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【道の駅へドライブ】文化財の修復工房を併設する日本初の道の駅「なら歴史芸術文化村」(1)

場所
> 天理市
【道の駅へドライブ】文化財の修復工房を併設する日本初の道の駅「なら歴史芸術文化村」(1)

奈良市の国宝「薬師寺東塔」の複製

 

土器や仏像の修理作業、伝統を守るプロの技に目を見張る

奈良県の北中部、奈良盆地の東部山地の裾野に位置する天理市杣之内町(そまのうちちょう)に、県内16番目の道の駅としてオープンした「なら歴史芸術文化村」は、文化財4分野の修復工房が併設され、ガラス越しに作業の様子を見学できるのが魅力だ。

総括責任者の福原稔浩(としひろ)さん

「天理市だけで古墳が約1700あるように、古くから開かれた奈良には、幅広い年代の重要な文化財が当たり前のように多数あります。国宝級を手がける腕の良い職人も多く、実際に全国から貴重な文化財が持ち込まれているほどです。そんな奈良が誇る歴史・芸術・文化を、体験や対話を通して気付き、知る場所になってほしいという地元の思いも込められています」と総括責任者の福原稔浩さんは語る。

学芸員による見学ツアーに参加
修理作業を行う天理市文化財課の職員

早速、「文化財修復・展示棟」に入ると、考古遺物修復工房があり、その日は古墳時代・奈良時代の須恵器(すえき)や土師器(はじき)の接合作業が行われていた。さらに隣の歴史的建造物修復工房では、県指定文化財の多坐志理都比古(おおいますみしりつひこ)神社本殿を解体修理中。大工道具を真剣に調整する姿に目を奪われた。

建造物の一部や大工道具を展示

地下に下りると左手には、絵画・書跡等修復工房があり、ズラリと並ぶ顔料の種類の多さと美しさに、修理の大変さと奥深さを感じた。そして右手には仏像等彫刻修復工房。2022年5月から、葛城(かつらぎ)市の有形文化財に指定されている當麻寺(たいまでら)の金剛力士立像のうち阿形(あぎょう)像を2年かけて修理している最中だった。解体された尊顔や玉眼がガラス越しながら目の前に展示されている。通常は間近で見られない仏像の繊細な美しさに、制作者と修理技術者の思いまで感じられ、長い間見入ってしまった。

なら歴史芸術文化村事業推進課の大石朝子さん

作業風景が見られるのは平日だけだが、学芸員による無料の見学ツアーは毎日実施している(14時~、約40分、先着10人程度、整理券配布は13時~)。

文/児島奈美 写真/宮川 透

 

【道の駅へドライブ】文化財の修復工房を併設する日本初の道の駅「なら歴史芸術文化村」(2)へ続く


【道の駅】なら歴史芸術文化村

TEL:0743-86-4420
住所:天理市杣之内町437-3
営業:【文化財修復・展示棟】9時〜17時(展示室は~16時30分)【 交流にぎわい棟】9時〜18時(まるかつは〜20時)【 芸術文化体験棟】9時〜20時【 情報発信棟】 9時〜17時 (トイレは24時間)/月曜(祝日の場合は翌平日)休、年末年始休(交流にぎわい棟は、月曜と年末年始の一部も営業)
交通:西名阪道・名阪国道天理ICから3キロ
駐車場:【普通車】77台【大型車】3台

※掲載時のデータです。

 

(出典:「旅行読売」2023年5月号)

(Web掲載:2023年7月8日)


Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

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