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世界文化遺産登録20周年「紀伊山地の霊場と参詣道」を歩く よみがえりの聖地 熊野へ(2)

場所
> 田辺市、新宮市、那智勝浦町
世界文化遺産登録20周年「紀伊山地の霊場と参詣道」を歩く よみがえりの聖地 熊野へ(2)

那智の大滝と三重塔

 

その道は神道、仏教、修験道の霊場へとつながる。人々は現世でのよみがえりと、来世の幸せを願った。古の巡礼旅は、現在の観光旅行の事始め。世界的聖地となった熊野三山に参詣する。

世界に二つだけの道の世界遺産「熊野古道」

世界文化遺産登録20周年「紀伊山地の霊場と参詣道」を歩く よみがえりの聖地 熊野へ(1)から続く

熊野三山最後の巡礼地、那智へ。那智川を抜け熊野古道・大門坂の石段を登ると熊野那智大社に到着。熊野権現造の本殿は、主祭神を祀る第四殿がひと回り大きいのが特徴だ。

「熊野古道はスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路とともに、世界に二つだけの道の世界遺産。御朱印帳を持参する外国人参詣者も増えています」(小賀真樹禰宜)。境内に茂る樹齢850年のご神木・大樟の胎内くぐりは、母胎を抜けて生まれ変わる気分が味わえる。

境内のすぐ隣りは明治の廃仏毀釈まで「那智の如意輪堂」と呼ばれ、熊野那智大社と一体を成した那智山青岸渡寺(せいがんとじ)。本堂の後方には朱塗りの三重塔がそびえ、那智原始林を背景に那智の大滝と並ぶ絶妙の配置を遠望できる。

「熊野三山で唯一残る、神仏習合の姿。信仰と観光が相まって、光を観て心安らかになる、世界中でここにしかないロケーションです」と髙木亮英住職。女人禁制の霊場が多かった時代から、性別や身分を問わず寛容だった歴史が受け継がれている。

日本三名瀑の一つ、那智の大滝は、熊野那智大社の別宮・飛瀧神社のご神体

三重塔の上層から、高さ133メートルを流れ落ちる全容を望める那智の大滝は、日本三名瀑の一つ。熊野那智大社の別宮・飛瀧神社のご神体だ。滝つぼ近くの拝所で、迫力満点の水音と吹き寄せる風を間近で体感し、自然のエネルギーをチャージしたら、名物「お滝もち」で一服。焼き立てでふっくら柔らかな餅と、粒あんがとろりと溶ける食感がたまらない。

那智の浜にある青岸渡寺の別院・補陀洛山寺(ふだらくさんじ)は、南方にある苦しみのない観音浄土(補陀落)を求め、成仏を願う修行僧が「補陀落渡海」に旅立った地だ。渡海僧の姿や熊野詣のにぎわいを描いた「那智参詣曼荼羅図」を使った、熊野比丘尼の「絵解き」解説も体験できる。

熊野三山へのお参りを無事に終えたら、天然の洞窟に湧き出す温泉「忘帰洞」へ。紀州藩主が「帰るのを忘れるほど心地よい」と絶賛した湯で、よみがえりの仕上げを、お忘れなく。

那智の大滝と三重塔

写真/(公社)和歌山県観光連盟提供

那智の大滝は高さ133メートルの落差、毎秒1トンの水量ともに日本一。三重塔と並ぶ遠景は日本古来の神仏習合の姿を今に伝える霊場のシンボル
🔳参拝自由、拝所参入料300円(8時~16時)/那智勝浦町那智山/TEL:0735-55-0321(熊野那智大社)
公式サイトはこちら

熊野那智大社

主祭神は熊野夫須美大神。本殿6棟は重要文化財。宝物殿は登録20周年記念特別展(~2024年12月31日)で古神像など収蔵品を公開(300円)。
🔳境内無料、大樟胎内くぐり300円~/那智勝浦町那智山1/TEL:0735-55-0321
公式サイトはこちら

那智山青岸渡寺

本尊の如意輪観音像は那智の大滝の滝壺で見つかり安置したと伝わる。西国三十三所観音霊場の一番札所。世界遺産20周年を記念し非公開「瀧寶殿」を特別開扉(500円、2024年9月14~23日、同11月1日~30日、10時~15時)。
🔳境内自由、三重塔拝観料300円(8時40分~15時)/那智勝浦町那智山8/TEL:0735-55-0001
公式サイトはこちら

大門坂

山麓から那智大社と青岸渡寺を目指す熊野古道の大門坂。樹齢800年の夫婦杉など、杉並木と深緑の苔がむす石畳の階段が267段・約640メートル続く。坂の上に大きな門があったことが名の由来。

補陀洛山寺

  

青岸渡寺の別院。本尊の千手観音像は国重文で秘仏(年3回特別御開帳)。「補陀落渡海」は平安~江戸時代に25人を数えた。
🔳拝観無料、「那智参詣曼荼羅」絵解きは500円(8時30分~15時)/8時30分~16時/那智勝浦町浜ノ宮348/TEL:0735-52-2523
公式サイトはこちら

忘帰洞(ホテル浦島)

写真/(公社)和歌山県観光連盟提供

岬に立つホテル浦島の天然洞窟風呂「忘帰洞」。間口25メートル、奥行50メートル、高さ15メートルの大洞窟に湧く湯溜りからの荒波押し寄せる熊野灘の眺望は他の温泉地では味わえない絶景だ。館内五つの温泉を堪能できる。
🔳5時~10時、13時~23時(午前と午後、男女入替制)/1泊2食1万6500円~(入湯税別途)、日帰り入浴利用可/那智勝浦町勝浦1165-2/TEL:0735-52-1011
公式サイトはこちら

お滝もち(和か屋本店)

美しい那智の大滝がモチーフの「お滝もち」。柔らかく炊き上げた北海道産の上品な粒あんと、焼きたての香ばしさが魅力。抹茶セットも人気で手焼きの実演コーナーも見学できる。2本300 円、抹茶セット700 円。持帰用は5本入り540円~
🔳8時~16時30分/那智勝浦町那智山456/TEL:0735-55-0720
公式サイトはこちら


和歌山県観光の問い合わせ/和歌山県観光振興課・(公社)和歌山県観光連盟TEL:073-441-2424
公式観光サイトはこちら

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年5月号)
(Web掲載:2024年4月5日)


Writer

旅行読売出版社 メディアプロモーション部 さん

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