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【旅して開運】伊勢神宮<三重>(2)見えるもの、見えないものに感謝し 自己の、知人の、世界の安寧を願う

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 三重県
> 伊勢市
【旅して開運】伊勢神宮<三重>(2)見えるもの、見えないものに感謝し 自己の、知人の、世界の安寧を願う

夜明け前の宇治橋大鳥居。内宮は右側通行、外宮は左側通行が習わし。内宮は右に、外宮は左にそれぞれの手水舎があるからとも伝わる

 

内宮は清冽な空気が待つ早朝参拝がおすすめ

【旅して開運】伊勢神宮<三重>(1)見えるもの、見えないものに感謝し 自己の、知人の、世界の安寧を願うから続く

翌日の内宮ガイドは朝6時スタート。いわゆる「朝参り」である。昨年は約500万人が参宮したという内宮は、昼間はかなりのにぎわいだが、朝は人影もまばらだ。心地良い冷気に包まれ、玉砂利、野鳥、古木が発する「神宮の音」に聞き入る。

「神宮の神域は伊勢市の4分の1の面積を占める」「日本にある神社の総数は約8万、コンビニの約6万より多い」……。そんな豆知識に感心しながら芝生と松が美しい神苑を抜け、五十鈴川のほとりの御手洗場(みたらしば)で心身を清め正宮へ。夜も明け、木漏れ日が照らす石段を踏み締めて正宮に参る。自然と背筋が伸び、柏手(かしわで)を打つ手にも力がこもった。日々の悩みが頭のてっぺんから空へ、すうっと抜けていくように思えた。

五十鈴川に架かる宇治橋は全長101.8メートル、幅8.4メートル
榊(さかき)は神域と浮世を分かつ「境の木」とも言われ、10日ごとに掛け替えられる
樹齢800年ともいわれる杉の大木
内宮正宮。御神体は三種の神器の一つの八咫鏡(やたかがみ)とされる

何故(なにゆえ)そう感じたかを論じるのは難しい。そんな凡人に代わって歌人で僧侶の西行は、

 何事の おわしますをば知らねども かたじけなさに涙こぼるる
 (どなた様が祀られているかは分からないけれど、ありがたさにただ涙がこぼれてくる)

と歌に残してくれている。

目に見えないものに感謝し、畏(おそれ)れながら生きてきた日本人。その感受性を少しでも引き継げと教えられたような気がした。良きことも悪(あ)しきことも、神宮の森からの頂き物だと思えば、新たな希望が湧いてきた。今月号のテーマ「開運」は、その先にあるのかもしれない。 

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝

早朝の“音”のスケッチ

早朝の静まり返った伊勢神宮では、聴覚も冴(さ)える。手水舎に湧く澄んだ水、玉砂利を掃き清める帚(ほうき)、五十鈴川のせせらぎ、柏手の響き、それらを包み込む森のざわめき……。そんな音の一つ一つが、都会の雑踏に戻っても、ふとした折に鼓膜によみがえる。


伊勢神宮外宮(豊受大神宮)

■時間:5時~17時(1月~4月、9月は~ 18時、5月~8月は~19時)/無休
■交通:近鉄山田線・参宮線伊勢市駅から徒歩5分
■住所:伊勢市豊川町279
■TEL:0596-24-1111(神宮司庁広報室)


伊勢神宮内宮(皇大神宮)

■5時~17時(1月~4月、9月は~18時、5月~8月は~19時)/無休
■交通:近鉄鳥羽線五十鈴川駅からバス6分、内宮前下車すぐ
■住所:伊勢市宇治館町1
■TEL:0596-24-1111(神宮司庁)

※公式サイトはこちら

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年1月号)
(Web掲載:2024年12月12日)

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Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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