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【青春18きっぷでできること】雄大な阿蘇を眺める九州横断の鉄道旅 豊肥線・南阿蘇鉄道・久大線ほか(2)

場所
【青春18きっぷでできること】雄大な阿蘇を眺める九州横断の鉄道旅 豊肥線・南阿蘇鉄道・久大線ほか(2)

立野一長陽駅間に架かる高低差が60メートルもある第一白川橋梁をゆっくりと渡る

 

吉井町を走っていた蒸気機関車

雄大な阿蘇を眺める九州横断の鉄道旅 豊肥線・南阿蘇鉄道・久大線ほか(1)から続く

立野駅に戻ると、豊肥線の真っ赤なキハ200系ディーゼルカーが入線してきた。ここから逆向きに進み、再び元の進行方向に変わるスイッチバックで勾こう配ば いに挑む。今では全国的にも珍しく、やはり何度乗ってもワクワク感が止まらない。宮地(みやじ)駅と豊後竹田(ぶんごたけた)駅で乗り換えて大分駅まで普通列車で豊肥線を完乗した。

翌朝は大分駅7時24分発の久大線の列車に乗って再び横断開始。由布院(ゆふいん)駅に着く直前の車窓には、由布岳が朝の陽光を浴びて山頂まできれいに見え、すがすがしい気持ちになった。由布院駅で久留米(くるめ)行きに乗り換えて筑後吉井駅で下車。開業当時の立派な木造駅舎を出て徒歩15分ほどの吉井町(福岡県うきは市)の白壁の町並みを目指す。

由布院駅に到着する直前、大分川の橋梁からはきれいな山容の由布岳が見えた
久大線は玖珠(くす)川に沿って走る区間があり、車窓には川と緑が流れるように映った

土蔵(くら)造りの家が並ぶ一角にある豪商の家「居蔵(いぐら)の館(やかた)」に入ってみた。スタッフの大内田初子(おおうちだはつこ) さんは「この館は明治末期に建てられて、大正初期に改築されたもの。吹き抜けと神棚、男柱と女柱と呼ばれる2本の大黒柱など見応え十分ですよ」と案内してくれた。

白壁土蔵の町並みが続く吉井町の白壁通り
「居蔵の館」の案内人の大内田初子さん

ふと館内にあった1枚の写真に目がくぎ付けになった。それは軒先をかすめて走る蒸気機関車の姿。明治・大正時代の吉井町には筑後軌道という鉄道が走っていた。久留米から日田(ひた)までの軌道は1928年の久大線開通により役目を終えた。筑後軌道の線路は今や多くの車が行き交う国道210号に変わってしまったが、蒸気機関車が煙を吐きながら走っていた姿を想像しながら、駅までの国道をゆっくりと歩いた。

文・写真/松尾 諭

 

南阿蘇鉄道の名物店

1907年に熊本県大津町で創業し、立野駅開業に合わせて駅前に移転した店舗
立野名物の手作り酒まんじゅう

ニコニコ屋

1907年に熊本県大津町で創業し、1916年の立野駅開業に合わせて駅前に移転した。名物のニコニコ饅頭(まんじゅう)は、こしあんの入った酒まんじゅう。8個入り400円。4代目の髙瀬大輔さんが手作りにこだわる。全線開通後には食堂を再開したいと意欲を燃やす。

■8時~17時30分/火曜休( 祝日は営業)/TEL:0967-68-0104

※掲載時のデータです。

※上記モデルコースの交通費:青春18きっぷ2回利用(4820円)で、2550円お得



Writer

松尾 諭 さん

フォトグラファー・ライター。1977(昭和52)年奈良県生まれ、三重県育ち。旅行会社勤務を経て、2005(平成17)年に鉄道ジャーナル社の『旅と鉄道』編集部へ。2009(平成21)年からフリーのフォトグラファー・ライターとなる。旅行雑誌や鉄道趣味誌などで取材を行い、写真や記事を発表。全国各地へ鉄道風景や絶景を求めて撮影行脚を続けている。

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