【新幹線で春は北陸へ】福井駅発 新しくなった恐竜博物館&一乗谷朝倉氏遺跡博物館へ(2)
田園風景の中、越美北線のそばに立つ博物館。館内にはカフェ、ショップ、レンタサイクルもある(写真/一乗谷朝倉氏遺跡博物館)
失われた城下町の出土品を展示する一乗谷朝倉氏遺跡博物館
【新幹線で春は北陸へ】福井駅発 新しくなった恐竜博物館&一乗谷朝倉氏遺跡博物館へ(1) から続く
翌日はもう一つの目的地、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館を訪ねた。福井市の南東、足羽川(あすわがわ)中流域の一乗谷には戦国時代、越前国を治めた戦国大名・朝倉氏の城下町の遺跡が残る。朝倉氏5代100余年にわたって繁栄した町は1573年、織田信長との戦いで灰燼(かいじん)に帰(き)した。その後、国の中心は福井に移り、城下町全体が土に埋もれ、忘れられた。現在は発掘された朝倉館跡や庭園跡、往時の建物を復原した復原町並を見ることができる。
遺跡の出土品を展示するのが、22年にオープンした上記の博物館だ。さまざまな生活用品、将棋の駒や茶道具などから、この谷に暮らした庶民、武士たちの生活を知る。足羽山で採れる名産の笏谷石(しゃくだにいし)の石仏や狛犬(こまいぬ)などもある。博物館建設の事前発掘調査で見つかった川湊(かわみなと)の遺構と、原寸再現した朝倉館も見どころだ。
「発掘調査で田畑を掘れば、必ず炭がまざった土の層とともに、当時の生活の痕跡が見つかりました。それだけ激しく燃えたのでしょう」と話すのは福井市の学芸員の白嶋祐司さん。「火山灰に埋もれたイタリアの古代都市ポンペイのように、一乗谷の城下町も土に埋もれて保存され、時を経て遺構や出土品が見つかりました。失われた町の儚(は か)なさに歴史ロマンを感じます」
時間があれば福井駅周辺の旧跡も巡りたい。信長配下の柴田勝家が治めた北庄(きたのしょう)城跡(柴田神社)や、徳川家康次男の結城(ゆうき)秀康が江戸初期に築いた福井城跡、藩主別邸の名勝・養浩館(ようこうかん)庭園、郷土歴史博物館が近い。時を超える歴史散歩に出かけよう。
文/福﨑圭介 写真/宮川 透ほか
🔳モデルコース
【1日目】
福井駅
↓ 徒歩すぐ
えちぜん鉄道福井駅
↓ 鉄道1時間
勝山駅
↓ バス12分
福井県立恐竜博物館
↓ バス12分
勝山駅
↓ 鉄道1時間
福井駅(泊)
【2日目】
福井駅
↓ 朝倉・永平寺ダイレクトバス16分
一乗谷朝倉氏遺跡博物館
↓ 徒歩30分
一乗谷朝倉氏遺跡(復原町並バス停)
↓ 朝倉・永平寺ダイレクトバス23分
福井駅
味わいたい福井の味
福井駅西口の前のハピリン1階にある、越前おろしそば専門店。おろしそば三昧1700円は、福井県産の特上そば粉の十割そばを3種の
だし(おろし、わさび、とろろ)で味わう。焼きサバおろしそば1480円も人気。ハピリンは土産店や各種の飲食店が集まり便利。
■10時30分~20時/無休/北陸線福井駅西口から徒歩2分/TEL:0776-43-0739
足を延ばして訪ねたい
日本の曹洞宗の大本山。1244年に道元が開いた禅の修行道場。杉木立の中に勅使門、山門、仏殿、法堂(はっとう)、承陽殿(じょうようでん)などの建物が並ぶ。道元の750回大遠忌(だいおんき)の記念事業で再建された傘松閣(さんしょうかく)には、昭和初期の建設当時の天井絵230枚を修復してはめ込んだ大広間がある。
■8時30分~16時/無休/500円/えちぜん鉄道永平寺口駅からバス14分の永平寺下車徒歩5分、または福井駅から朝倉・永平寺ダイレクトバス40分、以下同じ/TEL:0776-63-3102
参観:9時~16時30分/月曜、年末年始休(変更になる場合あり。3月は4日~8日休)/700円
住所:福井市安波賀中島町8-10
交通:福井駅から越美北線16分の一乗谷駅下車徒歩3分、または福井駅から朝倉・永平寺ダイレクトバス16分(路線バス24分)、博物館前下車すぐ/北陸道福井ICから6キロ
問い合わせ:TEL0776-41-7700
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年4月号)
(Web掲載:2024年4月11日)