トンネル駅、海辺の駅を訪ねて 谷川岳の麓から日本海へ(2)【フリーきっぷであの駅へ・フリーきっぷ編】
高台から青海川駅を望む。空気の澄んだ日にはホームから佐渡島が見える
青空と海が広がる絶景駅
トンネル駅、海辺の駅を訪ねて 谷川岳の麓から日本海へ(1)【フリーきっぷであの駅へ・フリーきっぷ編】から続く
翌日は、柏崎駅から信越線上り列車(直江津方面)に乗り、迷わず右側の窓際席に座る。この先、鯨波駅から笠島駅までの車窓は今回の旅のクライマックス。日本海が間近に迫り、途中の青海川駅は「日本一海に近い駅」の呼び声が高い。
もちろん、その青海川駅で途中下車。私に続いて一人の女性が下りた。「鉄道旅行が好きで、ようやく憧れの青海川駅に来られました」と語り、熱心に写真を撮り始めた。次の列車までは1時間以上ある。私も海岸に下りたり、南側の高台に上ったりしているうちに、女性の姿は見えなくなった。
その後は直江津駅に向かい、駅前のホテルハイマートで駅弁を購入。次の目的地えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの筒石駅は、週末パスのエリア外で別途乗車券が必要だが、寄り道することにした。私鉄では最も長い全長約11.4キロの頸城(くびき)トンネル内にある、知る人ぞ知る秘境駅を見てみたかったからだ。
「昔の筒石駅は海沿いの高台にあり、1969年に頸城トンネル内へ移転しました。廃駅も検討されましたが住民の強い要望により、新設が決まったそうです。地下への階段はトンネル工事の土砂を排出した斜坑を利用しています」
同社広報の髙地久美子さんが、筒石駅の経緯を教えてくれた。列車を下りると、ホームにはポツンポツンと明かりが灯り、ひんやりとした空気にトンネル内であることを実感。上りホームから改札口までは、280段の階段を上る。連日の〝モグラ駅探訪〟である。
駅から筒石漁港までひと足延ばし、海の見える公園で駅弁「二大将軍弁当」を味わう。噛むほどに甘い煮汁があふれる棒鱈の甘露煮や、脂がのった焼きサケに目を細めた。
帰路は直江津駅を経て、上越妙高駅から北陸新幹線を使う。ホームの待合室で座っていると青海川駅で会った女性から声をかけられた。何と4時間近く青海川駅を撮影していたらしい。力作の写真を見せてもらいながら、旅の思い出を聞いていると新幹線がやってきた。
文・写真/内田 晃
絶品!この駅弁
二大将軍弁当[直江津駅]◉1800円
「JR東日本 駅弁味の陣」で最高賞の大将軍に輝いた「鱈めし」と「さけめし」が1箱に。塩昆布の炊き込みご飯の上に、棒鱈甘露煮、焼きたらこ、焼きサケ、イクラのしょうゆ漬けなどがトッピングしてある。
公式サイトはこちら
使ったのはこのきっぷ!
週末パス◉8880円
関東甲信越と南東北のJR線と一部私鉄の普通列車(快速を含む)の普通車自由席が乗り降り自由。別に特急券を買えば、新幹線・特急列車も利用できる。発売は利用開始日1か月前から前日まで。駅レンタカーも特別料金で利用できる。
■期間:2025年3月28日までの土曜、休日のうち連続する2日間(8月10日〜19日、12月28日〜25年1月6日は利用不可)
■問い合わせ:JR東日本お問い合わせセンターTEL050-2016-1600
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年8月4日)