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【青春18きっぷでできること】木次線でトロッコ列車に乗る(2)

場所
> 雲南市、奥出雲町など
【青春18きっぷでできること】木次線でトロッコ列車に乗る(2)

窓ガラスのないトロッコ列車は風通し抜群。右はスイッチバック2段目に向かう線路

 

いよいよ3段式スイッチバックを体験

【青春18きっぷでできること】木次線でトロッコ列車に乗る(1)から続く

2日目は本題の奥出雲おろち号に乗車する。宍道(しんじ) 駅で木次線に乗り換え、奥出雲おろち号の始発駅である木次駅に到着。鮮やかな青と白に塗られた列車は、トロッコ客車と普通客車、そして機関車の3両編成だ。リクライニングシートの普通客車は、食事やトイレ、風や雨除けのための控え車両となっている。

松本清張の小説『砂の器』の舞台にもなった亀嵩駅
亀嵩駅の名物として知られる扇屋の「そば弁当」(750円)

木次駅を10時8分に出発すると、のどかな里山を走行。車内を吹き抜ける風が実に心地良い。亀嵩(かめだけ)駅では人気のそば弁当を受け取る。亀嵩の駅舎内では出雲そばの扇屋が営業しており、事前に予約しておくと停車中の列車に弁当を届けてくれる。

日本刀の鍛錬で名高い奥出雲たたらの里、出雲横田駅を過ぎると山深くなり、出雲坂根駅に到着。いよいよ有名な3段式スイッチバックだ。5分間の停車時間があるので、駅の売店での買い物や、名物の延命水も入手できる。

 

3段式スイッチバックの最下段を行く。上に見える線路が3段目

出雲坂根駅から列車はバックで逆方向へ進む。2分ほど急勾配を上って停車すると、再び正面方向に出発。2度進行方向を変えて急勾配を克服する。これが3段式スイッチバックだ。やがて進行方向右手の景色が開け、線路と並行するように走る国道314号の奥出雲おろちループが眼下に広がる。鉄道も道路も、よくぞこんな山深い所に造ったと感心すること請け合いだ。

国道314号の奥出雲おろちループを横目に急坂を上っていく

奥出雲の絶景を眺めるトロッコ列車の旅は、備後落合駅で終了。ここからは芸備(げいび) 線の列車を乗り継ぎ、終点の広島駅で旅は終わる。芸備線の備後落合駅付近と木次線の備後落合―出雲坂根駅間は、JRの輸送密度(1日1㌔あたりの利用者数)のワースト3の常連でもある。来年度からは山陰線の「あめつち」の車両を使った観光列車の運行が予定されている。今後も積極的な利用で応援していきたい。

文・写真/ 伊藤岳志

 

沿線に咲く桜の花などをイメージしたピンク色の車両

SAKU美SAKU楽(さくび さくら)

2022年夏の岡山デスティネーションキャンペーンに合わせて登場した津山線の観光列車。列車名は美しさや楽しさを3つのSAKU(「作」る、「咲く」、探「索」)と掛け合わせて表現。車内はテーブル付きのボックスシートとソファシートが並び、有名シェフやホテルが監修する弁当やスイーツも楽しめる。

区間は岡山―津山駅間で、9月までの土・日曜に運行。普通乗車券のほかに座席指定券530円が必要。JR西日本ネット予約「e5489」、全国のみどりの窓口などで乗車1か月前から予約できる。1日目のコースを山陽線で岡山回りに変更し、2日続けて観光列車に乗ってみるのもよいかもしれない。

※掲載時のデータです。

 

(出典:「旅行読売」2023年7月号)

(Web掲載:2023年6月27日)

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Writer

伊藤岳志 さん

1969年、神奈川県生まれ。鉄道、車、バスなどさまざまな乗り物の撮影を手がける。著書に「さらば栄光のブルートレイン」(洋泉社)など

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