【出港!海の旅】観光型高速クルーザー「シースピカ」で行く瀬戸内海の日帰り船旅(2)
夕刻、船の前方に安芸灘大橋が近づいて来る
船上から見る海岸の風景が胸に迫る
【出港!海の旅】観光型高速クルーザー「シースピカ」で行く瀬戸内海の日帰り船旅(1)から続く
左にのどかな島の風景を、右に三原の海岸の家並みや工場を見ながら南下し、やがて生口(いくち)島と高根島の間の瀬戸田(せとだ)水道に入る。高根大橋をくぐると、小さな瀬戸田港に寄港した。
海岸が近い。古民家や寺社、堤防に座る釣り人……島の日常風景は旅人にはどこか現実感がなく、一瞬の風景として胸に迫っては流れてゆく。
大久野島、御手洗、呉港など見どころに寄りながら広島港へ
大久野島では30分の自由時間に島内散策。数百匹いるといわれるウサギにえさをやる人もいた。戦時中は毒ガス工場があり、「地図から消された島」と呼ばれた歴史を、船内ガイドが教えてくれる。そのガイドの松本由紀子さんは「島はフレンドリーな地元の方たちとの触れ合いが楽しいです。別の島ではミカンなど特産品の即売所を出すこともあります」と話す。
しまなみ海道の来島(くるしま)海峡大橋を遠望しながら西へ。大崎下島の御手洗(みたらい)には1時間滞在する。小さな風待ち港には昔ながらの町家の家並みが残り、路地歩きが楽しい。古い町の中で、御手洗を描き続けている画家と出会った。空き家をアトリエにして絵の販売をしているという。病院の建物を改装してゲストハウスを営む移住者とも話をした。魅力的な場所には新しい人が入ってくるものだ。
日が傾くにつれ空や海は色を変えてゆく。平清盛伝説のある「音戸(おんど)の瀬戸」を過ぎ、呉港で軍艦を見学したら、18時着の広島港は近い。夕暮れの瀬戸内海は、いつ見ても美しい。
文/福﨑圭介 写真/宮川 透 ほか
■運航ダイヤ(上段:東向きコース 下段:西向きコース)
8:30発 → 9:05着発 → 12:40着発 → 13:05着
広島 呉 生口島 三原
18:00着 ← 17:25着発 ← 13:50着発 ← 13:25発
※2023年は12月14日までの金・土・日・月曜と祝日に運航(最少催行人員は1人)
※両コース、グランドプリンスホテル広島前の桟橋にも寄港
■料金
【東向きコース】
7000円(閑散期6500円、繁忙期7500円/弁当・ランチBOX1500円)、生口島・瀬戸田「たこ会席」昼食付きプラン1万1500円
【西向きコース】
7000円(閑散期6500円、繁忙期7500円)、三原名物「たこ会席」昼食付きプラン1万1500円
※両コース、呉線の観光列車「etSETOra(エトセトラ)」セットプラン1万6500円~あり
■アクセス
広島港=山陽新幹線広島駅から広島電鉄33分の広島港停留場下車すぐ/広島高速出島出入口からすぐ
三原港=山陽新幹線三原駅から徒歩5分/山陽道福山西ICから国道2号経由22㌔
■問い合わせ 瀬戸内海汽船トラベルサービス TEL:082-253-5501
※掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2023年8月号)
(Web掲載:2023年7月22日)