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【出港!海の旅】観光型高速クルーザー「シースピカ」で行く瀬戸内海の日帰り船旅(1)

場所
> 三原市、呉市、広島市
【出港!海の旅】観光型高速クルーザー「シースピカ」で行く瀬戸内海の日帰り船旅(1)

2階デッキの船尾で航跡の白波を眺める。ベンチは床に固定されており、船の揺れも少ないので快適

 

島々の間を縫い、橋をくぐる洋上の観光ルート

観光型高速クルーザー「SEA SPICA(シースピカ)」で、日帰りの瀬戸内海の船旅に出かけた。この船は「瀬戸内しまたびライン」と名付けられた三原~広島港の航路を1日1往復している。従来の観光船と異なるのは、洗練された船体デザインと、約4時間30分の時間をかける観光特化のスタイルだ。新型高速船による快適な船旅&島旅を体験できる。

最高速度24ノット(時速約44キロ)。船体の材質はアルミニウム合金。名前はSEA(海)とSPICA(おとめ座の一番星)を組み合わせている(写真/瀬戸内海汽船)
船内の売店・インフォメーションで御船印などのグッズを販売。個室トイレも備える。右は船内ガイドの松本さん(写真/瀬戸内海汽船)

広島港を朝出る「東向きコース」と三原港を昼出る「西向きコース」は航路が異なり、古い町並みが残る大崎下島(おおさきしもじま)の御手洗(みたらい)に寄る後者を選択。どちらも多島美で知られるしまなみ海道(かいどう)と、安芸灘(あきなだ)とびしま海道間を通り、「ウサギの島」の大久野(おおくの)島や、軍港の名残を留める呉(くれ)港に寄り、変化に富んだ景観が次々現れて楽しい。日本最大の内海は今では主要な島に橋がかかり、一部離島へは船が出ているが、「瀬戸内しまたびライン」はこのエリアの見どころを結んだ、洋上の新しい観光ルートだ。

シースピカの御船印(500円)は船内売店で販売
瀬戸内しまたびライン

スタイリッシュなデザインの船が三原港に入港

出港13時25分の前に放送があり、濃紺と白に金色のラインが入ったスタイリッシュな船が三原港に入港してきた。スピードが出るよう細くした船体2隻を平行につないで安定感を持たせた双胴船(そうどうせん)だ。甲板はほどよい広さで、1階客席フロアは天井が高く正面に大型モニターを備え、2階デッキにソファやベンチが置かれ居住性も良い。全長25.7メートル、90トン、定員90人とサイズは小ぶりだが、スピードと快適性を両立している。

三原港での乗船風景。平日のこの日は、定員の半分ほどの乗客数だった

デザインはJR西日本の「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス) 銀河」などを手掛けた川西康之氏が担当。デザイン性の高い観光列車の誕生で鉄道乗車そのものが旅の目的に変わったのと同じ現象が船旅にも起きている。エリアの周遊ルート開発を目的に行ってきたJR西日本と瀬戸内海汽船の共同事業であり、瀬戸内海汽船のグループ会社が2020年から運航している。

1階客席は全席指定。正面に大型モニターを備える。G7広島サミットの首脳陣も乗船し話題となった(写真/瀬戸内海汽船)
2階デッキにはソファやベンチが備えられ眺めが良い。一部を除き船内ガイドも聞こえるので、ここで過ごす人も多い

港を出た船はふ頭が終わる辺りからスピードを上げた。デッキに行こうとすると、「帽子を飛ばされないよう気を付けてくださいね」とスタッフ。確かに吹き付ける海風は強く、日差しの暑さを和らげてくれる。

文/福﨑圭介 写真/宮川 透 ほか

 

【出港!海の旅】観光型高速クルーザー「シースピカ」で行く瀬戸内海の日帰り船旅(2)へ続く

 

 

三原名物のタコ料理が昼食に付くプランもある。西向きコースの和食処 登喜将(ときしょう)のタコ会席は、釜めし、刺し身、天ぷら、ピリ辛鍋など。乗船前に三原港近くの店で味わう

SEA SPICA(シースピカ)

■運航ダイヤ(上段:東向きコース 下段:西向きコース)
8:30発 → 9:05着発 → 12:40着発 → 13:05着
 広島    呉    生口島   三原
18:00着 ← 17:25着発 ← 13:50着発 ← 13:25発

※2023年は12月14日までの金・土・日・月曜と祝日に運航(最少催行人員は1人)
※両コース、グランドプリンスホテル広島前の桟橋にも寄港

■料金
【東向きコース】
7000円(閑散期6500円、繁忙期7500円/弁当・ランチBOX1500円)、生口島・瀬戸田「たこ会席」昼食付きプラン1万1500円

【西向きコース】
7000円(閑散期6500円、繁忙期7500円)、三原名物「たこ会席」昼食付きプラン1万1500円

※両コース、呉線の観光列車「etSETOra(エトセトラ)」セットプラン1万6500円~あり

■アクセス
広島港=山陽新幹線広島駅から広島電鉄33分の広島港停留場下車すぐ/広島高速出島出入口からすぐ
三原港=山陽新幹線三原駅から徒歩5分/山陽道福山西ICから国道2号経由22㌔

■問い合わせ 瀬戸内海汽船トラベルサービス TEL:082-253-5501

※掲載時のデータです。

 

(出典:「旅行読売」2023年8月号)

(Web掲載:2023年7月22日)

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Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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