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御本宮まで785段の長い石段にチャレンジ 憧れの金刀比羅宮へ 琴平駅から(2)【駅から歩こう1万歩】

場所
> 琴平町
御本宮まで785段の長い石段にチャレンジ 憧れの金刀比羅宮へ 琴平駅から(2)【駅から歩こう1万歩】

琴平公園から象頭山を望むと、金刀比羅宮の大門が森に包まれて見える

 

古き良き門前町を散策する

御本宮まで785段の長い石段にチャレンジ 憧れの金刀比羅宮へ 琴平駅から(1)【駅から歩こう1万歩】から続く

参拝して石段を下り、向かったのは国重要文化財の旧金毘羅(こんぴら)大芝居。1835年に建てられた芝居小屋で、現存では国内最古。「金丸座(かなまるざ)」の通称で親しまれ、町を挙げて盛り上がる「こんぴら歌舞伎」は4月に行われる春の風物詩だ。公演期間中以外は見学可能で、桟敷席や人力の舞台装置が江戸の昔をしのばせる。

旧金毘羅大芝居(金丸座)。見学は9時〜17 時、500 円。TEL:0877-73-3846

琴平公園まで歩いて自然や展望を堪能したあと、琴平海洋博物館(海の科学館)に入った。館内にはこんぴら船や御座船(ござせん)など、船の模型も多く展示されていて興味深い。瀬戸内海は多様な文化が往来する、にぎやかな海だったのだと実感する。

続いて門前町の老舗旅館「こんぴら温泉湯元八千代」で日帰り入浴を楽しむ。ナトリウム―塩化物冷鉱泉の湯にのんびりつかって足の疲れをほぐした。そこから目当てのうどん店「いわのや」まで商店街を抜けてゆく。地元客に人気と聞いて訪ねたが、ひと口食べて納得した。特製の旨(うま)辛薬味「青とう」が、めんの味を引き立てて絶妙だ。「香川産の唐辛子を使った自家製です」と店主。

こんぴら温泉湯元八千代は来年で創業300年。日帰り入浴の受け付けは11時〜14 時。1泊2食1万3350円〜。TEL:0877-75-3261
いわのや外観

駅の方向に戻り、木造の灯籠では日本一高い「高灯籠」を見上げた。石の基壇の上に立ち、高さ27メートル。瀬戸内海上の船まで光が届くように設計されたそうだ。

旧街道に沿って歩いていると、地蔵尊の祠(ほこら)の隣に、「横瀬の常夜燈」を見つけた。点々と立つ灯籠は金刀比羅宮への道しるべでもあったのだろう。丸亀や多度津の港を経て琴平に入る各街道には、寄進された灯籠や鳥居、道標などが数多く残っているという。

(左)高灯籠の内部は3階建て、壁に江戸時代の人々の落書きが残る。重要有形民俗文化財 (右)往来の安全を祈念し、備中国(びっちゅうの くに、現在の岡山県)の人が寄進した横瀬の常夜燈

琴平駅で帰りの特急を待っている時、また一つ楽しいことが。列車の到着に合わせ、「こんぴら船々」の接近メロディーがかわいらしい音色で鳴り出したのだ。こんぴらさんに参拝できてよかったと、満足しながらしみじみと聞いた。

文/北浦雅子 写真/泉田道夫

【モデルコース】

●徒歩距離/約6.3キロ
●徒歩時間/約2時間

琴平駅
 👟(1800メートル)
金刀比羅宮
 👟(1100メートル)
旧金毘羅大芝居
 👟(350メートル)
琴平公園
 👟(900メートル)
琴平海洋博物館
 👟(400メートル)
こんぴら温泉湯元八千代
 👟(500メートル)
いわのや
 👟(350メートル)
高灯籠
 👟(500メートル)
横瀬の常夜燈
 👟(400メートル)
琴平駅

琴平海洋博物館

  

海事に関する情報を幅広く伝える施設。金刀比羅宮への参詣者を乗せて帆走したこんぴら船や、江戸時代の船着き場を再現した展示も見もの。
■9時〜16時30分/ 無休/450円 /土讃線琴平駅から徒歩15分/TEL0877-73-3748
公式サイトはこちら

いわのや

  

セルフ形式のうどん店で、もちもち麺とカツオだしが極上。好みの薬味で味の変化が楽しめる。人気は「ひやたまとうがらし」380円(左)、「とり天ぶっかけ」550円など。おにぎりは100円。
■10時30分〜15時(うどんがなくなり次第終了)/日曜休/土讃線琴平駅から徒歩5分/TEL0877-75-5282
公式サイトはこちら


琴平駅
土讃(どさん)線の主要駅で、開業は1889年(当時は讃岐鉄道)。三角屋根がモダンな現在の木造駅舎は3代目で、1922年に竣工した。本屋、上屋、跨線(こせん)橋など五つの建築物が登録有形文化財になっているレトロな駅舎だ。ホームの屋根や改札などに金刀比羅宮のシンボル「丸金マーク」が装飾されている。構内の改札前に「こんぴら観光案内所」があるのも便利だ。

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年6月号)
(Web掲載:2024年7月17日)


Writer

北浦雅子 さん

和歌山の海辺生まれで、漁師の孫。海人族の血を引くためか旅好き。広告コピーやインタビューなど何でもやってきた野良ライターだが、「旅しか書かない」と開き直って旅行ライターを名乗る。紀伊半島の端っこ、業界の隅っこにひっそり生息しつつ、デザイナーと2人で出版レーベル「道音舎」を運営している。https://pub.michi-oto.com/

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