昭和初期の風情漂う文化財駅舎を巡る(2)~天竜浜名湖鉄道・長良川鉄道ほか~【フリーきっぷであの駅へ】
長良川鉄道の列車は、長良川に架かる何本もの鉄橋を渡りながら終点の北濃駅へと進む
大垣駅から養老鉄道で、養老駅を経由して長良川鉄道へ
昭和初期の風情漂う文化財駅舎を巡る(1)~天竜浜名湖鉄道・長良川鉄道ほか~【フリーきっぷであの駅へ】から続く
2日目は、大垣駅から養老鉄道に乗り、養老駅へ向かう。1919年に改築された木造平屋建て、入母屋(いりもや)造りの駅舎は、瓦葺きの屋根に「ドーマー」と呼ばれる洋風の飾り窓が付いた和洋折衷の建物だ。養老の滝に代表される養老観光の玄関口として風格を漂わせ、第2回「中部の駅百選」に選ばれている。
大垣へ戻り高山線で美濃太田駅へ向かい、今度は長良川鉄道へ。越前と美濃を結ぶ短絡線として計画され、1934年までに開業した旧国鉄越美南線(えつみなんせん)を引き継いでおり、国登録有形文化財の施設が残っている。
終点の北濃駅には、現存するアメリカ製として日本最古の機関車転車台があり、往時を偲(しの)ばせてくれる。郡上八幡駅の跨線橋(こせんきょう)、プラットホームも1929年の開業当時の雰囲気を色濃く残している。2017年に改修された駅本屋は窓枠にも木が使われ、中には「駅舎カフェ」が入る。人気メニューの醤油(しょうゆ)フランクドッグで腹ごしらえし、郡上の町を一巡りする。
旅の締めくくりは美濃市駅へ。焦げ茶色の下見板張り壁に赤い丸ポストが映える駅本屋と、近くに保存されているハーフティンバー様式の外観が目を引く旧名鉄美濃町線美濃駅の駅舎や、旧車両を保存・展示する頭端(とうたん)式のプラットホームを見学して帰途についた。
昭和初期の鉄道全盛時代の雰囲気を存分に堪能する旅となった。記念に各社の鉄印を集めるのもいい。
文・写真/越 信行
沿線の見どころとご当地グルメ
旧名鉄美濃駅
旧名鉄美濃町線の終着駅として使われてきた駅舎とホームをそのまま整備保存。玉石張りの側面をしたプラットホームに、美濃町線にゆかりのある往年の名鉄車両4両を保存展示する。
■9時~17時(10月~3月は~16時30分)/火曜、年末年始休、外観は見学自由/無料/長良川鉄道美濃市駅から徒歩3分/TEL0575-35-3660(美濃市観光協会)
郡上八幡
郡上八幡城の城下町として栄え、江戸前期の大火を機に張り巡らされた水路が流れる脇に、隣家との境に袖壁をもつ建物が軒を連ねている。夏に行われる郡上おどりはユネスコ無形文化遺産に登録。
■TEL0575-67-0002(郡上八幡観光協会)
駅舎内に併設され、地元産食材を使ったメニューが豊富にそろう。醤油フランクドッグ(650円)は、「中川ベーカリー」のコッペパンに、「明方(みょうがた)ハム」の醤油フランクを挟んだご当地グルメ。
■9時~16時/年末年始休/長良川鉄道郡上八幡駅舎内/TEL0575-67-9039
使ったのはこのきっぷ
JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ ◉8620円
JR東海の在来線全線と隣接する16私鉄の普通・快速列車の普通車自由席が、土曜・休日の連続2日間、乗り降り自由。在来線特急列車は回数に制限なく、東海道新幹線(熱海―米原駅間)は「ひかり」「こだま」に4回まで乗車可(別途特急券が必要)。フリーエリア内のJR東海の主な駅や旅行会社で、有効開始の当日まで販売。16私鉄の窓口などでは販売していない。
■期間:通年(4月27日~5月6日、8月10日~19日、12月28日~25年1月6日は利用不可)。
■問い合わせ:JR東海テレフォンセンターTEL050-3772-3910
●モデルコースは2024年5月15日現在の時刻表を基に作成しました。掲載している路線名は主なものです。
●「~円お得」は、モデルコースを通常の鉄道運賃・料金で回った場合と、お得きっぷを使った場合との差額です。
●施設の営業時間は、最終入館やラストオーダーがある場合は、その時間を記しています。
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年7月号)
(Web掲載:2024年8月15日)