たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【歩く旅】「豊臣兄弟」が歩いた尾張の美濃路さんぽ<中村・清州>

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 愛知県
> 名古屋市、清須市
【歩く旅】「豊臣兄弟」が歩いた尾張の美濃路さんぽ<中村・清州>

春は清洲城の最上階から清洲公園や五条川の桜が見下ろせる
■9時〜16時30分/月曜(祝日の場合は翌平日)休/400円/TEL:052-409-7330

豊臣兄弟が歩いた美濃路を通り、清洲城を目指す

今年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」は貧しい農家に生まれながら、天下人に出世した豊臣秀吉( 藤吉郎<とうきちろう>)と、その成功を補佐した弟・秀長( 小一郎<こいちろう>)の物語。ドラマでは藤吉郎と小一郎が幼馴染(おさななじみ)の直(なお)を連れて、故郷の中村から織田信長が治める清洲(清須)へ向かう場面が印象的だった。今回は豊臣兄弟を気取り、名古屋市中村区から美濃路を通り、清洲城を目指す。

地下鉄東山線中村公園駅を出ると、正面に大鳥居がそびえ、奥には松並木の参道が中村公園まで続く。一帯は兄弟の出生地の農村があったと伝わり、明治以降に公園として整備され、豊臣秀吉を祀(まつ)る「豊國(とよくに)神社」が創建された。秀吉は派手好きだけに大鳥居を喜んでいることだろう。

2 DSC01522.jpg
中村区のシンボルでもある豊國神社の大鳥居の高さは約24.メートル

3 DSC01192.jpg
中村公園の中央に豊國神社が鎮座する

来年1月11日まで営業する「豊臣ミュージアム」や加藤清正(きよまさ)ゆかりの妙行(みょうぎょう)寺を見たら、庄内川に架かる豊公橋(ほうこうばし)を渡り、西岸を川上へ向かう。水防センター「みずとぴぁ庄内」の先で左に曲がると美濃路に出る。

江戸期、庄内川の西側(現在の枇杷島<びわじま>橋と名鉄犬山線の間)には下小田井(しもおたい)の市と呼ばれる青物問屋街があり、この辺りにも多彩な商品を扱う問屋が並んでいた。今も出格子(でごうし)が印象的な町家が並び、かつてのにぎわいが想像できる。その一つ「西枇杷島問屋記念館」は市の創設に尽力した山田九左衛門家の住居を移築復元。間口が狭く奥に長い造りで、青果問屋の商いや暮らしの様子がわかる。

5 DSC02005.jpg
西枇杷島地区の古い町並み

6 DSC01830.jpg
青果問屋の内部を見学できる西枇杷島問屋記念館
■10時〜15時30分/月曜(祝日の場合は翌平日)休/無料/TEL:052-400-2911(清須市生涯学習課)

7 DSC01683.jpg
庄内川西岸は堤防の上だけでなく、水辺の散策路(写真)も歩ける

東海道から分かれて美濃へ向かう脇街道、美濃路を西へ進むと、古民家の尾根に小さな祠(ほこら)を見つけた。屋根神様と呼ばれ、疫病除(よ)け、火難除け、武運長久の利益を授ける、津島神社、秋葉神社、熱田神社の神が祀られている。地域の人々だけでなく、美濃路を歩く旅人も見守ってくれているように思えて、一礼した。

新川橋を渡り、新川地区に入る。「信長(しんちょう)公記」によると、信長は桶狭間(おけはざま)の合戦後、今川義元の首級(しゅきゅう)を駿府(すんぷ)へ送り返し、地区内の須ケ口に義元塚を築かせ、手厚く供養したとある。美濃路沿いの正覚寺境内には「今川塚供養塔」と伝わる石碑もある。

正覚寺から40分ほど歩き、五条橋を渡ると清洲宿に到着。本陣跡、信長・濃姫の銅像が立つ清洲公園の先には、清洲城本丸跡を整備した清洲古城跡公園がある。最後は1989年に再建された清洲城の天守へ。館内は歴史資料館になっていて、最上階の回廊からは360度の眺望が楽しめた。城主になった気分である。

文・写真/内田 晃

豊臣ミュージアム

大河ドラマ「豊臣兄弟!」を契機に期間限定でオープンした複合施設。「豊臣兄弟! 名古屋中村 大河ドラマ館」「名古屋市独自展示 武将も唸(うな)る!戦国めし×なごやめし」「ミュージアムショップ」で構成。「大河ドラマ館」では中村ならではの撮影セットの再現や衣装展示も。
■9時〜16時30分/無休/800円(「大河ドラマ館」のみ)/地下鉄東山線中村公園駅から徒歩10分/名古屋市中村区中村町木下屋敷23-1中村公園内/TEL:090-6977-2277(豊臣ミュージアム)

8 DSC01233.jpg
「大河ドラマ館」館内の様子(主催:名古屋市・名古屋市大河ドラマ「豊臣兄弟!」活用推進協議会)

9.DSC01230.jpg「大河ドラマ館」の入り口(主催:名古屋市・名古屋市大河ドラマ「豊臣兄弟!」活用推進協議会)

美濃路

東海道・宮の宿(名古屋市熱田区)と中山道・垂井宿(岐阜県垂井町)を結ぶ脇往還。約60キロの道のりで、清洲宿、稲葉宿、墨俣(すのまた)宿、大垣宿などを経由する。信長、秀吉、家康が大一番の合戦で勝利し、凱旋(がいせん)したことから「吉例(きちれい)街道」とも呼ばれている。

4_マンホール-removebg-preview.png
中村公園周辺には豊臣秀吉(写真)、豊臣秀長、加藤清正の兜を描いたカラーマンホールがあるので探してみよう


◉モデルコース
[ 徒歩距離◎10キロ ]
[ 徒歩時間◎3時間20分 ]

地下鉄東山線
中村公園駅 START
 ⬇ 650メートル(10分)
豊臣ミュージアム
(中村公園・豊國神社)
 ⬇ 1キロ(20分)
豊公橋
 ⬇ 2.5キロ(50分)
西枇杷島問屋記念館
(美濃路の古い町並み)
 ⬇ 4.7キロ(1時間35分)
清洲城
 ⬇ 1.2キロ(25分)
東海道線清洲駅 GOAL

■問い合わせ/TEL:052-400-2911(清須市観光協会)

※記載内容はすべて掲載時のデータです。

(出典:「旅行読売」2026年4月号)
(Web掲載:2026年4月11日)


Writer

内田晃 さん

東京都足立区出身。自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。四国八十八ヵ所などの巡礼道、街道、路地など、歩き取材を得意とする。著書に『40代からの街道歩き《日光街道編》』『40代からの街道歩き《鎌倉街道編》』(ともに創英社/三省堂書店)がある。日本旅行記者クラブ会員

Related stories

関連記事