【新幹線で春は北陸へ】敦賀駅発 船からリフトから湖を眺め、湖底の地層の神秘を知る三方五湖(2)
長さ45メートルにおよぶ年縞を、ステンドグラス風に加工して一直線に展示
7万年分、45メートルの地層が語る 福井県年縞(ねんこう)博物館
【新幹線で春は北陸へ】敦賀駅発 船からリフトから湖を眺め、湖底の地層の神秘を知る三方五湖(1)から続く
ここまで来たら、湖周辺に点在する小さな旅館や民宿に泊まり、海の幸を味わいたい。今回選んだ旅館入舟もその一軒。「敦賀からは少し距離があるので、新幹線延伸の影響は少ないかなと思っていましたが、徐々に予約が増えてきました」と、若女将の宮下いずみさん。新幹線の鉄音は確かに近づいているようだ。
2日目は、少し「地学」の勉強をしよう。前日に船で遊覧した水月湖の湖底からは、「年縞」と呼ばれる世界的にも貴重な地層が発見された。それを紹介しているのが福井県年縞博物館だ。
年縞とは、長い年月の間に湖沼などに堆積した地層の一種で、1年に1層形成される。ボーリングにより採取した年縞を1層ずつ数えていけば、その層がいつ堆積した層なのかが分かる。層をさらに解析すれば、堆積物の違いにより、気温、植生など自然環境の変化や、地震や火山活動などの自然災害に関するデータが得られるという。水月湖はいくつかの条件がそろったことで、その縞(しま)が乱れることなく積み重なり続けた。その年数はなんと7万年。まさに「奇跡の湖」とも言える。
この地だけに残る地層を科学する
水月湖で最初に年縞が採取されたのは1991年のこと。ちょっと難しい話だが、博物館にある「水月湖年縞7万年ギャラリー」を見るだけでもいい。7万年かけて堆積した長さ45メートルの年縞は、生きている地球の活動の証しだ。
年縞に詳しい案内員が丁寧に解説してくれるので、疑問に思ったことは何でも聞いてみよう。水月湖の年縞は、世界中の研究者が信頼して使うことのできる「年代の標準ものさし」でもあると聞き、この場にいることを少し誇りに思った。
頭を使うとお腹が減る。敦賀駅へ戻る道中、道の駅若狭美浜はまびよりでもう一度海の幸を味わうもよし。日本海さかな街(まち)で土産探しと食事を兼ねるもよし。最後は北陸道総鎮守 越前国一之宮の氣比(けひ)神宮に寄り、北陸新幹線延伸がもたらす明るい未来を祈って帰路に就いた。
文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝
🔳モデルコース
敦賀駅
↓車20キロ
美浜町レイクセンター
↓車7キロ
レインボーライン山頂公園
↓車6キロ
旅館 入舟(泊)
↓車8キロ
福井県年縞博物館
↓車30キロ
日本海さかな街
↓車4キロ
氣比神宮
↓車4キロ
敦賀駅
泊まりたい宿
旅館 入舟 ◉美浜町
日向湖北岸、日本海とつながる水路のそばに立つ小さな宿。昨年リニューアルし、モダンなツインルームもある。宮下好子さん、いずみさん母娘が切り盛りし、毎朝、敦賀市の市場で仕入れる新鮮な魚介類がたっぷり味わえる。
部屋数:全5室
金額:1泊2食1万3000円~
交通:小浜線美浜駅から送迎10分(要予約)/舞鶴若狭道若狭三方ICから5キロ
住所:美浜町日向47-46
問い合わせ:TEL0770-32-1040
味わいたいご当地グルメ
小浜線美浜駅前に2023年6月にオープンした道の駅若狭美浜はまびより内の食事処。ランチタイムのおすすめは「炭焼き鯖のセイロ重」(写真、1760円)、「穴子のセイロ重」(3080円)など。駅前にあることからアルコール類も豊富。道の駅には「農水産品直売所」やカフェ、バーなどもある。
■11時~14時30 分、17時30分~21時/月曜(祝日の場合は翌日)休/小浜線美浜駅からすぐ/舞鶴若狭道若狭三方ICから5キロ/TEL0770-47-5332
敦賀市内の魚市場、日本海さかな街にある。人気は「敦賀真鯛 潮らーめん-極-」(1000円)。敦賀湾で養殖される敦賀真鯛とおぼろ昆布でだしをとり、コシヒカリを加えてとろみを出したスープは、潮の香りが食欲をそそる。北海道の製麺所から直送の、全粒粉を使った特注麺との相性もいい。
■10時~17時(スープがなくなり次第終了)/定休日は日本海さかな街に準ずる/北陸線敦賀駅からバス10分/北陸道敦賀ICから5キロ/☎なし
営業:9時~16時30分/火曜、年末年始休(ゴールデンウィーク、夏休み期間は無休)/500円
住所:若狭町鳥浜122-12-1 縄文ロマンパーク内
交通:舞鶴若狭道三方五湖スマートICから1キロ
問い合わせ:TEL0770-45-0456
※記載内容はすべて掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年4月号)
(Web掲載:2024年4月27日)