【新幹線で春は北陸へ】金沢駅発 伝統と文化が根付く町・金沢で芸術との新たな出会い(1)
石川県立図書館の閲覧エリアは広々とした空間に、円形に並べられた書架が4階まで連なる
円形劇場のような圧巻の景色 石川県立図書館
北陸新幹線の金沢駅開業から9年。東京から約2時間30分と近くなった伝統と文化の町・金沢には、新たな文化発信の場も誕生している。
まずは、2022年7月に移転オープンした石川県立図書館へ。正面玄関から閲覧エリアに足を踏み入れると、思わず感嘆の声が出た。すり鉢状の円形劇場を思わせる巨大な空間で、360度ぐるりと広がる閲覧スペースと書架が階段状に続く。4階までの高さ約15メートルが吹き抜けになっており、天井はドーム型。壮大で斬新なデザインに圧倒された。
目新しいのは、建物の設計だけではない。「誰もが訪れたくなる図書館を作ろうと皆で考えました」と経営管理課課長の佐野寛子さん。その言葉通り、気軽に人が集まり、居心地よく過ごせるような工夫が随所に見られる。
約500ある閲覧席は、イスの色や形、場所も多種多様。座り心地のよいソファや階下を見晴らせる席、外の景色を眺められる窓際などお気に入りの席を見つけたい。本について楽しく語らえるように、閲覧席ではおしゃべりもOK。蓋付きの飲み物も持ち込める。
館内には約30万冊が並べられ、そのうち約7万冊をこの円形閲覧空間で読むことができる。館独自で設定した12のテーマ別に配置され、思いがけない本や新たな興味の対象を見つけられそうだ。表紙が見えるように置かれていて、手に取ってみようという気になる。
「本との出会いの窓」と名付けられたスペースには、おしゃれなディスプレーとともに小窓に本が置かれ、スロープをゆっくり歩きながら12のテーマの特徴を知ることができる。1階の「里の恵み・文化の香り〜石川コレクション〜」は、石川県の特徴である里山里海や伝統文化に関する約4万点の本、工芸品などを国内外からピックアップしている。
館内には、本に親しんでほしいという熱い思いがあふれている。県外から訪れた観光客でも十分に楽しめる、ワクワクするような図書館だ。
文/出口由紀 写真/阪口 克
【新幹線で春は北陸へ】金沢駅発 伝統と文化が根付く町・金沢で芸術との新たな出会い(2)へ続く(4/16公開)
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国立工芸館
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菓匠 高木屋本店
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↓バス15分
金沢駅
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金額:800円(金沢駅東口バスターミナル北鉄グループ案内所などで販売)
問い合わせ:TEL076-237-5115(北陸鉄道テレホンサービスセンター)
営業:閲覧エリア9時~19時(土・日曜、祝日は~18時)、文化交流エリア9時~21時(土・日曜、祝日は~18時)/月曜(祝日の場合は翌平日)休、年末年始休、特別整理期間休
住所:金沢市小立野2-43-1
交通:北陸新幹線金沢駅からバス30分、石川県立図書館下車すぐ/北陸道金沢森本ICから10キロ
問い合わせ:TEL076-223-9565
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年4月号)
(Web掲載:2024年4月15日)