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【私の街の路面電車】愛され続ける札幌市民の足 札幌市電(2)

場所
> 札幌市
【私の街の路面電車】愛され続ける札幌市民の足 札幌市電(2)

ネオンが輝く夜のすすきの交差点は札幌市電ならではの撮影ポイント

 

札幌市民の暮らしに息づく電車のリズム

【私の街の路面電車】愛され続ける札幌市民の足 札幌市電(1)から続く

市街地へ戻って再び市電に乗車。藻岩山の麓に広がる住宅街を、ガタン、ゴトンと電車は走る。お母さんの胸で寝息を立てる赤ちゃんと、その寝顔に目を細める老婦人。開け放たれた窓を風が通り抜け、スマホから顔を上げて外を眺める高校生。200万都市でありながら札幌がどこかのんびりした空気をまとっているのは、街に響く電車の緩やかなリズムと無縁ではないかもしれない。

西15丁目から東へ曲がると、目の前には活気ある都心の風景。振り返れば大倉山ジャンプ競技場。市電のループは、まるで札幌の時空を往来しているようだ。夜のすすきのへ繰り出す前に、もう少しこの余韻に浸っていたい。西8丁目で下車し、詩人・谷川俊太郎さん公認の私
設記念館的な「俊カフェ」へ向かった。「電車の窓外では街並が切れ一面の菜の花」という詩の一節を思い出しながら。

■モデルコース
【狸小路】
moyuk SAPPORO〈モユクサッポロ〉
(AOAO SAPPORO)
↓10分
【山鼻9条】
サンドリア
↓20分
【ロープウェイ入口】
札幌もいわ山ロープウェイ
↓17分
【西8丁目】
俊カフェ

札幌市電沿線の味どころ

俊カフェ

詩人・谷川俊太郎さんを敬愛するオーナーが本人の公認を得て開店。谷川さんの詩集や関連書などに囲まれて、詩とコーヒーを味わうひとときを。

■11時〜18時(不定で13時~、イベント等による変更あり)/火曜(祝日の場合は営業、翌水曜休)/西8丁目停留場から徒歩4分/TEL011-211-0204

※掲載時のデータです。

街歩き研究家“ブラサトル” の市電愛

市電の車庫・電車事業所にて

和田 哲(わだ・さとる)
札幌市電沿線で生まれ育ち、出版社勤務などを経て2022年に独立。「ブラサトル」の愛称で北海道の歴史や地理の魅力を発信中。NHK「ブラタモリ」などメディア出演多数。YouTube「ブラサトルチャンネル」も人気。

家族のように市電を見守っています

市電沿線で育った僕にとって電車は身内みたいなもの。2年前に引退したM101号車と同じ世代の243号車が来年春に引退すると聞き、家族との別れのように寂しく思いました。そこで60年以上にわたって活躍する旧型電車への感謝を込めて見送るために、243号車を往年のツートンカラーに塗装して最後の8か月間を走らせる「札幌市電リバイバルカラープロジェクト」を立ち上げ、クラウドファンディングに挑戦。目標達成が危ぶまれた時もありましたが、札幌市民や全国の鉄道ファンの皆さまのおかげで支援総額700万円以上を達成できました。

今後は札幌市交通事業振興公社の全面協力のもと、7月下旬に塗装を行い、8月上旬にお披露目会と貸切電車の運行を行う予定です。かつて市電が邪魔者扱いされていた時代もありましたが、最近は利用価値が見直されてきてうれしい限り。札幌の街が市電と共存しながら発展していくことを強く願っています。

文/佐々木美和
写真/川村 勲


札幌市電

●開業:1918年
●営業距離:8.9キロ
●停留場数:24
●「札幌市電24時間乗車券」:780円。使用開始から24時間乗り放題のモバイル乗車券。購入・使用にはアプリが必要。市電沿線の観光施設で利用できるデジタル優待クーポン付き。
●「路面電車1日乗車券」:500円。1日乗り放題。アプリから購入するモバイル版のほか、車内で購入できる紙のきっぷもある。モバイル版はデジタル優待クーポン付き。
●「どサンこパス」:400円。土・日曜、祝日、年末年始に利用できる1日乗車券。乗車券1枚で大人1人と子ども2人が利用可(大人1人でも利用可)。アプリから購入するモバイル版のほか、車内で購入できる紙のきっぷもある。モバイル版はデジタル優待クーポン付き。
●問い合わせ:札幌市交通案内センター/TEL011-232-2277

※掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2023年9月号)
(Web掲載:2023年9月14日)

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Writer

佐々木美和 さん

札幌を拠点に活動する道産子コピーライター。「“むずかしい”をカンタンに。“あたりまえ”をオモシロく」をモットーに、広告のコピーライティングはもとより、雑誌やウェブなどのライティングも手がける。好きな米は北海道産ゆめぴりか。好きな酒は栗山町・小林酒造の「冬花火」。

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