきています。新たな植樹もしておらず、あと10年もすると桜と列車を撮影できるポイントは激減するでしょう。20年後はほとんどなくなってしまうかもしれません。

文・写真/長根広和

芸備線の高駅(広島)。開業時に植えられたという桜だが、昔は駅前が桜のトンネルになっていたと近所の人が教えてくれた
美祢(みね)線の於福(おふく)駅(山口)。線路沿いに続く桜並木が車窓に広がると、つい途中下車したくなる
予讃(よさん)線の伊予大洲(いよおおず)-西大洲駅間(愛媛)。大洲城の桜が夕日に染 まり、穏やかな一日が間もなく終わる
平成筑豊鉄道の油須原(ゆすばる)-赤駅間(福岡)。 赤駅周辺の桜並木はまだ若く勢いがある。始発列車の汽笛が夜明けを告げる

長根広和(ながね ひろかず)

1974年、神奈川県生まれ。鉄道写真家。マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ代表取締役。「青春18きっぷ」などのJRポスターや、鉄道雑誌、カメラメーカーPRなどで活躍。日本鉄道写真作家協会副会長。著書は『極上の鉄道風景写真術』(天夢人)ほか

 

(出典:「旅行読売」2023年4月号)

(Web掲載:2023年3月24日)

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