【はじめてのひとり旅の宿】友家ホテル <新潟・大湯温泉> おこもり宿で温泉にひたる
明るく開放的な「龍神の湯」。源泉かけ流しの湯をひとり占めできる
四つの貸切風呂と部屋食、ひとりに優しい宿
友家(ともや)ホテルは越後駒ヶ岳の麓、米どころ魚沼市にある大湯温泉の宿。最近泊まった宿の中で群を抜いてひとり旅に優しい宿だった。全14室の客室はすべて異なるデザインにリノベーションされていて快適そのもの。宿泊した「芙蓉(ふよう)」の部屋は和室の奥にフローリングのスペースがあり、ソファで風呂上がりのビールを楽しんだ。すべての客室にDVDプレイヤーが設置され、映画やドラマを無料で見られる。「部屋にひとりでいてもやることがないかも」という心配は無用だ。
4か所ある浴室は客室に設置されたタブレットで予約し、貸し切りで利用する。砂漠のオアシスをイメージした庭園風呂や、窓越しに渓流を眺められる龍神の湯などデザインが異なる浴室で、ひとり悠々と湯につかる至福の時間。すべての浴室が自家源泉のかけ流し。毎日湯を抜き清掃しているそうで、とびきりフレッシュなお湯を心ゆくまで楽しめた。

外観は昔のまま、客室はすべてリノベーションされている

大きく窓が取られ、広々とした庭園風呂

大浴場はなく、四つの風呂を貸し切りで利用する

「芙蓉」の部屋は16畳あり、ゆったりくつろげる
風呂上がりには1階の「トモヤホール」に立ち寄る。冷水とお茶が用意された広い部屋の壁際には、膨大な蔵書が収められた書棚がずらり。流れる音楽に合わせてミラーボールが回り、将棋盤や卓球台、ファミコンなど各種ゲームも設置され、宿泊客が思い思いに楽しんでいた。フットマッサージャーを使いながら本のページをめくり、夕食までの時間を過ごす。

本やマンガがそろい、卓球台などもある「トモヤホール」
食事は朝・夕ともに部屋でとる。客室のタブレットから飲み物を注文できるのも気楽でいい。「緑川」をはじめとした日本酒メニューの中から気になった地酒を注文する。量販店では扱いがないという宿こだわりの地酒は優しい味わいで料理によく合い、刺し身も新鮮でおいしい。大きなハマグリの入った鍋はだしまですべて飲み干した。肉料理の「栗豚のソテー」の提供タイミングで、にごり酒を追加オーダー。少し甘めのソースとにごり酒はよく合った。

部屋でのんびりいただく夕食。お酒に合うメニューも多い

刺し身の鮮度も抜群!お酒が進む

大きなハマグリはプリプリの食感でおいしい
朝食は大ぶりな焼き鮭にだし巻き卵、自家製の漬物、地場産の生ハムなどのおかずとともに、魚沼産コシヒカリをたっぷりといただく。滞在中、人の目を気にしたり誰かに気を使ったりする必要がなく、ごく自然にひとりの時間を楽しめる宿だった。初めてのひとり温泉旅で友家ホテルに泊まればきっと「ひとりで温泉宿に泊まる」旅の魅力に取り付かれるだろう。
文/月山もも
👀周辺の見どころ
永林寺


幕末から明治初期にかけて越後国で活躍した彫工・石川雲蝶ゆかりの寺院。本堂外陣廊下欄間の「龍」・「鳳凰」や、位牌堂欄間の「天女」(写真)など、雲蝶の作品を見学できる。作品や雲蝶についてのガイドもある(ガイド料3000円。詳細は魚沼市観光協会ホームページで)。
■10時~14時30分(4月~11月は9時~16時)/不定休/500円。ガイド付き時の拝観料1200円(図録付き)/上越線越後堀之内駅から徒歩20分/TEL:025-794-2266
友家ホテル
TEL:025-795-2111
住所:魚沼市大湯温泉282
【ひとり泊データ】
条件:通年可
客室:トイレ付き14畳和室など(全14室)
食事:夕・朝食=部屋食
<料金(税込み)>
素泊まり 平日1万8000円~/休前日2万2000円~
1泊朝食 なし
1泊2食 平日2万1000円/休前日~ 2万5000円~
※2人1室利用は1泊2食1万6000円~
※公式ホームページから予約の場合
交通:上越線小出駅からバス27分、大湯温泉下車徒歩3分/関越道魚沼ICから13キロ
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2025年3月号)
(Web掲載:2025年11月22日)

つきやま・もも
山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ブログ「山と温泉のきろく」に、温泉宿への宿泊記、旅の食事や登山の記録をつづっている。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。


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