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【はじめてのひとり旅(一人旅)の宿】茅葺き屋根の源泉宿 湯滝の宿 西屋 <山形・白布温泉>(2)

場所
> 米沢市
【はじめてのひとり旅(一人旅)の宿】茅葺き屋根の源泉宿 湯滝の宿 西屋 <山形・白布温泉>(2)

雪にをかぶった夜の茅葺の宿

湯を守る、その努力に感謝

 【はじめてのひとり旅(一人旅)の宿】茅葺き屋根の源泉宿 湯滝の宿 西屋 <山形・白布温泉> (1)から続く

特筆すべきは、湯温の調整方法だ。翌朝、湯守でもある19代女将の遠藤央子(ひさこ)さんに、その仕組みを教えてもらった。宿の裏手、積もった雪をかき分けて行くと、急斜面に「調整枡(ます)」があり57度の源泉が流れ込んでいる。毎分約400リットルをかけ流しているというから相当の量だ。その枡に細いパイプが延びていて、沢からの水が注がれている。パイプには栓や弁などはなく、詳細は省くが沢水の流出口の位置を微妙に調整することで、湯温をコントロールしているという。その日の気温、水温も見ながら、央子さんは一日に何度もこの斜面に上り、源泉が湯滝に到達する時には一年中いつでも43度となるように調整している。

「せっかくの休日に来てくれたお客さまをがっかりさせないために、誇りを持って湯守を務めています。温泉は千変万化(せんぺんばんか)ですから気が抜けません」と央子さん。その真摯(しんし)な姿に胸を打たれた。

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「365日休まずに温泉を守ります」と話す央子さん

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「調整枡」は、左の太い樋から源泉が流れ込み、右奥のパイプから沢水が流れてくる。パイプの先を湯面に近づけたり、遠ざけたりすることでいつでも一定の温度になるよう調整。温泉は右側のパイプから打たせ湯へ流れる

翌日も雪模様。宿泊客がスムーズに出発できるよう、駐車場では早朝から主人が雪かきに追われるという。雪下ろしには近隣の人々が協力してくれるそうだ。

客室と風呂を何度も往復し、静かな貸切風呂で手足を伸ばし、滋味あふれる山里の料理を味わい、雪の宿もいいものだとおこもり気分にひたっていた。だが宿に携わる人々のおもてなしの心と努力でこの旅が成立したのかと気付いた時には、チェックアウトの時間が迫っていた。ひとり旅だからこそ、そう思えたのかもしれない。お礼の言葉を深く述べて、茅葺きの宿を後にした。

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囲炉裏があり昔の暮らしを体験できるような休憩スペースもある

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思い思いに過ごせる談話室

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看板猫の「かぐら」(左)と「おんでん」。チェックアウト時にフロントであいきょうを振りまいている

文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝

👀周辺の見どころ

🍶酒造資料館 東光の酒蔵

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400年以上の歴史を誇り「東光」の名で知られる酒蔵・小嶋総本店の資料館。敷地は1200坪。入り口では昔の帳場の様子を再現。140坪の仕込み蔵は東北で最大級といわれ、昔ながらの酒造りの道具などを展示し、酒造りの工程を解説している。明治・大正時代の造り酒屋の雰囲気を体感できるのも興味深い。売店や試飲コーナー(有料)もある。
■9時~16時30分/年末年始休/350円/山形新幹線米沢駅からバス7分、大町1丁目下車すぐ/TEL:0238-21-6601

🍜小野川温泉かまくら村

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米沢駅から白布温泉へ向かう途中にある小野川温泉に、3基のかまくらと2基の「光の灯籠(とうろう)」が作られている。中にはベンチとテーブルがあり、温泉街にある2軒の飲食店に電話をして米沢ラーメンの出前が取れる。設置期間は3月上旬まで(積雪量により異なる)。出前の時間は店舗により異なる。
■見学自由/山形新幹線米沢駅からバス25分、小野川温泉下車すぐ/TEL:0238-32-2740(小野川温泉旅館組合)


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湯滝の宿 西屋
TEL:0238-55-2480
住所:米沢市関1527

【ひとり泊データ】
条件:通年可
客室:トイレなし6畳和室など(全15室)
食事:夕・朝食=食事処
<料金(税込)>
素泊まり 平日1万1150円~/休前日1万2250円~
1泊朝食  平日―/休前日―
1泊2食  平日1万9950円~/休前日2万1050円~
※ 2人1室利用も同料金。湯治おばんさいプランは1万3350円〜
交通:山形新幹線米沢駅からバス50分、白布温泉下車すぐ/東北中央道米沢八幡原ICから20キロ

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年3月号)
(Web掲載:2025年11月16日)


Writer

渡辺貴由 さん

栃木県栃木市生まれ。旅行情報誌制作に30年近く携わり、全国各地を取材。プライベートではスケジュールに従った「旅行」より、行き当たりばったりの「旅」が好き。温泉が好きだが、硫黄泉が苦手なのが玉に瑕(きず)。自宅では愛犬チワワに癒やされる日々。

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