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私のフリーきっぷの旅 東日本編 伊藤岳志(鉄道カメラマン)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 新潟県

私のフリーきっぷの旅 東日本編 伊藤岳志(鉄道カメラマン)

銚子電鉄の線路沿いのキャベツ畑を見ながら走るレトロな南海22000形


鉄道旅に詳しい伊藤岳志さんに、おすすめのフリーきっぷの旅を教えてもらいました。テーマは「お得なきっぷで話題の列車を味わい尽くす」です。

 

青春18きっぷで、千葉の私鉄を見に行く週末旅【プラン➀】

プラン①は青春18きっぷで千葉のローカル私鉄を見て乗りに行く週末旅。今、鉄道ファンの間では、千葉の銚子(ちょうし)電鉄と小湊(こみなと)鐵道が話題になっている。両鉄道ともに最近導入された新車両が人気で、銚子電鉄では、今年春から元南海電鉄の22000形を導入。懐かしい若草色の南海オリジナルカラーをまとい、元京王電鉄の車両とともに、レトロ感満点な私鉄車両が一堂に会するようになった。

小湊鐵道では、JR東日本から譲渡されたキハ40系ディーゼルカーの本格運用が始まり、沿線のローカル色豊かなロケーションと相まって、かつての国鉄を彷彿(ほうふつ)とさせる旅が楽しめるようになっている。このプランでは、青春18きっぷ1回分と、いすみ鉄道・小湊鐵道をお得に乗り継げる「房総横断乗車券」を使い、1泊2日で千葉のローカル私鉄を巡る。

出発駅は東京駅。7時9分に地下ホームから出発する成田空港行き快速列車に乗車し、成田線経由で銚子駅に向かうのが、効率が良いだろう。銚子駅には9時56分に到着。銚子電鉄では、全線乗り降り自由のお得な1日乗車券「弧廻(こまわり)手形」(大人700円、子ども350円)を列車内で購入しよう。どんな車両が来るかわからないので、新車の南海電車に会えるかは運次第。仲ノ町駅の車庫で休んでいる様子を見学することもできる。沿線には犬吠埼(いぬぼうさき)、地球の丸く見える丘展望館、外川(とかわ)漁港周辺の地魚グルメなど、見どころも満載。1日乗車券を駆使して楽しみたい。

その後は宿泊地の大原へ。銚子駅14時57分発の総武線千葉行き普通列車に乗車し、東金(つおがね)線、外房線を経由して17時44分に大原駅に到着する。

翌日はいすみ鉄道で大多喜(おおたき)駅へ。大原駅8時57分発の列車に乗車するのが効率が良いが、その前に駅窓口で房総横断乗車券(大人2000円、子ども1010円)を購入しよう。小湊鐵道の五井(ごい)駅まで有効のお得な片道きっぷで、途中下車も可能(引き返しの乗車は不可)。

いすみ鉄道の中心駅で観光拠点でもある大多喜駅。名所の大多喜城も徒歩圏内だ

大多喜駅で下車して城下町散策などを楽しみ、12時18分発の列車で上総(かずさ)中野駅へ。ここから12時58分発の小湊鐵道の列車に乗車して養老渓谷駅で下車。養老渓谷を手早く見学して駅に戻り、14時25分発の観光急行4号に乗車する。観光急行は、房総里山トロッコ号(車両検査のため9月末まで運休)の代走で運行されているキハ40系を使った急行列車(別途指定席料金600円が必要)。ボックスシートに座って、ローカル色満点の車窓を楽しみたい。終点五井駅では、小湊鐵道の車庫横にある、こみなと待合室でひと休み。最後は内房線に乗車して帰京しよう(五井―東京駅間のJR運賃は990円なので、この日は青春18きっぷは使わないほうが良い)。

元JR東日本のキハ40を使用する小湊鐵道の観光急行列車
五井駅のこみなと待合室には多彩な軽食メニューや土産がある

週末パスで観光列車三昧【プラン②】

プラン②は、磐越西線(ばんえつさいせん)の新観光列車「あいづSATONO」(詳細はこちらの記事)、「SLばんえつ物語」、羽越線の「海里(かいり)」を週末の2日間で満喫する旅。話題の山形新幹線の新型車両E8系にも乗車できるかも。週末パス(詳細はこちらの記事)は別途料金を支払えば、これらの観光列車に加え、特急・急行列車(指定席利用可)、新幹線も利用可能だ。

1日目は東京駅8時7分発の東北新幹線「やまびこ」127号で郡山(こおりやま)駅へ向かい、新型観光列車「あいづSATONO」に乗車(運休の場合は10時15分発の快速会津若松行きを利用)。会津若松駅で途中下車して市内散策や、喜多方(きたかた)駅まで乗車して喜多方ラーメンなどを楽しもう。そして会津若松駅15時27分発の「SLばんえつ物語」に乗車して新津駅へ。この日は新潟で宿泊する。

長時間乗車できるのが魅力の「SLばんえつ物語」

2日目は、新潟駅10時11分発の「海里」で酒田駅へ。酒田到着後は、山居(さんきょ)倉庫などの市内の観光名所を回る。帰りは特急「いなほ」で新潟駅へ戻り、上越新幹線で帰京しても良いが、ちょっと遠回りして山形新幹線の新車、E8系に乗って帰る手もある。酒田駅17時50分発の陸羽西線代行バスに乗り新庄駅へ。新庄発19時57分発の「つばさ」160号にE8系が隔日で運用されるので、時間とタイミングが合えば利用してみよう。

絶景の笹川流れを行く観光列車「海里」

文・写真/伊藤岳志


■プラン①コース(※土曜、休日用ダイヤ ※1日目に青春18きっぷ利用)

【1日目】
東京7:09発(総武線快速成田空港行き)~成田8:32着/8:40発(成田線銚子行き)~銚子9:56着/14:57発(総武線千葉行き)~成東15:46着/16:06発(東金線大網行き)~大網16:27着/17:01発(外房線大原行き)~大原17:44着
【2日目】
大原8:57発(いすみ鉄道大多喜行き)~大多喜9:26着/12:18発(いすみ鉄道上総中野行き)~上総中野12:39着/12:58発(小湊鐵道五井行き)~養老渓谷13:08着/14:25発(小湊鐵道観光急行4号五井行き)~五井15:41着/17:03発(内房線快速久里浜行き)~東京18:03着

※お得金額は、JR線正規運賃(1日目)は4000円なので、1日あたり2410円の青春18きっぷは1590円お得。銚子電鉄の弧廻手形、いすみ鉄道・小湊鐵道の房総横断乗車券は、途中下車するほどにお得になる(房総横断乗車券だけでも正規運賃より170円お得)。

🔳プラン②コース(※土曜、休日用ダイヤ ※週末パス利用)

【1日目】
東京8:07発「やまびこ」127号~郡山9:31着/10:05発「あいづSATONO」~会津若松11:40着/15:27発「SLばんえつ物語」~新津18:43着/18:57発(信越線新潟行き)~新潟19:16着
【2日目】
新潟10:11発「海里」~酒田13:27着/16:04発「いなほ」12号~新潟18:10着/18:18発「とき」338号~東京20:12着
(E8系「つばさ」利用の場合は、酒田17:50発〈陸羽西線代行バス新庄行き〉~新庄19:27着/19:57発「つばさ」160号~東京23:28着

※E8系運行日はJR東日本のホームページ「E8系つばさ運転計画について」を参照 ※お得金額は、JR線正規運賃(帰路が上越新幹線経由の場合)は1万7820円なので、8880円の週末パスは8940円お得(「海里」の指定席は週末パスで利用できるが、食事付きはびゅう旅行商品となるので注意)。

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年8月3日)

Writer

伊藤岳志 さん

1969年、神奈川県生まれ。鉄道、車、バスなどさまざまな乗り物の撮影を手がける。著書に「さらば栄光のブルートレイン」(洋泉社)など

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