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【私だけのひとり旅】今年話題の盛岡で、絵になる建物と喫茶店めぐり(2)

場所
> 盛岡市
【私だけのひとり旅】今年話題の盛岡で、絵になる建物と喫茶店めぐり(2)

紺屋町の釜定(かまさだ)は明治期創業の南部鉄器の店

 

新旧と東西が交わる町並みを歩く

【私だけのひとり旅】今年話題の盛岡で、絵になる建物と喫茶店めぐり(1)から続く

循環バスで盛岡城跡のある中心部へ向かう。盛岡の観光エリアはコンパクトに集まっているので、歩くのが好きなら徒歩で向かおう。ニューヨークタイムズでは「市街地は街歩きにとても適している。大正時代に建てられた西洋と東洋の建築美が融合した建造物、近代的なホテル、歴史を感じさせる旅館、蛇行して流れる川などの素材にあふれる。城跡が公園となっているのも魅力の一つだ」と紹介されている。

北上川、雫石(しずくいし)川、中津川の合流地点に南部藩南部氏の盛岡城跡があり、ここを中心とした町割と、材木町、鉈屋(なたや)町、肴(さかな)町などの町名が残っている。盛岡の町なかに橋が多く、岩手山と川を組み合わせた風景がシンボリックなのはこのため。ニューヨークタイムズの記事で触れられている古い建物が残るのは、盛岡城跡の横を流れる中津川の南、河南(かなん)地区と呼ばれるエリア。レンガ建築の岩手銀行赤レンガ館や、もりおか啄木・賢治青春館のほか、江戸期創業の荒物店ござ九(く)、消防屯所(とんしょ)だった紺屋町(こんやちょう)番屋(ばんや)の木造洋風建築などが点在している。

2012年まで現役の銀行だった岩手銀行赤レンガ館。復 原工事後に公開
岩手銀行赤レンガ館の八角形のドーム天井は辰野式の特徴
釜定では南部鉄瓶のほか、フライパンやオーナメント(置き物)を販売

特筆すべきは古い喫茶店の多さだ。中津川を眺める「ふかくさ」、2階建ての蔵を改装した「茶廊車門(さろうしゃもん)」、六分儀(ろくぶんぎ)という名の古い店を引き継ぎチョコレートが名物の「羅針盤(らしんばん)」、自家焙煎(ばいせん)の有名店「クラムボン」など、こだわりのある店が集まっており、ひとり旅の気楽さで巡って、コーヒーと雰囲気を味わいたい。紺屋町のシンボル的な建物、紺屋町番屋は長年消防事務所として使われてきたが、市に寄付された後、昨年改装され、カフェや雑貨店が入る交流体験施設として再出発している。

 

紺屋町の番屋は、明治・大正期に建造・改装した木造洋風建築で、長年、消防事務所として使われてきた。市の景観重要建造物
もりおか啄木・賢治青春館は明治時代築の旧第九十銀行本店本館の建物を利用
中津川沿いを歩く。右の建物は喫茶店「ふかくさ」

盛岡はコーヒーの消費量が全国の都市の中で上位。喫茶店が多い理由を地元のミニコミ誌「てくり」の水野ひろ子さんに聞くと、「城下町の成り立ちに近江(おうみ)商人がかかわっていて、意外と新しもの好きの気質があるんです。それに文学や美術、演劇好きが多く、喫茶店がサロン的な役割を果たしたのかもしれません」と教えてくれた。

昼食に立ち寄ったわんこそばの店、東家(あずまや)本店の馬場暁彦(あきひこ)社長は「盛岡はほどよい大きさの町。個人経営の店が多く、それぞれに個性的なので、魅力を感じてリピートしてくださる方もいます」と話す。

文/福﨑圭介 写真/三浦健太郎

 

【私だけのひとり旅】今年話題の盛岡で、絵になる建物と喫茶店めぐり(3)へ続く

 

盛岡 立ち寄りたい店

河畔に憩う人たちを眺める窓際の席

ふかくさ

窓から中津川と河辺の緑を眺める、隠れ家的な小さな喫茶店。店に覆い被さるように柳の木が立ち、外壁は蔦に覆われている。家族が営んでいた旅館「深草」から店名を取り、半世紀以上前に開業した。コーヒー(450円)はサイフォンでいれる。

■11時30分~20時(日曜、祝日は~16時30分)/不定休/盛岡駅から左回り循環バス12分、盛岡バスセンター下車徒歩5分/TEL:019-622-2353

※掲載時のデータです。

 

ドイツ風ロマネスク様式の流れを汲んだ重厚な建物は国の重要文化財

もりおか啄木・賢治青春館

旧制盛岡中学に通った石川啄木と宮沢賢治の青春時代と当時の盛岡を紹介している。明治後期の1910年築の第九十銀行本店本館の建物を活用。館内の「喫茶あこがれ」では、建物の重厚な雰囲気とともに、コーヒーや紅茶(各450円)が味わえる。県産バニラアイスクリーム、南部せんべい、盛岡駄菓子などもある。

■10時~17時30分(喫茶は〜17時)/毎月第2火曜(祝日の場合は翌日)休/無料/盛岡駅から左回り循環バス12分、盛岡バスセンター下車徒歩5分/TEL:019-604-8900

※掲載時のデータです。

 

わんこそばの有名店、東家(あずまや)本店
お椀15杯でかけそば1杯分。食べた杯数の証明書と、100杯を超えるとさらに証明手形がもらえる

東家 本店

紺屋町にある食べ放題のわんこそばが味わえるそば店。給仕は「じゃんじゃん」「どんどん」という掛け声とともにお椀にそばを入れ、空いたお椀を卓上に積み上げる。わんこそば(3900円)にはそぼろやとろろなどの薬味と刺し身が付く。「山村のハレの日の料理、そば振る舞いの文化を体験してほしい」と馬場社長は話す。

■11時~15時、17時~19時/無休/盛岡駅から左回り循環バス12分、盛岡バスセンター下車徒歩3分/TEL:019-622-2252

※掲載時のデータです。


盛岡観光コンベンション協会 TEL:019-604-3305

■モデルコース

盛岡駅
↓ 徒歩10分
光原社
↓ 徒歩2分
材木町南口バス停
↓ 循環バス14分
盛岡バスセンター(ホテル マザリウム)
↓ 徒歩3分
紺屋町(東家、番屋、ござ九など)
↓ 徒歩3分
岩手銀行赤レンガ館
↓ 徒歩3分
もりおか啄木・賢治青春館
↓ 徒歩10分
盛岡城本丸跡
↓ 徒歩15分
開運橋のジョニー
↓ 徒歩7分
盛岡駅

 

(出典:「旅行読売」2023年6月号)

(Web掲載:2023年7月5日)

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Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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