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【極上の民宿】〝みっちゃん〟の笑顔が迎える山の宿 民宿 福冨士<栃木・日光市>

場所
> 日光市
【極上の民宿】〝みっちゃん〟の笑顔が迎える山の宿 民宿 福冨士<栃木・日光市>

囲炉裏焼きとともに楽しむ、採れたて野菜や名産の湯波、鹿刺しなどが並ぶ夕食膳

囲炉裏料理と竹酒で客同士も団らん

日光東照宮をはじめとする世界遺産の社寺や中禅寺湖、鬼怒川温泉など、人気観光地が点在する日光市。市北部の山間部、山王峠を越え会津若松へ向かう下野(しもつけ)街道の途中に、もう一つの東照宮を抱く小さな隠れ里・野門(のかど)集落がある。

平家伝説が残るこの静かな集落で、海外からも多くの旅人を引き付けているのが「福冨士」だ。玄関をくぐると、「お帰りなさい!」と、〝みっちゃん〟こと女将(おかみ)・小栗美智子さんが弾けるような笑顔で迎えてくれた。そのひと言で、初めて訪れたはずなのに不思議と肩の力が抜けていく。

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左からみっちゃん、隆雄さん、愛子ばあちゃんの3人が笑顔で迎えてくれる

眺めの良い部屋で荷を解(と)き、まずは温泉へ。貸し切り利用できる浴室には熱い湯がたっぷりと満ち、疲れをゆっくりほぐしてくれた。

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客室は6室すべて和室

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風呂を満たす湯はアルカリ性単純硫黄泉で、日向温泉からの運び湯

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部屋には浴衣と歯ブラシ、大小のタオルが用意されている

湯上がりの楽しみは、囲炉裏料理だ。広間には、赤々と炭火が燃える囲炉裏が四つ。「焼きたての一番おいしい状態で食べてほしいですからね」。そう話す主人の小栗隆雄さんが、串の向きや火との距離を絶妙に調整しながら、丁寧に焼き上げていく。鴨肉は脂をジュワッと浮かべ、パチパチはぜる炭火から香ばしい煙が立ち上る。焼き上がりを待つ時間さえ、ごちそうに思えてくる。

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愛用の火吹きを手に、囲炉裏の炭火を巧みに操る主人の隆雄さん

竹筒ごと炭火で温めた名物「竹酒」(600円)を注文した。爽やかな竹の香りをまとった酒を味わいながら、集落で採れた山菜や、〝愛子ばあちゃん〟の畑で育った野菜が並ぶ御膳を楽しむ。「さあ、そろそろ食べどきだよ」。隆雄さんの一声で、客はいっせいに囲炉裏の串に手を伸ばす。

アユのパリパリの皮をかみ締めると、中から熱々の脂が飛び出した。自家製みそを練り込んだ豚ひき肉を竹ベラに塗って焼き上げる「一升ベラ」は、その風味に酒が止まらない。ホクホクの里芋焼きには、山椒(さんしょう)を利かせたみそがたっぷり。夕食の締めは、みっちゃんが地粉で手打ちしたかけそばだ。

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女将さんが毎朝打つ手打ちそばも人気

囲炉裏を囲めば、初対面だった旅人同士も自然と会話が弾む。みっちゃんは忙しく立ち働きながらも、誰にでも笑顔で声を掛けている。「自分も楽しく、お客さんも楽しい。これが一番だね」とみっちゃん。

その言葉通り、囲炉裏端には夜遅くまで笑い声が響いていた。「お帰りなさい」と迎えられ、「ただいま」と帰って来たくなる。隠れ里の宿は、そんな温もりに満ちた場所だった。

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山の幸が並ぶ朝食。白米と炊き込みご飯から選べる

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館内の喫茶フジ。世界中から訪れた旅人の写真に囲まれ、朝のコーヒーを楽しむ

周辺観光👟

栗山東照宮

戊辰(ぼしん)戦争の際、新政府軍の手から守るため、日光東照宮に伝わる家康像を会津へ逃がす動きがあった。しかし会津鶴ヶ城にも戦火が及び、途中の野門の地に密かに隠されたという。長く幻の秘宝とされていたが、後年になって発見され、この地に栗山東照宮が建立された。御神体は年に1度、10月の例祭で御開帳になる。
■境内自由/日光市野門199/東武鬼怒川線鬼怒川温泉駅からバス50分、家康の民宿村入口下車徒歩20分/TEL:0288-97-1136(日光市栗山観光課)

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文・写真/阪口 克


民宿 福冨士

TEL:0288-97-1202
料金:1泊2食1万1800円~(1人泊は同1万2800円~)
客室:6(カギ付き、トイレ共同)
風呂:貸切2(一つは温泉)
備品:浴衣〇 歯ブラシ〇 タオル〇 Wi-Fi〇
住所:日光市野門225
交通:東武鬼怒川線鬼怒川温泉駅からバス50分、家康の里民宿村入口下車、送迎3分(要予約)/東北道宇都宮ICから63キロ

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2026年9月号)
(Web掲載:2026年8月22日)


Writer

阪口 克 さん

奈良県出身。航空会社機内誌や、多くのアウトドア雑誌で取材と撮影を担当する。オーストラリア大陸1万2000キロを自転車で一周し、帰国後フリーランスに。自宅は家族・友人とDIYで建築。旅と自然の中の暮らしをテーマに活動。著書に「家をセルフでビルドしたい」(草思社文庫)「冒険食堂」(ヤマケイ新書)「焚き火のすべて」(草思社)など。

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