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【新幹線で春は北陸へ】金沢駅発 伝統と文化が根付く町・金沢で芸術との新たな出会い(2)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 石川県
> 金沢市
【新幹線で春は北陸へ】金沢駅発 伝統と文化が根付く町・金沢で芸術との新たな出会い(2)

CRAFEATのコース料理は約10品で1万1000円。器もじっくりと楽しみたい

 

クラシカルな美の世界へ 国立工芸館 

【新幹線で春は北陸へ】金沢駅発 伝統と文化が根付く町・金沢で芸術との新たな出会い(1)から続く

兼六園の近くに立つ国立工芸館は20年10月、政府関係機関の地方移転政策により、東京・北の丸公園から移転した。近現代の工芸とデザイン専門の国立美術館で、工芸が盛んな金沢にぴったりの施設だ。

建物は明治時代に金沢に建てられた旧陸軍の施設を移築して活用。クラシカルな建築で、美の世界に浸れる。4000点以上を収蔵し、年4〜5回、所蔵作品展や特別展などを開催している。

建物は旧陸軍施設の第九師団司令部庁舎と金沢偕行社を移築して活用
国立工芸館の館内

2階には、金沢出身の漆芸家で人間国宝の松田権六(ごんろく)(1896-1986)の工房を移築・復元。この2畳ほどの簡素な仕事場から精緻(せいち)で美しい作品が生まれたと思うと感慨深い。生活の中で使われる物としての器や箱の形状にこだわりながら、蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)などの漆芸によって、それらを美の極みにまで昇華させた松田の世界観に触れることができる。

国立工芸館のある一帯は文化施設が集まり、ぜひ散策したい。4月上旬には周辺の桜が見頃となる。

松田権六の《蒔絵桜鳥平卓》1956年国立工芸館蔵。脚部に至るまで見事な蒔絵が施されている※2024年3月3日で展示終了
松田権六の工房は東京・文京区にあった仕事場を移築・復元。実際に使っていた道具類も展示している

輪島塗でぜいたくに石川を食す

工芸品の美しさに魅了された後は、石川の伝統工芸品を体感できるレストラン「CRAFEAT(クラフィート)」へ。2階では石川県産の食材と調理法にこだわった現代和食のコースを輪島塗などの器で味わえる。漆の艶(つや)やかさが料理を引き立てる。漆器は高価で扱い方に気を使うイメージだが、輪島塗は丈夫で長持ちし、使うほどに艶が出るという。オープンキッチンになっているのは、扱い方も見てほしいとの思いから。気に入った器があれば、すぐ注文できる。1階はカジュアルな和風バルと輪島塗のミニギャラリーで、販売もしている。

1階で販売している輪島塗の箸
朱色と黒のグラデーションのカップはモダンで人気の逸品
2階のカウンターは9席。和紙のテーブルマットなどにも石川県の工芸品を使う

能登半島地震では、輪島塗や珠洲(すず)焼など能登の伝統工芸の産地も大きな被害を受けた。CRAFEAT を経営する田谷漆器店の輪島市内の本社や工場も全壊。そんな中、同店では輪島塗の伝統を守り、能登復興のシンボルにしようと、2024年3月末までクラウドファンディングを実施している。

文/出口由紀 写真/阪口 克

🔳モデルコース
金沢駅
 ↓バス30分
石川県立図書館
 ↓バス17分
国立工芸館
 ↓徒歩12分
菓匠 高木屋本店
 ↓バス16分
CRAFEAT
 ↓バス15分
金沢駅

金沢駅・鼓門

【お得なきっぷ】
金沢市内1日フリー乗車券北鉄バスの市内260円区間内と西日本ジェイアールバス230円区間内が1日乗り放題。1日フリー乗車券の提示で、入場料が割引になる施設もある。
金額:800円(金沢駅東口バスターミナル北鉄グループ案内所などで販売) 
問い合わせ:TEL076-237-5115(北陸鉄道テレホンサービスセンター)

足を延ばして味わいたい話題の和菓子

  
  

菓匠 高木屋本店

1925年の創業当時の外観そのままの老舗和菓子店。「紙ふうせん」は真ん丸な最中(もなか)で、中に寒天ゼリー(錦玉)が入っている。4種の色と風味があり、カラフルでかわいらしく、発売から40年以上変わらぬ人気。SNSでも話題だ。
■9時~17時30分(日曜は~17時、火曜は~15時)/水曜(祝日の場合は翌平日)休/北陸新幹線金沢駅からバス17分、思案橋下車徒歩3分/TEL:076-231-2201


国立工芸館

営業:9時30分~17時/月曜(祝日の場合は翌平日)休、年末年始休、展示替期間休 
金額:展覧会により異なる
住所:金沢市出羽町3-2
交通:北陸新幹線金沢駅からバス12分、広坂・21世紀美術館下車徒歩7分/北陸道金沢森本ICから10キロ
問い合わせ:TEL050-5541-8600(ハローダイヤル)

CRAFEAT

営業:17時~22時30分/火曜休
住所:金沢市木倉町5-2
交通:北陸新幹線金沢駅からバス10分、香林坊下車徒歩5分 
問い合わせ:TEL090-4740-4177(2階は前日までに要予約。1階も予約推奨)

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年4月号)
(Web掲載:2024年4月16日)


Writer

出口由紀 さん

美味しいものには目がないライター。その土地の空気の中で味わう新鮮な特産品や郷土料理は、旅ならではの醍醐味だと思っている。最近感動したのは、生でかじった北海道の白いトウモロコシと夏の日本海の岩ガキ。土地それぞれの言葉を聞くのも好きで、一期一会の出会いと会話を楽しみながら旅をする。

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