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【鉄道ひとり(一人)旅】鉄旅の達人に聞く! 早春の鉄道ひとり旅4選 

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【鉄道ひとり(一人)旅】鉄旅の達人に聞く! 早春の鉄道ひとり旅4選 

もうすぐ春!ひと足早く、春を感じる鉄道でひとり旅に出てみませんか。憧れはあるものの、なかなかその一歩が踏み出せないあなた。初めてのひとり旅でチャレンジしやすい鉄道コースを鉄旅の達人にモデルコース付きで紹介してもらいました。

梅香る紀州路へ 郷土寿司を味わいながら(大鶴倫宣)

早春の紀勢線の車窓は楽しい。陽光にきらめく太平洋の大海原。沿線には菜の花や梅が咲き誇り、ぽかぽかと暖かい春を先取りした気分になれる。まずは紀州路の玄関口・和歌山のシンボル、和歌山城を訪れたい。徳川御三家、紀州徳川家の居城として名高いが、元々の築城主は豊臣秀長。そう、今年のNHK大河ドラマの主人公だ。秀長築城時の石垣などが今なお残る。

駅に戻ったら紀州名物の「さんま寿司」と「めはり寿司」を買って、美しい車窓の風景とともに味わおう。さんま寿司とは、サンマ丸ごと1尾を柑橘(かんきつ)酢で締めた押し寿司。南紀でとれるサンマは脂がほどよく落ち、さっぱりとした味わいだ。一方、めはり寿司は白飯を高菜漬けで包んだおにぎり大の寿司。大きく口を開けて食べることで目を見開くことから、その名が付いたとも。車窓からの観梅に飽き足らず梅の香りに包まれたいなら、南部(みなべ)駅で途中下車して南部梅林を散策するのもおすすめ。旅の締めは白浜の湯で癒やされたい。

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太平洋をバックに梅林の中を縫うように走る(岩代-南部駅間)

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さんま寿司は和歌山駅のほか紀伊勝浦や新宮の駅近くの専門店でも買える

《日帰り》阪和線-紀勢線 和歌山

■モデルコース
新大阪9:28発→(特急くろしお5号)→和歌山10:34着【市内散策】12:18発→(特急くろしお9号)→南部13:27着【南部梅林(シャトルバス利用*)】15:28発→(特急くろしお13号)→白浜15:47着【温泉入浴】17:20発→(特急くろしお32号)→新大阪19:51着
※2026年は3月1日で閉園(詳細は梅の里観梅協会HPで👉こちら

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大鶴倫宣
写真家。福岡県久留米市出身。大学卒業後、会社員を経て2006年よりフリーランスの写真家に。近年は鉄道旅行と食に関する撮影や執筆も多い。近著に『ニッポン縦断 ほろ酔い鉄道紀行』(イカロス出版)。日本写真家協会(JPS)正会員

野鳥の声が響く、豊臣兄弟ゆかりの低山へ(宮川 透)

仕事で疲れたなと思ったら、鉄道でふらり、ハイキングに出かける。山頂で淹(い)れたてのコーヒーを飲むのが私のストレス解消法だ。ひとり旅初心者におすすめなのが、今年の大河ドラマでも注目の、天下分け目の合戦で有名な天王山(てんのうざん)。最寄りの山崎駅から登り口まで徒歩3分で、標高270メートルという手軽さが気に入っている。大阪駅から東海道線に乗り、北摂の山々を望みながら30分ほどで山崎駅に到着。この区間は阪急線や新幹線が間近に並走するので車窓風景も結構好きだったりする。

登り口からは舗装された急坂が続き、宝積(ほうしゃく)寺境内からは本格的な山道が続く。ここから一気に空気感が変わり、野鳥の鳴き声が春の訪れを感じさせる。途中、山崎合戦の跡地を見渡せる旗立松(はたたてまつ)展望台や、「秀吉の道」と題された陶板画が点在し歴史散策も楽しい。山頂からは来た道と反対方向へ、小倉神社を経由して下山。西山天王山駅から阪急京都線に乗り、高槻市駅で途中下車。「高槻天然温泉 天神の湯」で汗を流して帰ろう。

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旗立松展望台からは山崎の合戦跡地が一望できる

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山頂には、秀吉が築いた山崎城の天守台や土塁などが残っている

《日帰り》東海道線 京都

■モデルコース
大阪10:08発→山崎10:35着【天王山ハイキング】→西山天王山13:39発→高槻市13:49着【高槻天然温泉天神の湯で立ち寄り湯】15:41発→大阪梅田16:03着
※天王山山頂から同じ道を下山して山崎駅に戻り、徒歩10分の「山崎蒸留所」や同15分の「大山崎山荘美術館」に行くのもおすすめ

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宮川 透
1965年、愛知県生まれ、大阪市在住。大阪芸術大学写真学科卒業後、広告会社勤務を経て旅や温泉、鉄道、アウトドア好きのフリーカメラマンに。本誌では関西方面の取材を中心に撮影を30年近く担当している。日本写真家協会(JPS)正会員。

よみがえった令和のブルートレイン(松尾 諭)

ひとりでふらりと出かける鉄道散歩におすすめしたいのは大井川鐵道だ。モデルコースでは東京を起点としているが、名古屋や大阪からも日帰り圏内とアクセスしやすい。

大井川鐵道では“ブルートレイン”が復活した。ブルートレインとは青い寝台客車を使用した夜行列車の愛称。全国各地を走っていたが、2015年に定期運行を終了した。大井川鐵道はJR西日本から12系客車5両を譲り受けて、2025年11月に営業運転を開始。その先頭に立つ機関車がブルートレインを牽引(けんいん)したEF65形を模したE31形34号機だ。厳密には12系客車は寝台客車ではないが、見た目はまさしくブルートレインである。

わくわくした気持ちで金谷(かなや)駅に停車している客車に入る。車内は国鉄時代にタイムスリップしたかのような懐かしい雰囲気で青いモケットのボックスシートが並んでいた。川根温泉笹間渡(ささまど)駅まで1時間ほどのショートトリップの後は、日帰り温泉も楽しめる道の駅川根温泉に立ち寄りたい。

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ブルーに統一された編成が美しいED31 4と12系客車を組み合わせたブルートレイン

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かつての「出雲」のヘッドマークを誇らしげに掲げて川根路を走る

《日帰り》大井川鐵道 静岡

■モデルコース
東京9:27発→(こだま713号)→静岡10:47着/10:52発→金谷11:23着/12:00発→(EL急行 かわかぜ1号)→川根温泉笹間渡13:01着【道の駅 川根温泉で昼食、入浴など】16:04発→(EL急行 奥大井2号)新金谷16:43着/16:48発→ 金谷16:52着/17:01発→静岡17:33着/17:41発→(ひかり514号)→東京18:42着

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松尾 諭
1977年奈良県生まれ、三重県育ち。旅行会社勤務後、出版社を経て、フリーランスのフォトグラファー・ライターに。鉄道と旅をテーマに取材・撮影・執筆を行い、写真や記事を発表中。ライフワークとしてまだ見ぬ鉄道絶景を探し続けている。日本旅行記者クラブ会員。

梅と美食に癒やされる裏高尾ミニトリップ(伊藤岳志)

高尾山エリアで近年、早春の名物となっているのが山里に咲く梅の花。梅林が多いのは裏高尾と呼ばれる旧甲州街道沿いで高尾駅、京王高尾山口駅からバスまたは徒歩で手軽に巡ることができる。例年の見頃は2月下旬~3月中旬だ。

新宿駅から中央線に乗車。中央線には昨年からグリーン車が導入されたので、ちょっと奮発して利用するのもいい。高尾駅で下車したらバスで裏高尾へ。バス停最寄りの木下沢(こげさわ)梅林からお花見を始めよう。バスで来た道を徒歩で下りながら点在する梅林の眺めを楽しむ。途中の摺差(するさし)バス停付近には人気の豆腐店があるので、休憩がてら名物の「おぼろ豆腐」や「おからドーナツ」を味わおう。

里に下りてきたら京王高尾山口駅へ。駅周辺には高尾そばを味わえる食事処が多数あり、日帰り温泉施設もあるのでぜひ立ち寄ってみたい。帰りは京王高尾線で。土曜・休日なら座席指定制の「Mt.TAKAO号」が運行されているので快適に帰路に就ける。

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旧甲州街道と中央線はほぼ並走しており、列車の車窓からも裏高尾の梅が楽しめる(高尾-相模湖駅間)

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高尾そばの人気メニュー「とろろそば」

《日帰り》中央線-京王高尾線 東京

■モデルコース
新宿8:49発→高尾9:35着→高尾駅北口9:52発→(京王バス)→大下バス停10:05着【裏高尾でお花見散歩】→京王高尾山口駅【駅周辺で高尾そばや日帰り温泉を楽しむ】16:15発→(Mt.TAKAO 6号)→新宿17:09着
※京王高尾山口駅から徒歩5分のケーブルカーに乗って高尾山の展望台へ行くのもおすすめ

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伊藤岳志
鉄道風景と鉄道車両を追いかけて全国を旅する写真家・ライター。神奈川県相模原市出身。バスの取材もこなし、奈良交通(奈良県)のオフィシャルカメラマンも担当。主な著書は『さらば栄光のブルートレイン』(洋泉社)、『日本一周鉄道クイズの旅』(理論社・共著)など。


※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2026年3月号)
(Web掲載:2026年3月27日)


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