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【紅葉の秘湯】足元から湧く湯の恵みを実感 福島・二岐温泉 大丸あすなろ荘(2)

場所
> 天栄村
【紅葉の秘湯】足元から湧く湯の恵みを実感 福島・二岐温泉 大丸あすなろ荘(2)

露天風呂の先には自然の森が広がっている(写真/藤田聡)

 

原生林の森が秘湯を守る

【紅葉の秘湯】足元から湧く湯の恵みを実感 福島・二岐温泉 大丸あすなろ荘(1)から続く

翌朝、50代目の佐藤好億(よしやす)社長に話を聞いた。佐藤さんは、今年創立50周年を迎えた「日本秘湯を守る会」の立ち上げメンバーのひとりで、今も名誉会長として尽力している。

大丸あすなろ荘50代目の佐藤好億さん
日本秘湯を守る会」のちょうちん
シンプルな和朝食

「紅葉の最盛期は10月後半。初めにカツラが黄色く色付き、ナナカマド、ブナやナラなどの大木が続き、高い木が葉を落とすとモミジが真っ赤に染まります」

これらの原生林は美しい光景を演出するだけでなく、温泉を守るために大きな役割を担っていると佐藤さんは言う。

「雨や雪解け水が地中にしみ込み、地下のマグマで温められ、長い年月をかけて温泉となり、地中に湧き出す。ブナなどの広葉樹林帯は地中に水をため込むタンクの役割を果たしているので、伐採したら温泉は枯れてしまいます。自然環境を守り、その地域ならではの温泉文化を次の世代に継承することが、秘湯を守ることにつながると思っています」

自然と温泉の恵みを肌で感じる旅となった。

文/高崎真規子 写真/三川ゆき江ほか

 

訪ねたい周辺の見どころ

大内宿

江戸時代、会津と日光を結ぶ会津西街道の宿場町として栄えた。今も30軒余りの茅葺(かやぶき)屋根の民家が道の両側に立ち並び、飲食店や土産物店などを営む。10月下旬~11月上旬は、紅葉した周囲の山々をバックに、古い家並みの間に点在する木々も色付き、山あいの集落らしい独特の趣を醸し出す。

■会津鉄道湯野上温泉駅からバス15分(4月~11月)、大内下下車徒歩4分/東北道白河ICから50キロ/TEL0241-68-3611(大内宿観光案内所)

 

 

雪割橋(ゆきわりばし)

阿武隈川の源流に架かる全長約138.5メートルのアーチ式の鉄橋。この橋を中心とした約4キロの一帯は雪割渓谷と呼ばれ、秋は輝くような紅葉に染まる。谷底から川までの高低差は約60メートルで、橋の上に立てば見渡す限りの紅葉に包まれる。川沿いの西の郷遊歩道から橋と紅葉を眺めるのもいい。

■東北新幹線新白河駅からバス30分、発電所前下車徒歩5分/東北道白河ICから12キロ/TEL0248-25-5795(西郷村観光協会)


 

  

大丸あすなろ荘

🍁紅葉の見頃:10月中旬~下旬
TEL:0248-84-2311
住所:天栄村湯本字二俣5
客室:全20室
温泉:カルシウム―硫酸塩泉

1泊2食料金(1人分):
2人1室利用 平日2万2150円~・休前日2万3250円~
1人1室利用 平日2万3250円~・休前日2万4350円~(通年可)
日帰り入浴:11時~14時30分/不定休/1000円

交通:東北新幹線新白河駅から天栄村の観光協会運営バス「湯ったりヤーコン号」1時間30分(900円、要予約)、終点下車すぐ/東北道白河ICから40キロ

※料金などは掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2024年10月号)
(Web掲載:2024年11月20日)

 


Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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