【車窓に春風🌸お花見列車】真っ白な富士山と桜並木の競演を楽しむ 富士急行線<大月〜河口湖>(1)

富士山ビュー特急は1日2往復運行。土曜、休日にはスイーツプランも実施(写真/ピクスタ)
日本の美を象徴する2大スターが同時に楽しめる鉄道旅
富士山と桜。日本の美を象徴する2大スターが同時に楽しめる鉄道旅といえば〝富士山に一番近い鉄道〟こと富士急行線(富士山麓電気鉄道)だ。大月―河口湖駅の全18駅、26.6キロを約1時間(普通列車)で結ぶ。大月駅へは新宿駅から特急あずさを利用すると約1時間で到着する。
「桜の咲く駅として人気が高いのは田野倉駅、東桂(ひがしかつら)駅、寿駅です。富士急行線の特急列車自由席を含む2日間乗り放題の富士急特急フリーきっぷを使って、途中下車しながらのんびりと進むのもおすすめです」とは同社運輸課の吉原亜美さん。


各駅の桜などの情報を聞くと、田野倉駅はホーム沿いに十数本のソメイヨシノが並び、線路の近くには菜の花が咲くそうだ。菜の花は一人の車掌が種をまいたところ、自然に増えていったというのが面白い。東桂駅はホーム脇に桜並木があり、花期はピンク色の花で覆われる。
寿駅で下車して、桜を眺めながら隣の葭池(よしいけ)温泉駅まで歩いてみる。中央道の高架をくぐった先の国道139号は隠れたビューポイントで、大迫力の富士山が望めるのだ。


次の途中下車は下吉田駅。外国人旅行者に絶大な人気を誇る「新倉山浅間(あらくらやませんげん)公園」の最寄り駅で、2024年4月の多い日には1日4000人以上が乗降したというから驚く。


新倉山浅間公園の見どころは展望デッキからの絶景だ。公園は新倉富士浅間神社の境内にあり、本殿を参拝して、さくや姫階段(398段)を上ると展望デッキに出られる。山肌には約650本のソメイヨシノが植樹され、その中に朱塗りの五重塔(忠霊塔)が立ち、奥には悠然と裾野を延ばす富士山がそびえている。
「今は大勢の外国人が来ますが、10年ほど前は地元の人だけが知る静かな所でしたよ」と、展望デッキから少し離れたあずま屋で休憩する地元のおじいさんが教えてくれた。「奥さんとデートで来たんでしょ?」と突っ込みを入れると、おじいさんは〝へへっ〟と照れ笑い。しばらく雑談して先に進んだ。
文・写真/内田 晃


📝新倉山浅間公園桜まつり
4月1日から18日まで開催。富士急行線下吉田駅から徒歩15分。TEL:0555-21-1000(ふじよしだ観光振興サービス)。

お花見列車&お得きっぷ
【富士急特急フリーきっぷ】
富士急行線が2日間乗り放題で3000円。特急(富士山ビュー特急・フジサン特急)の自由席にも乗車できる。富士回遊は対象外。
【桜満喫号】
「新倉山浅間公園桜まつり」に合わせて、3月下旬〜4月中旬の午前中を中心に臨時列車「桜満喫号」の運行を予定。全車自由席の普通列車のため、乗車券のみで利用できる。
問い合わせ:富士急行 TEL:0555-73-8181(富士急コールセンター)
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年4月号)
(Web掲載:2025年4月9日)